2008/01/28
温度上昇中

本日、開かれた稽古場。本公演のキャスティングもはじめたので、オーディションの方、出演交渉中の方も含めてのスタートだった。稽古の前に本公演出演の俳優とスケジュール調整のための打ち合わせ、うまく折り合い、安堵する。参加者10名。見学者3名。まず、歩く。歩くという当たり前のことでまず場に慣れてもらう。そして、それぞれのイメージを持って歩く。単純なことだれど、歩くということでイメージはどこまで広げることができるかな。声を伴って、歩く。声も身体の一部である。発する声と歩くという身体の連鎖がみたい。歩くスピードの変化をつけてみる。声はどう変化するか?皆、表情も動き始める。すべてが連動したものでありたい。声を果てしなく増殖させる。それぞれの増殖というイメージ。果てのない増殖がみたい。その場所の温度がどんどん上昇していく感じ。それぞれに声が随分強くなってきたので、もっともっと増殖していけるはず。初参加のオーディション組のおふたりはこの連動がまだ腑に落ちていない様子。何かをしようとするのではなく、そこに産まれるもの。声も身体も予定調和ではないところに、あたしは真実が見える。Nちゃん、Mもと、Kぞうの声と身体のバランスがとてもいい。表情も険しく変化していく。実に腑に落ちる。Eなは、感性だけで動けていたものに欲がでたのか、今日はなんとなくちぐはぐ。そこを乗り越えて、また感覚で動けるようになっていくだろう。Mか、Tえの声の弱さを何とかしたい。日々の鍛錬も必要だ。出演交渉中のSくんはとまどいながらも、素直。身を任せるという基本がある。空間の温度が上昇し、その熱で爆発するくらいの声までいきたい。まだまだ。身体に音を入れる訓練。今日の音はまったくリズムのない音の連続。今日はそれぞれの中のリズムを意識することを提案した。音に反応し、自身の声という音を音に共鳴させ、他者を刺激し、刺激に反応していくこと。メロディラインやリズムがない音に俳優という楽器が鳴るイメージを追求している。これはあたし自身も参加している。このそれぞれのリズム、ということがなかなか伝わらない。リズムが産まれないかしら、と不思議に想う。今日は難しい音だったかもしれない。しかし、そこを想像力で埋めていきたいのだ。さらにこの方向でいきたい。Tえが叫ぶ。音に連動しての叫びではない。ここが問題だ。何かを発生させていくことは必要なのだが、まずは聴覚だ。かならず連動していく。叫びに対してのMかの反応がよかった。瞬間、彼女の体が跳ねた。しかし、今日は全体として失敗。外に広がるまとまりがまったくない。共鳴だけでなくていい、不協和も素敵なまとまりだ。気づいていってほしい。
エチュード連発開始。死への反応。あたし自身が劇的なるものをそろそろ探りはじめたい。号泣から狂乱までが今日のテーマ。稽古は繰り返しだ。しかし、間違った繰り返しは意味がない。繰り返しの効果が出始める。心に忠実に反応していくこと、しかしだ、心も己の心をさらに上昇させる作業が必要だ。Mもと、Yきは心が動き出した。確実に動くようになってきた。さらに心も頭も真空になるところ、所謂夢遊病のような状態まで辿り着いてくれ。初挑戦のおふたり、何かをしようとしてしまう。何度も止める。出来ないことはどうでもいい。出来たふりはやめようということが言いたい。Sくん、線は弱いが、確実な感情が動く。いい。さらに、オーダーをしたくなる。もっともっとと想わせる俳優は魅力的だ。動きを指定してみる。無理がないので、自然に繋がる。さらによくなった。Eなは、いい感情をたくさんもっている。持っているものが熱い。今日は沸点が低い気がしたが。感情のピークを維持できることは必須だな。負けずにもっと温度を上昇させてほしい。Kぞうは、表に感情が見え始めた。彼の中にある温かい感情をもっと引っ張り出せたらいい。狂乱までは辿り着けず。Nちゃんは、回を重ねるたびに、感情が重なっていく。今日もいいシーンを産む。さらにさらに。それから、滂沱の涙も欲しくなってきた。Mかも伸びてきた。あの頑なな殻が少しでも割れてほしい。感情が流れ始めると止めてしまう。そこをもうひとつ、ふたつ破ってみたら?Tえも感情が動き始めた。もっともっと激しいものがあるのではないか、と想う。心が弱すぎる。
イメージへの反応がはっきりしないので、今日は実態を置いてみる、ベットインしている恋人あるいは夫、妻を見る。反応。これは予感ということもあたしの念頭にはある。ある予感。あまり、状況は限定せずに何度か繰り返したいと想った。 Tえの殺気、それは成立、さらに言えば、その殺気が芽生える瞬間がほしい。見えない。ベットインのふたりの反応も大切だ。Mかの反応が面白い。案外、この女優、奔放なものを持っていそうだ。活かせ、活かせ。Yきの殺気、暴力的なほどの嫉妬、うん、これもよかった。この俳優も偏執で面白い。良い子にならない時が好きだ。Nちゃんの怒り、嫉妬、温度が高くて驚く。この俳優、熱いものがどんどん出てきた。新劇なんてやめてしまったら?
暴言。ベッドインしているMもとの反応がまた面白い。こなれ過ぎていて、個人的男性差別で言えば、不愉快だ。相手に惚れていてくれと要求してみる。
シーンが温かくなる。が、これは不要だったかもしれない。自省。Sくんはいきなり、認め、詫びるという行動に出た。発想が面白い。魅力だ。Kぞう、意外に男っぽい。いい。Eな、今日は感情がちぐはぐ。必死に自身を上げようとしては空回りしている感じ。しかし、とめない。それは必要なことだ。
このエチュードあたりから、初参加のNみさんの心が動き始めた気配あり。また来てくれたらいいと想う。感情の訓練も繰り返しだ。繰り返すことで、感情の技術が身に付く。感情も技術なのだよ。
想像力でイメージをみていくことまでいきたいが、実態のあるエチュードも反応があるので、有意義だった。
今日はシーンの温度が高い。
ブリッジによる発声。声の伝達。声を強化させたい。まだまだ、もっともっと。
恒例相関図。今日は最初のカップルを変えて、3連発してみる。感情の渦が細かくなってきた。そうなってくるとシーンが熱くなり、面白くなる。想像力の豊かさだな。ここにくるとそれぞれの心が動き始めてくるので、スムーズ。不満はどうしても悲喜劇ではなく、お笑いの方向にいってしまうこと。結果として、人間同志って笑えるね、というシーンにせめてなりたいのだが。愛情というものの境界線があいまいになっているのかしらん。自問。
ベットシーンエチュードでは見えた強いものが、この相関図では隠れる。う〜む。またやろう。
さて、あたし自身の課題でもある精神病院。さらに追求してみる。今日は一切言葉がないことが強い疑問となる。なぜ、誰も言葉を最小限にとどめるのか?
来週はここにも着目した上で、やってみたい。さらに、なぜここにいるのか、そろそろ膨らませてみないか?さらにアクションを加えているが、これは本公演に繋げたいシーンでもあるので、ここでは未公開とする。
このアクションへの反応もさらに探る。
毎回、毎回稽古場の温度が上がっている。沸騰したい。
沸騰したい方は引き続き、参加を。