2011/09/05
ピンター稽古雑感

吹く風は秋の風になり、季節は巡る。演劇の将来を憂いながらの昨今、稽古を進めることができている幸せを時折、噛みしめる。今回のピンター座組は友人たち も多い。日々の連絡や会話がさりげなくできる現場は空気が優しくなっていい。やはり芝居は誰かのためではなく、それぞれの人間達の支え合いとひいては反応 で創り上げていくものだと日々感じる稽古場だった。本読みから荒立ち、小道具、出道具、舞台の調整といったところで昨日から自主稽古期間に入った。
酒呑み友達が参加しているので、何回か痛飲した。自主稽古前日の呑みは若手たちの参加で懇親会のノリで呑んだが、酒呑み友達との呑み席ではなんだかずっと芝居の話をしてグラスを重ねた。戦友だな、とつくづく想った。有効な酒は媚薬だわ。
女子スタッフも早々から稽古場に顔を出してくれて、同時進行で進んでいる「マリーアントワネット」の稽古の話もして支え合う。スタッフのお陰と感謝して、頑張ってほしいな。(こちらもよろしく。劇団羊のしっぽ扱いチケットご用意できます。)
まだ本番を抱えている役者さんもいるけど、こちらに対しても真摯な稽古をしてくださったので、問題なし。いい公演を終えてのお戻りを待ってます。
チケットの動きも上々ですので、お早めにご予定を頂戴ね。
 
そんな中、月曜日はコツコツと日常訓練、開かれた稽古場を続ける。ここ数ヶ月は台本を書き、それに沿った作品を1本仕上げている。毎週の台本は過酷だけど、成果もはっきりとみえるので、当面は頑張ろうかな。役者たちもあたしも日々精進だ。
今回は心を丁寧に動かすために、言葉を丁寧に意識していくための作品にした。
「ソギオトス」 作・演出 森島朋美 即興音 DubMasterX
出演 Mケル・Hで・Y木くん・H子
見学2名。脚本家さんの感触を聞きたかったが、どうだったのかな。
感情をぶつけあい、さかなであう。身体表現。
舌を抜く。言葉を排する。
それぞれの肉体と感情が直結していく。H子が弱い。
台本割愛。

この作品において、身体表現の弱点が明らかに見えてきたので、身体表現特訓。加わり、刺激していく。音との共鳴、身体の動き、呼吸。刺激を加えると動きが変わる。まずはそれを覚えておいてほしい。目指すのはトランス状態である。
自身としてはよかった。なんちて。
続いて、奇妙な部屋。1本作品を仕上げておくと、続ける課題からの嘘の表現が減る。それがほんとのリアリズムだと想う。空間を愉しむことがすんなりと叶っていく。Mケルが面白かった。
Y木くんが器用なだけじゃなくなってきた。まだまだよくなるだろう。そこに留まらず、続けることしかないね。
Hでは激しい表現は非常にいい。繊細な心ももっているのだが、途中から爆発方向に切り替わってしまう。昔のM田Y作さんのようだね。細かい心情を追えるようになったらいいね。
H子の中から自己顕示の部分が消えきらない。まずはそこから。本物の感情に嘘の感情はがぶり飲み込まれてしまうってことだ。白日。
最後に恒例相関図。Y木くん、Hで、Mケル、H子。久しぶりに細やかな愛情が見えたいいシーンになった。もっともっと愛情が深くなりますように。
以上。
繰り返す、繰り返す。稽古は繰り返して、小さな発見を続けること。
いつかそれが大きな役者を育てるのだから。
劇的瞬間を想像して書けるあたしでありたい。劇的瞬間を産んでくれるのは、役者それぞれの反応である。
それは確かなことなのだ。
何もない空に投げる言葉も台詞も、ひとつもない芝居が創れたら、きっとそれが巧いシバイ、いい芝居だということよ。キモチもことばもすべてどこかに向かっているのだという事よ。
対象のはっきりしない言葉やこころは排除することよ、すべて。
きっとそういうことなのよね。