2008/03/10
ひとつ歯車が狂えば、そのシーンは狂っていく。ひとつ歯車が狂えば、芝居の世界も終わるってことさ

開かれた稽古場17回目。日常訓練の稽古場を開いて、まだ深い洞窟の入り口からすこし入ったところ。そんなところにあたしはいると想っている。カウントできない回数まで無限大に続けていきたい。今日は躓いた。あと数日で本番の稽古を観たり、劇場で行われている友人のカンパニーの手伝いをしたり、折り込みをしたり。気づけば、今日はジャケットも着ないで走り回っていて、この薄着は何の様?と呆れながら、興奮する我が稽古場へ向かうハッピーマンデー。
参加者14名、見学1名。稽古場は活気がある。皆が答えのない何かを目指してそこにいる。稽古開始。今日は遅刻の人がいつもより多かった。少しの遅れってのは、もう少し踏ん張れば遅れないはず。へんな癖はとっとと直そう。
歩く。イメージを持って歩く。想像力の訓練だ。場になじむ時間だ。イメージを強く持つことができれば、きっとそれはここまで届くと信じている。イメージを持って歩いている俳優とそうでない者がくっきりとわかる。稽古場にくるまでに、せめてイメージのたねを植えてきてはどうなのかな。
歩きながら、そこから呑気にイメージを作ろうとするゼロからの作業はそろそろやめてほしい。常にイメージと遊ぶこと。それが俳優たるものの日常の日常訓練ではないか。他者とのイメージの接触、イメージが各人違うので、イメージの共有ではない。温かい気持ちをもって、歩く。Yき、Nちゃん、Eなの顔が温かくなる。Tえ、無表情。目に力を入れている。他者と会話する。日常レベルの会話。うむ、これ、つまらない。3連発。それぞれがその時の感情の動きを覚えていてほしい。顧みるということ、大事。
怒り、憤怒、強い感情を持って歩く。Yき、Mもとがいい接触をする。と、そこここで喧嘩の様相を呈する。違うな。違う原因のはずの怒りがちっぽけになって落ちていくのだ。止める。再度。憤怒。怒りのもっともっとはっきりしたもの。気持ちを持つことだ。あたしがみたいのは、本当に気持ちが動くことだ。S井くんはいい。とてもいい。S川くんもいい。Y山くんに勢いがついてきた。なかなか本人は気づかないのだろう。勢いが余って、失速していく。これの繰り返し。でも、これを繰り返すことだ。いつか持続していく。Nちゃんは今日はこのあたりまではあまり心の動きがみえなかった。他の何かを求めたのか?純粋でいいのだとあたしは想った。会話。日常レベルと単純な怒声の応酬。違うな。あたしも探っている。しかし、違う。面白くない。Rね、どこまでも表面的。できるつもりの典型だ。Hずみさん、底力を感じるが、見えてこない。もっと前に前に。M子ちゃん、ダンサーなのに動きが固い。だめだね。内向して、固まっていく。解放、心を柔軟にしてほしい。会話。不毛。
怒りの表現、それぞれの怒りを1点に集めてみる、N山さん、よかった。
Eな、よかった。しかし、今日のEなは最初から不安定な感じ。俳優自身の精神状態は安定していてほしい。求めるところと違う方向に進むときは、ダメを出す。そのダメを咀嚼するのは俳優の責任だ。ダメに理屈で質問がくる。稽古がとまってしまう。むかつく。理屈はいらない、見えないものは見えないのだよ。
発声。今日は背筋強化による声の受け渡し。許容量を増やしていきたい。Y山くん、自主訓練をしているね。声と身体が連動してきた。たとえば、Nちゃんは最初から声ができていた。しかし、その声がもっと強い声になっていく。声の訓練も終わりはない。あたしも続ける。Tえ、Hずみさん、Mちゃん声が弱い。次回は少し早めにどうぞ。発声みましょ。Mもと、S井くんはもっと強い声を本番までに獲得してほしい、N山さんは声が強くなってきた。Rねはいい声だと想うが、何につけできているふりが弊害だね。
