2011/09/12
日々雑感。稽古作品「サスサスツツム」

ピンター公演の出演者に本番を抱えている精力的な役者さんがふたりいるので、今はそれぞれの自主稽古期間で、かくいうあたしは日々小道具を探し、宣伝の毎 日を送っている。以前もどうしてもとっくりが見つからない、とブツブツ夜道を歩いていたら、径の真ん中、月明かりに照らされてとっくりが落ちていた。落ち ているんですよね、欲しいものが。芝居を活かすも殺すも衣裳や美術や小道具だったりすると考えているので、芝居をはじめてからずっと小道具には拘ってい る。今回はマグカップがどうしてもイメージ通りのものが見つからなくて、役者さんたちやズーズーしくも先生にまで「ごっついマグカップ」というタイトルの メールをした。
それぞれから返事がきて、先生からは「事務所にそれ風のものを出しておきました」とメールがきた。早速事務所に行くと・・・「うわああ」と叫んでしまうほ どにイメージ通りのマグカップがちょこんと鎮座していたのだ。いい役者さんが出演を快諾してくれた瞬間も嬉しいけれど、こういう出逢いも嬉しい。
こんなに素敵なマグカップが何故に事務所にあるの?というくらい、嬉しかったわけ。イメージをがっつり掴んでくれた先生も流石だし。というわけで、本番用の小道具もこの自主稽古期間を有効に使い、もう揃った。これからは衣裳や出道具や動員に集中していける。いい感じ。
芝居作りは1日24時間、1日たりとも気が散れない。そうじゃなくて?
娘が絵に夢中で、箱をみると全部欲しがるという箱フェチなので、それを指摘したら、「芝居フェチ」とそんなにかわらないと想うけど?とニヤリと笑われた。
ま、そういうこと。相方は部屋にこもって、わけのわからん音作りばっかりしてるし、娘は絵を描いてるし、あたしは芝居、芝居と小道具探して、芝居の案内ばっかり送っているし、そんな家庭は面白き哉。

さて、月曜日は開かれた稽古場。お借りしている倉庫のご近所からのクレーム対応の防音板を立てて稽古をしている。この板も強化が必要だわ、と叩きの得意な男友達にメールしたら、場所どこでしたっけ?と即返事がきた。いい奴だわ。
参加者の声もいつの間にか芯のある声になってきたし、いい環境にしなくちゃ。
今回も作品に挑む。「サスサスツツム」
声、あるいは言葉から嘘を排していきたい。反応し、融合し、反発していく。
作・演出 森島朋美 即興音 DubMasterX
出演 Y子、R音、H子
言葉を使わずに突き刺していく。刺された反応は身体表現+声のみ。
刺す擬音あり。
赦す。赦しを乞う。
身体表現。
破壊音。
拒絶する。
激しくめった刺す。
喪失とか虚脱とか。
随所、止めながら、修正し、進める。言葉を排したときに見えてくるものを探る。
役者が感じているものがそのまま空気感を生んでいく。
台本割愛。
Y子に集中力がついてきたので、よくなりつつある。R音が続けてきたことでぶつかる壁に迷っている。こころを動かすことに引き戻すといい表現がでてくる。しばし、これを繰り返そうと想う。
H子がどうしても表面的になるので、嘘になる。嘘はホントに負けていくのだよね。台本は、感情を操る形に細かく書いているので、役者たちの感情が作品を埋 めていくことになるのだ。そこに台本が見えない作品を創るためには、ただ、そこに存在し、ただ、こころを流れの通りに動かし続けてほしいってことだ。
さらに、色気、秋波を身につけるために。話をして、音在りでウォーキング、ポージング。ダメと動きの修正をしながら、最後は二人組、三人組のポーズも決まってきた。Y子もH子もいい女になったよね。R音、かっこいいんだよ、君。笑
続いて、愛情表現のための課題。愛は言葉でつなぎ止めるものではないし、疑いは言葉で晴れるものでもない。されど、人は言葉を使い、足掻く。
「裏切り」
Y子、H子組 そこにR音、R音、H子組 そこにY子。
ダメだししながら、繰り返す。Y子の感度がよくなってきて、嬉しい。はっきりした感情が動くようにようやくなってきた。さらに頑張れ。
H子、口先ばっかり。まず、心を取り戻したいね。まあ、めちゃくちゃ面白いんだけどね。受けるR音と芸人モード突入。これは確変として、いずれ活かしたいとは想うけど。M本とも組ませてみるか、笑いの課題としてはいけるかも。とこれは皮肉ではなくね。
ただ、小器用な役者なんてつまらんとあたしは想うので、ダメは出します。あしからず。
最後は恒例相関図。ごまかすことばかり巧くなって、と、そういう女性はある面、哀しくて。それもありだとは想いつつ、己に課題として、一石落ちる。
以上。