2012/02/13
はじめの一歩

劇団のホームページからときおり公演の問い合わせや過去の芝居の感想や励ましメールが届く。観客の記憶はそれぞれに発酵していて、創り手のキモチを言え ば、とても嬉しい。ふっと記憶の底から湧き上がるような芝居が創りたいと、それがあたしの願いだから。そんなメールの中に若い劇団からのメールがあった。 何でもうちの芝居を継続的に観てくれている若い役者志願の、しかも寺山修司が好きな子たちの集団だと言う。うちの芝居が好きで、そういう芝居をやりたいの だとあった。丁寧にお礼を返したら、またメールがきて、演出と指導を依頼された。演出についてはうちの分家を作ることは何の意味もないことだし、丁寧にお 断りした。指導、って奴もあたしは大嫌いなので、生涯修行の身の程知らずで指導側になんて恐ろしくて回れないと考えている。若いエネルギーはとてもまっす ぐで、とても強くて、何度も何度も食い下がってきてくれるのだけれどね。やりとりを重ねて、うちの稽古に誘ってみたが、これからはじめる彼らは謙遜に謙遜 を重ねて、自信がないやらコワイやら言う。それでも食い下がる彼らの熱意に負け、指導ではなく稽古を見てあげようということになった。
何より寺山さんが好きだと言うので、寺山さんの戯曲をテキストに使えるし、ってところがあたしの食指を動かしたってことかもしれないし、久しぶりにやる気 だけは負けないという食い下がりに心が動いて、腰を上げることにした。報酬まで彼らは話し合って決めて提示してきた。先生ではないので、と報酬は公演費用 に貯めなさいよ、と助言したが、そうはいかないと食い下がってくる。そうね、それじゃ、対価はありがたく頂戴することにするわね。と決めた。どんな劇団に なってくのか、はじめの一歩は愉しみでもある。
開かれた稽古場にもきゃぴきゃぴ元気な男子が参加してきた。参加者3名で丁寧に作品を創ってみた。「晴れた日は」作・演出 森島、音 Dub 出演 Y子、Mケル、新人Kくん
しつこく繰り返しの稽古になったので、稽古日記はあっさり。それぞれのダメ出しを反芻してみてね。稽古内容は作品創りと相関図。そして、四股発声。
今回はほのぼのした作品。観客にほのぼのしたキモチを提出できる作品もたまにはね、書きますよ。シーンをひとつずつ作っていくためには、繰り返し、繰り返し。
はじめての参加、これからの自分探しをしたいというKくんにはこれからじっくり芝居の醍醐味なんてことを伝えていくしかない。とにかく続けることだね。
華やかで、花のあるシーンがなかなか出来なくて、残念。
日常を板に乗せたって、ダメなんだよな。それぞれの照れや自己顕示やそこそこで手柄をなんて姑息なものはすべて取り除きたい。確実な力を身につけるには大 いに恥をかくことが必要、得意なことは伸ばせばいいけれど、得意なことのレベルは上げ続けなければ頭打ちになる。それに得意なことはきっと出来て当たり前 のことと想った方がいい。
こちらもM本が本公演の稽古に入ってしまったので、はじめの一歩の稽古場になるのかな。それもつまんないので、各位、馬力をあげてほしい。
あたしも創りたいものを鋭く追いたいと想う。開かれた稽古場では甘えは止めて下さい。あたしもさぼらず続けるので。
今回の成果としては特記することなし。役者としての意識改革がまず必須と感じた。
芝居仲間が稽古場の防音板を丁寧に補強してくれた。素晴らしい仕上がりで仲間の協力に感謝、感謝。これで発声もさらに強化していける。ありがとう。
稽古帰りに外郎売りの話が出た。たまには基本の基本をやりますかね。ということで、次回は外郎売り、暗記してきてね。
以上。