2011/12/26
開かれた稽古場 稽古納め。今年はそれぞれに進歩した。ローマは1日にしてならず。

最後の稽古を終えて、明日はもう大晦日。カレンダー通りの毎週月曜日の開かれた稽古場なので、今年はクリスマスの翌日にもう最終稽古。つまり、今年最後の 月曜日となった。音のDubちゃんもライブのラッシュで、見学皆勤のHも受験の追い込みで欠席で残念だったが、参加者たちはちょっぴり念頭に「稽古納め」 の意識を持ってくれたのか、息を切らして集まってくれた。参加者5名。Y子、H子から遅刻連絡がきていたので、まずは松本と雷音のふたりで、小作品。これ は課題として5つのプロットを考えてきたもの。「修羅場」1,人物図鑑。2,出合う。3,出合ってから、ある時間が経過する。4.それぞれの人物の内面場 面。5,修羅場
M本の人物とR音の人物が相反する人物になって興味深かった。ただ、どちらも中途半端だったので、少し修正。R音は内面を追えるようになったが、それをど う伝達していけばよいか、がまだまだ。でも、内面はとても大事なので、ここまで内面を追えるようになったことは稽古継続の賜、大切に。M本はダメが通るよ うになり、愉しい。そうじゃないを繰り返してきたけれど、成果が上がってきた。この課題でM本の瞬間の変化が素晴らしかった。この瞬間を産める役者さんが どれだけいるかと想うね。ふたりの変化のバランスもよく、それは互いの反応とクチを酸っぱくして言ってきた成果あり。R音の反応の妙と言える。修羅場はや や物足りなかった。ガツンとしたものが見たかった。
この課題の途中で女優ふたり到着したので、続いて作品に挑む。今回はエロティシズムを追ったものを書いた。「色は匂えど、この世は千切れ、どんでんどんでん真っ暗闇よ」作、演出 森島 音 時刻を刻む時計の音が続いている。出演 松本渉・雷音・小池H子・ようこ
色気のある役者でありたい。エロティシズムを表現できること。
身体表現と身体の熱さ。そんな作品。指と身体と声で表現するシーンからはじまり、さらけ出してみる。松本とようこに何度も熱く、いいシーンが産まれた。H子は色気を一度とらえ直してみるといいかも。
世紀末を実感し、エロティシズムに溺れていく時。そこには闇と情欲が蠢く。観客席が疼くような、そんな仕上がりにしたいねえ。迷っていたR音が後半妄想の中に入り、よくなった。エロイ。それぞれの蜜であり、それぞれの毒であり。
来年からも色気の課題は書いていきたい。舞台の上でエロティックな表現が成り立ったら、なんてステキだろうとずっと考えている。熱くて、品のいい、究極のエロティシズム。
次は、「笑い」これは笑わせること、笑うことのための課題。
歩きながら、面白い話をする、聞く、笑わせる、笑う。芸人R音にはハードルを上げるために連発と目論んだが、途中Mケルが駆け付けたので、そんなに連発にはできなかったか。ごめん。笑わせる話術も虚実ないまぜであろうな、と想う。
Y子も面白かったが、あたしに振りながらの話が惜しかった。充分通じるし、笑えるはず。H子の話は、リズムもあって面白い。活かしてほしいね。M本はこう いうことをもっと重ねてもいいのかもね。落とし方も巧かったし、現実に日常に面白いことがころがっていそうな環境も有効だしね。
笑う、については、日常の聞き方、笑い方ではダメなのだと想うよ。拡大して笑うこと。最後の笑いの唱和は、ありゃ、だめだ。
最後に恒例相関図。2連発。無対象のたくさんの登場人物を入れていく。回を重ねる毎に埋まってはいるが、綿密に繊細に、さらに重ねていこう。
けれど、この課題も積み重ねて、ダメを繰り返して出し続けてきたら、それぞれが細かい感情を追えるようになってきた。これからさらにさらに練り上げて、瞬間瞬間で新たな発見が起こり始めたら、いいね。
今年も1年、終わった。この稽古場で重ねてきたことがそれぞれにはっきりと見え始めた。松本は格段の進歩の1年だったし、ようこは女優になってきた。玉井 は個性に+αの階段を昇った。雷音は行きつ戻りつしながらも、内面追求ができるようになってきた。マイケルは自由に自由に羽ばたき始めた。どこに飛んでい くのやら、だけど。何かに役に立つだろうから、これからも続けたらいい。音のDubちゃんも中盤あたりから即興性や欲しい音への執着心が高まり、嬉しかっ た。畑違いの芝居の世界という壁がやっと崩れ始めたのだとしたら、尚、幸せだけど、果たして?
年間通して、今年は募集をかけずに濃い稽古をしてきたのだが、吸い寄せられるようにステキな役者さんたちが参加してくれたりもした。
いい役者が風に吹かれて立ち寄るような、そんな稽古場でありたい。
来年もどうぞよろしく。
あたしも毎週の作品書きという圧力で、かなり鍛えられ、演じてくれるあなたたちの成果に鍛えられた。ありがとう。
これからも失速することなく、続けていく。
2011年 師走 劇団羊のしっぽ