2008/02/18
瞬間の勝負

開かれた稽古場14回目だった。あたしの目指したものがやっとある形をなしはじめた。そんなところに師匠が見学に来てくれた。平常心、といい聞かせ、捨て身であたしのやりたいことを観てもらおうと深呼吸した日。
本日の出席者、オーディションの女優を3名含み、参加者12名。見学師匠とスタッフの2名。それぞれに身体をほぐし、挨拶、開始。歩く。歩くことで空間に挨拶をする。想像力の鍵を開ける。イメージを持って歩く。各自のイメージがこちらまで伝わるために、それぞれがイメージを膨らませてほしい。何でもいいのだ。心と身体を柔らかくしたい。感情を開く。怒りの感情を持って歩く。半数以上は何かを表現しようとしてしまう。そうではない。怒りの感情を持続して持ち続けることだ。こういう時に必要なのは、怒ることを目的にするのではなく、怒りの原因をイメージすることだ。他の感情でも同じ。そこがなかなかわかってこない。あふれ出る感情。怒りをさらに強くする。怒りのたねが作れない。声を、と指示すると声が出る。そうではない、思わず漏れる声が結果としてほしいのだ。H野さんがいい。感情はまだ弱いが、確実に正しい方向を探っているのがわかる。初参加のMなちゃんも素直でよい。無理をしていないことに共感できる。Nちゃん、M本はある感情をもつことができるようになった。Kちゃんは感情の持続が弱い。互いの怒りをぶつける瞬間、この瞬間が弱い、弱い。火花が散りたい。怒りを身体表現に繋げてみる。ゆっくりと歩く。ゆっくりということ、ある様式を創りたい。次回は指示を増やしてみたい。歩く、出逢う。演劇的に会話する。本日、全体的に不調。現実的な会話じゃ、つまらん。想像力だ。心の柔軟性だ。これは、言葉をただただ垂れ流す訓練ではないよ。繰り返す。3回。歩く、絡む、因縁つける。喧嘩を売る。これも結果だけをやろうとしてもダメだ。慌てなくても良いのだ。絡む、相手の反応がある。さらにそこから感情を膨らますことだ。芝居はひとりでやるものではないということだね。繰り返す。Nちゃん、Kちゃんの絡みが良かった。Kちゃん、もう少し攻めていけるといいんだけれど。
筋力強化発声。ブリッジで声を渡していく。ブリッジがまず創りたいね。Y山くんここから。彼の身体能力の高さは秀逸だ。活かしたい。声は参加を続けている俳優たちは確実に鍛えられてきた。さらに強化したい。できれば、自主訓練してほしい。Sちゃん、今度発声を見てあげよう。腹式呼吸からだな。Yきは声は出てきた。あとは余裕だ。余裕がほしいね。久々の参加のMよ、さぼっていたな。またスタートラインからだ。Eな、声が出る、身体能力が高い。面白い。エチュード連発。どうしても必要なお金を借りる。Mよから。何度も観た、土下座から。土下座をするには、土下座をする覚悟と心理が必要だ。感情から生まれる行動であってほしいのだ。行動が先走りしてみえる。口八丁の方法もあるとは想う、想うが納得いかない。止める。再度。やはり、言葉が彷徨う。必要なのはただひとつ、実感を伴った必死さだよ、と言う。再度。
いきなり泣き始める。相手役のNちゃんに困惑がみえる。極まった涙はエチュードのテーマからは少し違う質のものに見えたが、かろうじて成立か。Sちゃん、シーンを創るのはうまい。でも、違う、欲しいのはその時の本当の感情だ。可でも不可でもない感情ではだめなんだな。はっきりしたものがみたい。N山さん、うーん、必死になってほしいのだけど。ここでも土下座。Nちゃん、この人、面白いよ。まず情けない顔が自然にできる。このとっかかりで観客は引き込まれるのだろうな。展開も面白い。このひとは可能性がたくさんあると想う。素敵だ。必死になる、には全員まだまだ到達できず。想像力で、自分を追い込んでみることだと想うよ。
身体表現。リズムに乗って歩く。何度も繰り返しているが、リズムに乗れない。困った。身体に音を取り入れていく訓練と混同している感じ、はじめての参加者もいるので、再度説明する。歩くをもう少し進化させたいので、どうしてもリズム。だいぶ、のれたきた。ダンスを習うことも必要、だけれど、必要なのはどんなリズムにも身体を合わせていくことだ。リズム感の強化をしたい。初参加のMきちゃん、あまりに乗れていない。アドバイス。できない。少しあたしがやってみせる。真似でいい、乗り始める。苦手意識は御法度だよ。自信をもつこと。Eなはいい。さらに楽しんでほしい。全員できた。
次回はさらに楽しんで進化させよう。
身体に音を取り入れる訓練、音への身体の反応。本日も相方の用意してくれた新しい音。音に対して、自分にももうひとつのイメージやリズムができることが目指すところだ。これは毎回あたしも参加している。
声も身体の一部である意識。まだまだこれが弱い。リズムのない音を使っているので、どう音に入っていっていいのかがわかってこないらしい。違う、音を自身に入れていくのだ。あたしにとっては非常に共鳴できる不協和は、俳優それぞれにとってはマイナーな内向する、拒絶するもののようだ。これは発見。
妙な当てぶりはなくなってきた。M本、音が難しかったのか、いつもの陶酔までいけていない。でも、このできないことがまた彼を引き上げるはずだ。
Nちゃんから不思議な声が出る。思わず、共鳴した。こういう刺激はいい。さらに全体からほしい。H野さん、地味ながらも忠実。まじめすぎる感もあり。もう少し開放していきたい。 Y山くん、もっと積極的いけ。Sちゃん、この課題がいまひとつ腑に落ちていない様子だな。
エチュード連発。愛情表現のためのエチュード。あたしは愛情の裏表を表現していきたいのだ。愛することを基本に持って欲しい。愛しているひとの裏切り。その反応。ベッドシーンエチュード。とにかく、はっきりしたものを課題にしていく。
Yき、Mなカップルで、連発。発見した瞬間の心の振幅、それがみたい。そして、その感情がどう動き、どう言葉となり、行動となるかだ。
その予想外のことを観た瞬間だ。瞬間が大事なのだ。激しいものよりもその気持ちの動きがみたいのだ。愛情、を持てないとどうしても気持ちは変化していけないよね。
N山さん、Mよはどうしようということを考えてしまう。手段はいらない。気持ちだ。Yきの反応がいい。自然に反応していくこと、それが大事だね。
Eなは今日は気持ちがいつものように動かない。というより、気持ちが弱っている感じ。俳優たるものコンディションは大事だなと感じた。
Nちゃんはこの手のエチュードをやるとやんちゃさが光る。どうしようもなさへの動線がいきなり爆発していく。この俳優、さらに違う課題にしていこうと想う。
カップルをM本、H野さんに変える。連発。M本の寂しさだね、この、男としてのあきらめがシーンとして、痛い。相手を愛してほしいと御願いする。M本の温かいものを育みたい。まさかのシーンを目の当たりにした、その瞬間の反応が鈍いのはどうして?愛情が足りないのではないの?
