2010/06/21
心が動く、身体が動き出す、個性が光る

稽古前に野暮用兼ナレーション。ピンターキャスティングも王手がかかった。主宰からのメールに心躍る。秋の制作は始まっているけれど、秋は出演もするので、バランスを取りながらと心したい。
月曜日は開かれた稽古場。身も心も引き締まる大事な時間だ。暑くなってきた頃から、稽古をしながら時に参加して自己調整もはじめている。
参加者5名、見学2名。ここにいつでも稽古場がある。これが、ここをはじめた時に決めたこと。どんな時にも続けていきたい。今日も久しぶりの参加者が3名 やってきた。参加の度合いはどうでもよいと想っているが、まず己のために参加してほしいと願う。HろやYきは自身の仕事のペースの中に常に自己確認を念頭 においている。いいペースで参加できているのではないかと想う。
相対的にふたりとも誰でもがそうであるように、置き忘れてくることの戻りが早くなった。積み重ねてきたことは決してマイナスにはならない。
このところ、やはり声の重要性を感じる。他の座組で制作をして、他の芝居を観て、役者らしい声が欠落している昨今を憂う。開演前の劇場で声を出している役者がいない。これではいかん、と想う。声の鍛錬から開始。
まず、声を確認する。身体と声を同時に意識していくことが発声の声と演じる中での声を結びつける早道だ。発声では声ができているのに、台詞に繋がらない、 そんな苦労をあたしもしてきた時期があったが、台詞で発声をするという邪道ではなく、動きと発声を連動させること、これを推す。
歩行から脱力、発声、声の受け渡し。言葉のリズムを声で掴むためのリズム発声。それぞれの声のアドバイスはそれぞれにした。Mなは腹式呼吸から鍛えなけれ ばまったく声が0だ。Hろはまだ創り声ではあるが、開放されてきた。Yきはいい声を持つ、おそらくリラックスがあと一歩だろう。Mケル、声と身体が繋がら ない。これも積み重ねるしかない。Y子、声の押し出しが弱い。腹筋を鍛え、声を押し出していけるように。スピードをアップすることにリズム感がいまさん だった。声のピッチではなく、声のスピード感。掴んでいこう。
感情を動かし、感情のピークを感じていくための課題。大破滅。身体、筋肉表現としてではなく、あたしは感情のピークとこの表現を繋げていきたくてやってき た。Hろに挑戦させたかったので、やってみる。身体の感覚と感情の感覚、脳内の感覚。これが掴めていけば、Hろはよくなりそうなところまでみえた。身体能 力の高さをどうしても活かしたいね。Yきは脳内との連動がとてもいい。だから、表現として成立する。とても独特。Mケル、Y子、Mなはまったく掴めていな かったので、Hろを観て、そこに入る訓練をする。Mケルは基礎体力がないので、そこがネックかな。鍛えよう。Y子、Mなはこれからだね。反芻して、この身 体表現が後に続く感情のピークとどう結びつくか、腑に落ちるときが来て欲しい。
続いて、様式×感情表現。歩く、四股、深い哀しみ、歩く、四股、強い怒り、歩く、四股、喜び。×2連続。
様式を抜く。歩く、佇む、感情表現。感情の交換まで。
Hろは感情が止まってしまい、呼吸が止まる。強い感情は身体に溢れるようになってきたが、ストップして固まってしまう。
Yき、感情がどんどん自由になっていく。Y子、表現としては小さいが内面がよく動いているので、よい。次はどう見せていくのかを考えていきたい。Mケル、 持続できるようになってきた。途中で放り出さなくなってきた。Mな、何もない。心が動くまで、繰り返すしか手はない。想像力しかない。
感情の交換が非常に弱かった。これは反応であり、感情は流動的なものだと実感することだ。ある感情で対峙する、そこには相手が居る、相手の感情が動いてい る。まず、そこを出発点にしなければならない。それぞれが自身の感情を頑なに守ってしまうので、そこに感情はスパークしていかない。
続いて、感情のシーン創り。Mなは反応がまったくできない。相手役をよく感じて、そこからしか劇的なものは生まれていかない。
