2010/03/29
桜の花が咲くように、役者の魅力を咲かせたいと想い、願い、続けている。

今週の月曜日は開かれた稽古場だった。なかなか温かくならない夕刻、稽古場に行く。参加者4名。見学2名。初参加1名に他は常連たち。それぞれの稽古場参加のリズムでやってくる。まず、ここからだと想う。日常の中に役者としてのリズムを持つこと。
歩く、それぞれの役者としての癖、自然体、自由。歩くという繰り返される表現に拘るのは、そこに呼吸と魅力が欲しいからであるのだが、常連3人はかなり自 由に魅力的になった。それぞれの体型、癖の活きた歩きは、とても劇的だとあたしは想う。てこ入れしていきたい役者たちである。初参加のMやも素直な歩きで よかった。歩きからのシーン作り。無理にシーンを作る作業をやめて、繰り返すことで他者への意識を持ち、そこからとあたしにしてはのんびりなペースで繰り 返してみる。歩きが変化するだけ、呼吸が変化するだけ、空気が動くだけ。繰り返すうちにシーンになっていく。Hろが反応を待てないので、止めてアドバイス する。ここだ。芝居は相手がいる。空気がある。同じ空間への共存なのだ。Mやはなかなか言葉を発していけないが、感じることがうまい。いい。M本はおそら くこの稽古場で自己を確認して、それを活かしている。この作業が本番の板の上でも叶えばいい。Hでは心がよく動き、とてもいい役者だ。出来ていくシーンに 豊かな想像力がもっとほしい。
さらに感情を足していく。強い怒り。怒りのイメージをはっきりさせること、記憶を再現するのであれば、細部の記憶まで呼び戻すことをアドバイスする。
Mやは、まだまだ感情の動きが見えない。見えないということは心がまだまだ動いていないのだ。少しずつ想像して、感情を産んでいければよい。強い怒りを表 現してみる。M本、表現への切り替えがぬるい。続けることである表現にはなるのだが、瞬発力がほしい。感情の中での表現。Hろも随分感情が持ち続けられる ようになった。怒りを言葉にする、怒りを声にする。強い怒りの感情を持ち、佇む。Mやは佇みの中で、感情が途切れてしまう。動かない中での感情維持。なか なか難しいが、叶うまで。強い怒りから深い哀しみに変化させる。それぞれの感情の動線が見えたい。M本、Hで、かなり素敵。
深い哀しみという感情の指示で、泣けるまでになってきたことは特筆すべき。
Hろもストッパーがかかるが、そこがあと少しで外れるだろう。M本、なぜかな、声を封じ込めてしまう癖。そこを開きたい。続いて、言葉にする。同時多発で。さらに、一人ずつ。感情の渦。さざ波ながら、まあ成功。
続いて、歩きから、懇願。15連発。発想も大事、すべてに瞬発力。しかし、相手に伝わる必死な気持ちが一番に欲しいこと。そこを指摘して繰り返したので、今回は非常に実感を伴った。
愛情表現。から、別れ話。Mやに絡む。それぞれにいいシーンだった。参加の3人の役者たち、心が優しい。Mやにも戸惑いが見え、素直で好感。
奇妙な部屋。4人ともとても面白く、実感が持て、なかなかの仕上がり。即興シーンだけに活きたシーンになると愉しい。
日常を取り戻そうとする実感がもう少し欲しい。どうしても和気藹々路線になるのが嘘っぽいかも。
今回の身体表現は、是非観客席に見せたいくらいの素晴らしいものだった。初参加のMやも身体能力、表現力、集中力ともによかった。しかし、続けてきたM本、Hろ、Hでの集中と表現は見事に結実した。音もよかった。
音が身体に入る。こういう表現こそ、表現だと断言する。
あたしのオリジナルメニュー。時には投げ出したい回もあったけれど、やっと役者たちの身体に響いてきたようだ。嬉しいね。
恒例相関図。今回は2回に分けての課題を入れた。愛情のシーンでありたい。
とてもよかった。
今回の稽古はそれぞれに収穫の多い稽古だったはず。ここで終わらない。さらに上を目指そうではないか!
コツコツと積み重なれば、かならず身につくもの。それがあたしたちの修行だと想うのだ。この感触のいい稽古をアンカーにして、先を見て、上を見て、進んでほしいものだ。
毎週の稽古はさらに続けます。是非、はじめてみて欲しい。そして、稽古のリズムを作ってほしい。
桜の花は散りゆくけれど、役者の花は咲き続ける。

追記
実感の課題。もうひとつ。
温度を感じるために。心身の状態を想像するために。