2011/04/04
静かに、心象風景を眺めてみる

稽古場から帰る。開かれた稽古場、参加者4名、見学3名。今回は感情を動かす課題を1時間かけて丁寧に追いかけてみた。深い哀しみ→絶望→怒り→喪失感→ 希望まで。感情を動かす。感情を引き出す。まず、歩きながら、感情を動かしていく。音あり。A子、Kはは心を丁寧に動かしていて、好感。Kはは途中でピタ リと感情が止まってしまった。静かに静かにそれを立て直した。2本目、これらの感情を声で表現する。Mケルは先に声になるので、アドバイス。まず、その感 情を起ち上げることだ。A子は感情を逃してしまうことを必要以上に警戒して、声が出てこない。表現としての挑戦を話す。Kはは耳をすますときこえる声、あ りだろう。それは決して形骸化された表現である必要はない。まずは息づかいから、だということ。3本目、声、身体を使い、これらの感情を表現していく。こ こから加わったMなは、中身が希薄だ。表面的なものは要らない。感情を丁寧に創ること。Mケルは、感情を身体にのせていけない。身体表現だけ、感情表現だ けになってしまう。何かをやろうとするのではなく、ということ。Kはは、身体の連動が今回はまだできなかった。自然に身体が動くようになれるといいね。A 子、この3本目までのアドバイスがやっと繋がってきて、少しずつ身体が動き始めた。自由に動くようになれば、強い中身の感情が活きる。しかし、前向きな感 情を創ることがみんなできない。表情が暗い。
仕上げとして、感情をぶつけるシーン創り、連発10本。KはとA子の感情の切れがよく、いくつかのいい火花や共有が叶った。劇的というにはまだ遠いが、観 客の同化を誘えるシーンになるかもしれない可能性。Mケルはネタ創りに気が向いてしまう。観たいのは瞬間の感情の交換、静かな感情の受け渡しだ。今回の課 題で何度もアドバイスをしたが、Mなは言葉をもっと大切に扱ってほしい。心が動き、それから言葉が出てほしいのだ。
休憩後は
役作り、開放の課題。「ひまわり幼稚園」全員が幼稚園児になる。A子とKはのグミの会話がよかった。幼稚園児の観る世界。3本。偶発的ではあったが、最後は2組のおままごと。シーンとして成立していた。Mケルの役作りの甘さが見えた。うむ。Kはのお父さんが妙味。
煽りとか闘争とか。感情の振り切りができない。今後の課題。
オーディション。それぞれの本音が声の弱さもあり、見えてこない。しかし、声は発声を強化していくとしても、強い感情によっても声は安定するはずとアドバ イス。強い感情を引き出そうとするも、うまくいかず。感情を抑えて、貯めて、吐きだす。Mケルの反応がもうひとつだね。
奇妙な部屋。独り言の妙が効かなかった。それぞれに凝視していると面白いのだが。2組が分かれてしまったので、合流をアドバイス。いかん、いかん。そこがこの課題のポイントだから。うむ。
特筆すべきはここのMケルはよかった。壊れたようなへんな加減が出たときの彼は誰にも真似できない良さ。これがなかなか出ないのが、ネックか・・・
最後は恒例相関図。3組スタートで、3連発。愛と信頼の上での裏切り。それによる感情の機微が観たいわけ。強さと激しさと哀しさが物足りない。そうね、全身全霊を掛けた恋のひとつでもしておいで。
Mケル、よかった。ただ、ここにもうひとつ物足りないものがある。アイデンティテイという奴かもね。
以上。
日常ではないような日常が続いていて、心が凍りついていくようでコワイ。あたしたちはこうして想像力の世界でせめて心の柔軟体操を続けることだ。
役者の心がさび付いてはおしまいだから。
時には声を出して泣いてごらん。
時には声を出して、笑ってごらん。
心象風景が広がるから。