あるシーンに手を入れてアドバイスをしていく、発想の飛躍のために。Hろは発想は生まれるのだが、そこをさらに埋めていく想像力が足りない。シーンを進め ると失速していくのがわかる。Y子、回りに対する疑問がちらりと見えるのだが、劇的なきっかけまでいけない。はっきり想像して、相手に投げていくことが必 要。Yき、回りの反応に実感が出来てきたら、反応もよくなってきた。いいことだ。
シーン作りの中から、落胆、失望、諦め、絶望、そんな感情が見えてきたHろを抜く。Hろの哀しみの質にアドバイスして、2態。
回りはそれに反応していく。反応がなかなかできていかない。言葉ではなく、実感だ。反応するための反応なんてのはいらない。
落ち込む。一人ずつ人数を増やしていく。落ち込むという感情表現と反応のための課題。Mケルが素晴らしい表現をしてくれて、驚いた。これは素晴らしい。ほ んとに。誰かがこうして抜きんでる瞬間、嬉しいね。Yきの諦め、哀しくて泣けてきた。それに対する反応もよく、最後にいいシーンになった。そこには優しい 空気が流れた。こういうことなのだ。
身体表現2態。まず、音を聴くための歩行。音を身体の中に落としていくだけ。あたしも参加する。音が身体に流れ込んでくる感覚。愉しい。Hろの歩きが表現 的ではあったが、呼吸を感じたので、融合してみる。身体が溶け込む感覚が愉しい。歩く、ただ、音の中を歩く。これは表現の第一歩だと想う。何かをしようと するのではなく、踊るのでもなく、歩く。
続いて、同じ音で身体表現。Hろ、いいね。身体と心が連動してきた。後は他者との関わり合いが欲しい。Yき、Mケル、Y子もトランスしていこうとする集中がいいと想う。Mなはとにかく何かをやろうとすることが違うと想う。感じること、それしかないよ。
今日の身体表現を観ていて、Kぞうを想い出した。彼の身体表現はとてもいい。集中していく、ひたすら集中していくのだよね。稽古にもくればいいのになあ。(笑)
身体表現で身体が解けたところで「発狂」発狂の様式、眼の発狂。これは技巧的でもあるが、仕掛けてみた。それぞれにアドバイスしていく。Hろ、息をしてく ださいね。なかなか面白い表現になった。それそれに突き詰めて居る時にMなはいろんな手を変えてくる。そうではなく、突き詰めてみることだね。
様式を繰り返し、最後にふたたび発狂。天井を抜けていく感じが欲しいね。
そこから、泥酔。泥酔者の吹きだまり。うまく動かない。もとい、泥酔者の行進。Mケル、よくなったねえ。よくなったと誉めたら、大袈裟になってしまった。 加減、加減。Hろは酔いが足りていない。Yき、もう少し研究しよう。物足りない。Y子、面白いができていない。Mな、観察し、稽古を繰り返さなければね。 泥酔していても、地面にごろごろ転がりはしないのではないかな?みんな。
さらに奇妙な部屋。このところの反省点からアドバイスする。発見、独り言等。開始。Hろの時間をつぶやく独り言、活きた。Yきの発見、今日は早めだった が、面白かったね。Mケルも言葉数が減り、面白くなってきた。Y子の発見から追い出しの反応がスパーク、これはよかった。当たり前の実感からの反応が何よ り面白い。Mケルの発見、Yきとの絡み、面白かったね。
さて、他者をどうするか、それぞれの日常はどうするか、ここがまた堂々巡りになってしまった。Hろにもう一度、時間とアドバイスしたのはそういうこと。Y子が混乱していくのだが、その混乱があいまいでもったいない。時には大嘘をつく、これも劇的にする秘訣かもね。
そのまま、相関図。Mケル、Y子から。女の部屋。そこへ男たち、女。
綺麗事はいや、修羅場をとお願いして始める。Mケルの修羅場への挑戦がよかった。たっぷり愛情が見えてきた。Yきの嫉妬もよかった。Y子のとまどいはいつも面白いのだけれど、そこに感情が弱いように感じる。
Mな、そこに電話をかける発想では、つまらない。アドバイスして入らせる。そこからのMケルの反応があやふやで残念。さっきまでの反応がよかっただけに、もったいないね〜。Mな、やはり感情がなさ過ぎる。Y子の決断に対するHろ、Mケルの硬直や落胆がうまくなかったね。
最後のHろ、Yきはよかった。
アングラ、アングラ叫んでいますが、あたしは温かいものが好きなのだ。
熱い想いが好きなのだ。
以上。