2012/03/12
終わりなき感情。心技体を目指して。

月曜日は開かれた稽古場で、「ENDLESS EMOTION」という新作を書いて臨む。稽古場に着くとY子しかいなかったので、この作品は出来ないと考えて、作品に必要な要素を刻んで創ることにし た。この作品は感情の蠕動を描いてみた。様式による表現から、感情を喚起して、感じ合うことを重ねていく。
まず、Y子なので、身体表現ではじまる幕開けシーンから次の「感情の畸形」のシーンまでを創る。今回は踊りやすい曲を指定する。Dちゃんから的確なダンス曲が出た。
身体表現、と考えずにスタイリッシュに踊ってほしいとお願いしたが、ここでまずノッキング。あれ?と想い、修正する。静止の部分がないので、アニメーショ ンダンスにしてみようかと提案してやってみるが、決まらない。軸、目線、静止を念頭にダメ出し。と、息を切らしてHでが入ってきた。
出演者がふたりになれば、この作品の感情の交換は出来るので、作品に挑む。
作・演出 森島 音 Dub 出演 Hで・Y子 見学1名
まず、冒頭から作品を説明してスタート。今回は3分割して、ダメだし、修正しながら、ラストまで創った。
細かくやれたので、稽古日記は覚え書き。
感情を動かすことと身体表現。Hでの感情は相変わらず、繊細に蠢くのだけれど、最近いろいろと考えた結果、突き抜けた感情が埋もれてしまうようになってしまっている。
幕開きのダンスは2回目、Hでがかっこよくなった。感情の畸形の身体表現が決まらないので、やってみせる。書いているあたしがやることは、身体の特殊な表 現だけにしている。当てぶりになっては一環の終わりなので。Y子の身体表現が畸形化していかない。筋肉や関節、ひとつひとつで考えてみてはどうかと想っ た。
音の即興でHでがいい具合に壊れてよかった。筋力もあり、身体能力が高いので、破壊的表現は非常にいい。
佇み、暗転による場面変化の中で、男と女は幼児の頃の記憶の中に埋没し、泣きじゃくる。再び明かりが入るとそこに男と女が佇んでいる。
何を考えているのかわからない、あるいは、虚無の姿に見える。
無機質な歩行。女。佇み、振り返ると男をその視線は捉える。男、気付く。
ふたりの感情は動き始め、蠢き、選ばれた言葉を交わし、情念の海に漂いはじめる。
はじかれたような抱擁、それは身体表現となる。
暗転。再び明かりが入ると背中合わせの男と女。
疑い、問いかけ、修復し、ごまかし、それは次第に猜疑になり、ウソを付き、責め、開き直り、憎み、憎み合う。
ただし、これはすべて背中合わせで感じ、伝え合うだけのシーンである。
動き出す男と女は、何度も視線を交わし、強い拒絶をする。
拒絶は加速度的に強くなり、暗転。
明かりが入るとテーブルに座る男と女。そこには不愉快なほどの嫌悪が流れている。
言葉を交わすが、それは決して会話にならないそれである。
以下、台本割愛。

男も女も最後は感情の畸形になっていき、
叫ぶ。
「やめてよ」
「やめろ」
暗転。客電。
今回の稽古で感じたことはY子の心と身体が繋がらないこと。心を身体表現していくことができない。これは、ダンス、身体表現から切り込むよりも心を開放し、動かし続ける訓練によって鍛えるべきだ。
Hでは感情をただ動かすことにもう一度立ち返ってみたらいい。以前は勢いで叫んでいたことはもうしなくていけると想うのだ。
細かく進めたので、残り10分で恒例相関図。
5人の無対象。無対象の相手のとらえかた、今後の課題。これはシーンを創る時にも役に立つので、また挑戦していこう。
以上。

かくいうあたしは本日、ピンター研究会参加。
頂戴するダメだしはすべてに正しく、すべてに出来るようになりたいこと。心と頭を連動させて、自由に動かせるようになりたい。
役者稼業、加減も含めて、これでよしということはない。欲深く、精進あるのみ、と想う。イメージしたことを体現すること、観客席まで届かせること。心技体揃えたい。
そして、寺山若手集団の稽古へ。ひたすら発声強化。引き受けた以上、厳しさを教えようと決めた。なので、1時間の発声訓練。今回はすべてブリッジ発声、四 股発声にする。女子のほとんどがブリッジが続かないので、身体に乗せて、持ち上げ、ブリッジ矯正。発声もフルセットあたしもやる。流石に、へろった。男子 も女子も年齢も関係ない体育会系だね。
あたしもキツイけど、乗りかかった船、しっかり舵を取っていくよ。
精進、精進。
稽古は続くよ、どこまでも。