Yきは、もの凄い執着、独占、嫉妬だ。これはいい。人は沸点に達するとこうなるという、とことんまで観たくなる。しかし、俳優としての客観視ができなくなる、これはだめだぞ。シーンにさらに別の女を加えてみたが、その女の登場に気づかず、不発。
Kちゃん、最高。嫉妬、ヒステリー、シーン創りすべてに最高だった。あ〜、やっと出たな。嬉しい。
経験値を重ねても、こうして感情をドライブする稽古は有効なのだと想った。
号泣エリア。号泣から狂乱まで。初参加の人も含めて挑戦してみる。
これはあと数段階段をあがれば、いいシーンになるところまできた。
Y山くん、感情のアイドリング時間が長すぎる。もっと自分を煽っていってほしい。Kちゃん、あとひとつ形から開放されたい。さっきのヒステリーを到達点とすれば、まだまだいけるのだよ、かならず。
H野さん、なかなか号泣まではいかないが、回を重ねるごとに泣けてきている。Mよ。泣こうとしても泣けないとアドバイス。泣くには、泣く原因がなければね。Nちゃん、今日は泣くまでに時間がかかった。しかし、諦めない。かならず泣く、という安定がある。瞬発力がほしいけれど。
M本、今日は見えているものへの意識が多すぎ。心へ帰ってほしいな。
Yきはある感情のポケットに入るのは早い。そこから先の感情の拡大がない。
何とか糸口を探したいね。初参加のMきちゃん、Mなちゃん、目指す方向は正しい。素直でよろしい。財産よ。
Sちゃんはね、シーンをやらせると面白い。しかし、心に響くものが弱すぎる。観客の心を揺さぶるのが、わたしたちの仕事だよ。
もっと熱い心を持って欲しい。
そのまま、精神病院。これはお互いに探り中の中、すでに10回は重ねたシーン。それぞれが演じる。想像力と知識の中で。ひとり言えば、健常者を入れてみる。客観視する機会のため。今日はあたしにはっきり見えた。形ではこれは成立しないということ。なぜ、精神を病んだのか?そこを探って、成立させるべきだと。それを追求している俳優と形、奇声の俳優の存在の落差がはっきり見えたのだ。これはいける。
発声。腹筋強化で、声の受け渡し。声の連動をもっともっと意識してほしい。
さらに声の強化。何人か本公演の出演者もいる。今年からは声の安定した芝居がどうしても創っていきたい。
そこからの発火だ。声は大事だ。気分では何も表現できない。
声の増殖。2回。それぞれのもつイメージの強さ、表現力。それが増殖へと繋がる。探っていないで、没頭してほしい。2回目、やや納得。もっともっと。
観客の予想を超えたものじゃなくちゃな。
エチュード。寝ている状態から、シーンを広げるエチュード。それぞれの発想、発想の絡み合い。Kちゃん、Nちゃん、M本、Yきの部分が面白かった。連動して、そこを切り取ってみる、さらにシーンへの参加。Sちゃんの面白い発想から、ドライブしてみる。他の俳優がなかなか絡んでこない。もっとアクティブにやらないと。つまらなくなる。飽きて、止めた。
相関図。恒例。1発目。どうしても感情が置き忘れられる。シーンは進むが、つまらない。止める。少し話す。それぞれの感情をしっかり追ってほしい、と再確認して、もう一度。これはシーンを動かしていくことが目的ではない。それぞれの感情がどう変化するか、が目的だ。基本にあるのは関係の作り方。愛情をどう持つかなんだ!アイディアはいらない。身を任せて、反応してほしいのだ。男と女のエチュードばかりやっているけれど、細かい感情が流れていけばこんなに切なくて滑稽なシーンはないというシーンができていくと信じる。
最後は歩く。媚びる、秋波を送る。
嬌声。嬌声の説明を師匠にしてもらう。色気に充ちた声を作りたい。俳優たるもの色気はほしいからね。
さらに探り、あがっていこう。
はじめての方もどうぞ参加して下さい。
経験値で安心しないで、日常訓練に来て下さい。
かならず、磨かれます。