2012/04/23
たたそこに佇み、心を動かした時、そこに劇的なるものが産まれるか?

毎日なにがしかの稽古をしている。それが、経済にも繋がってる稽古が三つあり、自分のための稽古が二つあり、どれも正対している。
いい芝居が創りたい、いい役者と出会いたい、いい役者になりたい。
月曜日は開かれた稽古場だった。冷たい雨。稽古場前で煙草を喫っていると次々に参加者が来る。常連メンバーが三々五々に集まる感じはとてもいい。
参加4名。見学1名。
集中して新作に挑んで貰った。「暗闇の展覧会 風景画の前にて。」作・演出 森島
出演 松本渉・玉井英棋・内田雷音・マイケルリュー

客電が落ちると暗闇の中で、
靴音が響き始める。靴音は規則性を持たない。不協和の闇からの音であってほしい。

靴音が暗闇の中に響き続ける。
つと、靴音が一斉に途絶える。

逆光のような明かり。
前後に規則的に並ぶ人々。
何を見つめているのか?
1枚の風景画。
しばし、絵を眺める態。
つと、その表情は「あの時」を蘇らせる。
暗転。

靴音が暗闇の中を歩いている。
つと、靴音が一斉に止まる。

どんよりとした明かり。
四方に規則的に並ぶ人々。
一枚の風景画を見つめる態。
つと、その表情は「至福の時」に回帰する。
暗転。

明かりが付くと
舞台奥から見えない敵に挑む人々。
挑発し、ののしり、正論をぶち、それは言語の機関銃の如く。
見えない敵は空間を拒絶して動き、
人々は挑みを続ける。

つと、見えない敵の反撃。
戸惑うほどの強い反撃。

人々は戸惑い、しかし、立ち直り
さらに挑む。
暗転。
明転。
舞台奥から複数の反撃を受け続ける人々。
その人数はひとり、ふたりと増えていく。七人の敵。

人々は惑い、しかし、挑む。
暗転。
明転。
舞台奥から無数の、謂わばスキャンダルに巻き込まれる人々。
それは地の底から、空を切り、
湧いては消え、人々を追い込んでいく。
人々は言い訳を淀みなく繰り返す。言い訳に言い訳を重ねて、口をつぐむ。
無音、静寂。

身体表現。無音の中、静的表現でありたい。
心象風景画としてのそれ。

暗転。
しばしの無音、暗闇。
ぼんやりとじわじわと明かり。
人々は「ある決意」をして彷徨っている。
人々の心はもう動かない態。
放心の態。
暗転。

人々は

首を吊る。

以下、割愛。途中マイケルに集中力が欠け、何度もダメを出しながら何とかラストまで創った。
心が混線していくことができたか。最後のシーンのマイケル、素晴らしかった。
続いて、笑い50連発。観客を笑わせるための演劇的実験。リズミカルにと声を飛ばす。途中やや、緩む。
が、面白かった。下ネタに落ちすぎなくて良かったわ。汗。
連続して、哀しい話。10連発。終わって、アドバイス。
劇的を探る。
最後に9人の人物設定をして、無対象相関図。M本は仕分けが巧い。そこに心の動きが載れば完璧だね。R音、途中、わからなくなったと白旗を揚げて、あたし に話しかけてきた。急ぎ、説明するとふいに飛び出していった。完闘精神見事。この日、彼は誕生日。誕生日に自由参加の稽古にきた甲斐ありだね。
Hではやはりまだテクニックがない。最後に全員が退場してしまったので、大ダメを出す。次回に期待。舞台上に誰も見えなくなってしまったよね。笑。
以上。
とにもかくにもうちの稽古場では劇的なものを産んでいきたい。観客の予想を超える世界を創っていきたい。それだけ。
役者たちのモチベーションが高くなっている。稽古の後の食事の席で芝居の話が増え、黙り込む瞬間が増えてきた。非常によいことだ。
辛い螺旋階段だよ、稽古なんて。でも、稽古を続けることであるときかならず、その階段をグルグルと上に昇っているのだ。ジャックと豆の木のように、その階段はずっと上まで続いているだろうけれど。
苦しくなることもあるだろう。けれど、続けるといいよ。きっと。
素敵な役者たちばかりだ。誇らしいこと。
黄金週間のようですが、うちは休みません。