うつぶせの状態からシーンを作る。波紋のように広がる連動したシーンが産まれたい。またやろう。きっかけを作る俳優が決まっている。もっとそれぞれに積極的にいこう。Hずみさん、Mちゃん、Mなちゃん。待っていてもね。
エチュード連発。「ラブシーン」ある男ひとり。強い愛情がみたい。巷にあふれるチープなものではない、劇的な愛情シーン。俳優を変えて。ある女ひとり。女優に男優が絡む。一瞬Mもとから強い愛情が見える。愛情と嫉妬と情愛が見えた瞬間。劇的だったね。今日の収穫。
身体表現。ルーリード、リズムに乗って動く。リズム。スタイリッシュにと要望する。リズムに乗る、楽しむ。Yき、スタイリッシュを意識して、リズムから外れる。それぞれがスタイリッシュを意識して、いいダンスシーンにしたい。S井くん、苦手意識かな?もっと踊れ。Tえ、恵まれた体躯、縮まるより伸び上がれ。まだまだ老け込むには早いよ。Eな、一番かっこいいかな。
Y山くん、S川くんはリズム感覚はいい。気持ちが先走っている。連動ね。
身体を楽器にする訓練。音がとてもいい。これを身体で受け入れることだ。実感のない人、ほとんど。Mもと、Nちゃん今日は決まり。わからないままやっているであろう他の人たちに切り取って見て貰う。わかったら入ってもよいと指示。Mもとは音と融合した。陶酔した。やったね。Rね、Tえが加わる。他の人々も加わる。出来ているひとをみる時間をあげたのだから、もっとみればいいのに。S川くん以外、わかっていないね。Nちゃん、途中からどっか、違う世界にいってしまった。それもありかもしれないけど。音を入れ込もうとする集中力に欠ける。それから、あたしのひたすら好みの音に拒絶反応があるのか?それならば、その拒絶の現れ方があってもいい。ダンサーMちゃん、固い。何とかすること。ただ、音に身を任せてみることだ。
エチュード。歓び、落胆の表現。全員同時に。それぞれにイメージは見えた。
さて、劇的なるものを探したい。
エチュード、号泣エリア。Eなの号泣をスタートに加わっていく。Mちゃん、号泣までいききれない。次の号泣が続かないね。N山さん、感情のドライブをもっと早くしてほしい。号泣エリアでのドライブ時間が長い。Nちゃんのスイッチの入り方が安定してきた。Yきもいい。Tえもこのあたりから目が覚めた?オッケー。Y山くん、すぐ泣けたのに、失速。持続して、拡大していきたい。S井くんの作業は全般的に嘘がなくていいね。好きだ。
Hずみさん、Mなはまず泣けるまでいこう。早くね。Mきちゃんも持続力不足。S川くん、スイッチ入り始めたね。
目指すは号泣から狂乱、真空状態まで。Eなは少し掴めたかな。
殺したいほどの愛情、憎しみ。豹変の瞬間だけがほしいのだ。殺して、どうしたいのか?想像力。感情の想像力だ。Nちゃん、あの狂気、いいね。
Tえ、今日は強い愛情は見えた。そこから、殺意に繋がらず。次回に期待しよう。あたしが求めるものは、本当の感情、本物の感情。その変化だ。
声の拡大。声は身体の一部だ。その意識をもっと強くもってほしい。身体がぬるい。
恒例相関図。2連発。感情の細かい受け渡しがみたい。次回は少し丁寧にやってみたいと想った。日常生活はいらない。本当の気持ちの動きがみたいのだから。ここは稽古場だから。
稽古後、つまらない喧嘩。勘弁してくれ。前向きな喧嘩をしよう。ここは稽古場だから。帰りに稽古場の社長に頭を下げる。なさけない。
歯車が狂った。ここは自由に感情を動かす、温かい稽古場でありたい。感情を動かすことは、感情をとげとげさせて、他者といがみ合うことではない。
あたしの稽古場は芝居を創る稽古場だよ。心して下さい。
こういうこともあるだろう、だけど、もうたくさん。
純粋に俳優を目指し、極め、観客の心を揺さぶることを捜しつづけられる
そんな方だけ参加して下さい。
まずは、芝居が愛せる人、
絶対条件とする。