2010/05/24
心が自由になれば、身体も自由になり、スポンジのように吸収すれば、かならず新しい世界が広がるのだ。

日中。汐留の共同通信にて、草迷宮の売り込み。思いがけず、しっかりとお話を聞いていただけた。行ってよかった。急ぎ、開かれた稽古場に向かう。喫茶店で 切り替え、稽古場へ。コミュにかけた募集に反応しての新しい参加者2名を含む3名、見学2名で開始。冒頭で感情を自由に動かすための訓練をすることを軽く 説明し、開始する。
歩く、他者を感じる、シーンを創る。手をうち、始めたが、歩くという行為に意味のない意味をつけて、まったく歩けていない参加者。止めて、ダメを出す。声 かけをしていくが、手足がまったくちぐはぐにしか動かない、つまり歩けていないので、再度ダメを出す。Kくんは少しずつ余計な力が抜けて、表情の硬さが動 き始めた。ところが、ひとりの参加者が口答えをする。少し納得の色が出るまで説明し、再度。本人は見事に歩いているのであろうが、自己顕示ばかりで先へ進 めない。続いて、シーンを創る。今度はひとりよがりにシーンをすすめようとするので、再度止めてダメを出す。反応するということについて。シーン創り2本 目。すべてがそれ風の嘘ばかりで見ていられない。Yき、Kくんは丁寧に応じるが、シーンにならないので、止める。アドバイスするとまた口答えだ。再度。 まったく出来ていない。ダメを出すと口答え、あげく、帰ると言い出した。しばし、とどめてみるが、もういいや、帰りなさいとお引き取り願った。再開。感情 の訓練。
強い怒り。状況を細部まで想像すること。Yきの瞬発力のある怒り、いい。Kくんも最初は余計な力が抜けずにいたが、一寸アドバイスするといい声が出る。そ のまま、佇む。身体の余計な動きを封じ込める。力の入っている部分を指摘すると内面に怒りを抱えた、とても素敵な姿が浮かび上がった。
さらに感情も抜く。さらに強い感情。そして、強い怒りの感情を身体で表現する。Kくんは光り始める。Yきは身体で怒りを表現する態が身体に合い、いい表現だった。
続いて、深い哀しみ。歩き、佇み、感情を抜く、再び深い哀しみから号泣まで。Yきは感情が溢れてとまらなくなると調整がきかなくなる。いいことでもある が、移りの緩さを解消したい。感情の表現として見せることを常に念頭におこう。Kず、感情の動きが身体、後ろ姿にも見え、久々の逸材だと想った。涙には繋 がらないが、この素直な感情ドライブができれば、すぐに涙に繋がるだろう。
さらに、充足、幸福、満足の感情。歩きから佇み、笑いまで。YきもKくんもこちらまで巻き込まれるいい表情。最後に喜びの共有まで。笑いが共有されていった。
休憩。泣けないんですとKくんが質問にくる。泣くために泣くのではない。その感情が涙になるのだともう一度話す。
煽り10連発。Yきが鈍っていた。声の加減、動きの取り方、そろそろ常に意識し、見せてほしい。Kくんはもう少し跳ね返すような強さが出れば、さらに輝 く。見栄えがかわいいので、そこからの煽りにはもっとのエネルギーが必要ではないかと。Yき、大きな身体で負けていく態、面白いがどう活かすか。
あたしは定石じゃないこと、大いにありだと想う。かわいい顔してKくんは随分怖かったし、大きな身体をしてYきは随分かわいかった。ただ、そこに煽りの緊迫感が足りない。上に上に乗っかっていかないと失速するね。
奇妙な部屋。リアリズムの中の不条理。丁寧に繊細に行動し、心を反応させること。日常生活を劇的に見せていくこと。Kくんの心理の動きはよかったが、侵入 者への警戒、驚愕等忘れ去られた感情も多かった。Yき、久しぶりで実感することが足りていなかった。それぞれが丁寧に部屋で行動し、他者に反応していくこ とでこの課題は加速する。
今日は日常シーン過ぎた。大いに驚愕することがシーンを切り替えるという劇的。そのあたりがまだまだだ。
泥酔者の吹きだまり。いかんせん、泥酔がへた過ぎ。ダメだし、コツの伝授も少々、しているうちに混ざりたくなり、手を打ち、泥酔者の吹きだまり。入ってし まったので、見えてきたものはふたりの醒めた眼だった。酔いを愉しむことだ。志村けんさんは一度も転ばずに階段を昇り、吐くと言う。もちろん、酔っぱらい として。これ、あたし、挑戦してみよう。
最後に恒例相関図。同棲する部屋に他の男が来るという設定。それぞれのこころの揺れは凝視すれば見えてはきたが、弱かった。
彼女が帰ってくる。声だけきっかえを飛ばし、無対象。彼女への反応、それにより見えてくる彼女の姿、感情ははっきりと動いてくれないとシーンが淡々と流れていく。愛が見えなくなっていく。
本日これにて時間切れ。手応えのある役者に出逢えてよかった。Yきの心が次第にほぐれていくので、愉しみでもある。
稽古終わり、急ぎ、草迷宮の稽古へ。衣裳チェック。
消えた参加者、しっかり稽古を重ねないとね。老婆心。
いつか頭打ちで、嘘に嘘を重ねる前に、我々は稽古を続けなければ。役者修業に終わりなし。
鍛える、さらに鍛える。唯一無二であるために、無難を避けて上を目指していこう。