2010/04/12
稽古三昧至福の一日。つかのまの珈琲と芝居仲間。

今日は昨日から興奮して、ほとんど眠れないまま、発声の稽古のためにまず大泉学園に向かう。冷たい雨の中、1時間も前に着いてしまい、苦笑いしながらY岩 さんにメールをしつつ、稽古前の珈琲をひとりで飲む。そろそろと腰を上げ、稽古場へ。以前別のお仕事をいただいたときに芸人友達と伺ったので、場所はわか ると思い込む。バス停を降り立つ。「ここはどこ?」状態になり、稽古場から誘導してもらい到着する。リンクレターテクニックは、実はあたしの発声の土台に ある。アメリカで半年みっちり学んだから。これまで、リラックスと呼吸の調整とを発声の基本として、師匠の稽古場ではヨガの発声だったので、両方がリンク して、あたしの声は鍛えてきたものである。自分の稽古場でも発声は取り入れているが、短い時間で発声に特化できないので、今日は確認の意味も含めて、楽し みにしていた。謙虚でユーモアのある木村真美さんの稽古は愉しめた。久しぶりのシアターゲームも。あたし自身にはまだ極めたい声の課題があるので、これか らもまた探りたいと想いながら、開かれた稽古場へ向かう。駅まできて、同行の芝居仲間ふたりに「珈琲と煙草」とおねだり。さっき真美さんにだめよ、と言わ れたのにね。と三人でダッシュで飲み、喫い、ダッシュで稽古場へ。つかのまの休息。切り替え。
開かれた稽古場、冷たい雨の中、参加者4名、見学1名で開始。歩きから闘争のシーン作り。アドバイスし、繰り返す。5本。細かい反応、表現、をアドバイス していくうちにかっこいいシーンが出来ていく。Mケル、形だけではもう及ばない。M本、Hで、Hろの進歩、著しい。嬉しいね。
続いて、恨み。感情ドライブの課題。恨みをまず、感じる、感じて歩く、歩きで表現する。感情を持つことで表情が変化し、歩きが変化していく。ただ、表現的 になりすぎたので、アドバイスして、歩きをノンストップにしてみる。歩き、表情に変化が顕れる。内面が伴う表現はやはり説得力がある。再確認。
さらに深い哀しみ。最近のこの課題では、歩き出しから、深い哀しみの感情に切り替わるのがシャープになり、自然に涙に繋がるようにまでなってきた。Mケル はまだまだ表面的。早く中身を埋めたいね。M本、声を押し殺す癖をアドバイスしたことで、声、表現が開いてきた。彼は発声も参加したので、反応がよかった のかもしれない。声については、今日がボーダーライン。さらに、感情を内面に閉じこめ、表情、泣きを抜く。佇む。佇む姿から感情がこぼれてくる。さらに、 号泣。M本、Hろ、Hで、いい。さらに溢れたい。再度、感情を内面に持ち、佇む。さらに号泣の身体表現。M本に表情のアドバイス。Hろ、動きと感情が繋が り始めた。武器があるので、いいことだ。Hで、素直な感情があふれ出てこれもいい。Mケル、大分泣けるようになった。さらに集中してほしい感。さらに、感 情を閉じこめ、佇む。さらに感情を抜く。さらに喜びに感情を切り替える。すべて内面の作業の課題。表情がまだ技巧的である。さらにその感情を閉じこめ、佇 む。そこから、身体表現。M本、Hろ、Hでの身体表現がお互いを融合して、よくなる気配をみせた。Hろの説明的な動きがひとつマイナス。Mケルはまだまだ その域ではない。それぞれの役者に戻り、歩き、退場する。存在感を意識すること。みんなかっこよくなってきたね。
感情のエチュード。それぞれにある感情を持ち、シーンを作る。いまいち。
それぞれの根っこにあった感情があやふやだった。
感情のエチュード。告白。これは告白に対する反応から。それぞれに告白。2本。どうしてもMケルが言葉優先になってしまう。ダメだし。何かを仕掛けていく だけではなく、反応して、そこに居ること、それが大事。2本目の予想外の展開は涙が出た。M本、Hで、Hろが丁寧にシーンを動かしたので。Mケルも少しず つ素直に反応できた。果たして、M本の彼女の死は不要だったような気もした。まとまって終わらなくてもよいのではないか?
感情のエチュード。泥酔。泥酔の感情流出を課題にしたが、あまりうまく動かなかった。Mケル、まず泥酔を掴んでほしい。舞台上に温度差。Hろ、泥酔が稚拙。酔った自身の観察、酔った他者の観察から。M本、声を押し潰す必要なない。
奇妙な部屋。今回は丁寧に2回やってみようと想っていた。1本目、非常に皆日常動作、発見が綿密になり、面白くなった。相手の反応にのっていくことで、笑 いの要素が増えてきた。今回はM本の言葉、動作、ユーモア、すべてがとてもよかったし。Hろのドアを出た直後の落下は素晴らしいきっかけをつくってシーン を動かした。〆のMケルの開き直りのしつこさもあなたの魅力でしょうね。よく笑えた。いい出来。というわけで、リアリズム、笑いを取り入れた上で、最後は シーンを増やして、シュールにもっていってみる。それぞれのドア、窓が消えるまで。
再度。今回は同じシーンをさらに丁寧に実感して繰り返した。決まったきっかけをどう記憶し、再現するか、なぞらず実感することで、シーンはさらに深まり、 面白くなった。Mケルがひとつのことに拘ってしまったので、Hでの決め事の反応が少し遅れてリズムが狂ったことは除き、素晴らしい出来。まだまだ仕上げ て、練ってみたい。役者たちが活きてきた。続けてきてよかった。
どんな不条理もリアリズムで創る。そして、表現を加える。面白くできそう。
最後に恒例相関図。2作。今回はトリックをいれたかったので、2作とする。
1本目、同じ女性との交際発覚。4人の別の女性の登場で役者の心理、観客の心理を裏切ってみた。愛情がまだ薄い。愛情がはっきり見えてくれると最後の結末がまた違ってくる。
2本目、同じ女性との交際発覚。最後にその女性が現れる、反応まで。
やはり愛情が希薄なんだな。濃い感情の交錯が見えないと面白くならない。ハラハラしたり、ドキドキしたり、涙を誘ったり、同調できたり、そんな提出の仕方 を求めたい。最後のあっけない幕切れ、もあたし的にはいただけないかな。M本、さらにひとひねり、あるいは正直な感情の機微が見えたかったね。
以上。
有意義な一日だった。だから、芝居はやめられないね。
皆で会食。芝居談義。さらに修行は続くよ、どこまでも。繰り返す、繰り返す。絶対魅力は増していくね。天井はない、抜きんでて参りましょ。