2012/04/30
キャスティングという仕事、そして、やっぱり芝居が好きであることの強さ。

今週も開かれた稽古場。初参加の歌い手とレギュラー、あたしの懐刀でもあるM本とこのところあたしの攻撃に戦々恐々で兜の緒を締め直した様子の音 Dちゃ んの四つ巴で一つの作品を創った。新作だ。よく書けるなと我ながら感心したりするが、あたしの中には無数の言葉と無数の絵があって、御陰様で、どんどん書 ける。すべてが秀作とはいかないが、そこは役者たちと音の相乗効果で形になっていく。ダメだししながらの稽古だったので、覚え書きのみここに残す。
「あい」作・演出 森島 音 Dub 出演松本渉・S木S美
あ、い、というふたつの音から物語が進む作品。身体言語である音。そのおとが持つ意味。意味のない言葉の羅列。
ふたつの音は作品の中で、次第に形になっていく。
突然壊れる形。フリークス。壊れたものの美と醜。そして、挑み。
やにわに、個となる俳優たち。口々にメッセージを発信していく俳優たちは、観客席に言葉を投げつけるのだ。
ふと気付くと、俳優達の口から出る言葉は、あ、いという音声のみとなっていく。
メッセージを持った音声。
次第にそれらは静止し、ダンス曲に変わっていく。
以下、割愛。
はじめて芝居の稽古に参加した歌い手Sちゃんにかみ砕き言葉を投げ、ダメを出しながら進めた。
ふたりと音の共存で創っていった。フリークスの身体表現を指導する。フリークスの泣き、哀しみ。Sちゃんが弾けた。まずはここからではないかと想った。
松本は弾け続けて、非常によかった。まだまだ落ち着かなくていいと想った。巧くなんてどうでもいいしね。なんてね。暴言か。
45分の作品に1時間半かける。Sちゃんには効果的だった。
最後に奇妙な部屋。よかった。
以上。コツコツと埋めていく。近頃、稽古後のぐったりはもの凄く(役者もあたしも。笑_)でも、仕上がりはよくなっていて、役者たちも混線し続ける。
この蜘蛛の糸を足掻いて抜けたら、みんなきっといい役者になっていくよね。
諦めるな。で高みを目指そう。

そして、かくいうあたしのキャスティングという仕事の大きな勝負がやっと決着した今日。勢いと冷静さと沈黙と間と、まるでピンター戯曲を地でいくような日 々を送っていた。今回の秋の演目を主宰から聞き、本を読み直した。この時から浮かんでいたある役のキャスティング。制作者という立場、どのタイミングでそ れを伝えるか、だった。
先生からのGOサインは青天の霹靂だった。嬉しかった。が、そこからが仕事だ。交渉事の道筋を考えた。間髪入れずに行動力で動いた。話した。手紙を書いた。メールを投げた。電話を掛け続けた。今日は雨ですねとか、では、また、を繰り返した。
そして、出演したいとの電話。そして、スケジュールの調整、相手役さんへの説明、他の出演者の事務所さんへの説明。スタッフへの協力依頼。
すべてが今日、終わった。芝居は皆の呼吸で出来ていく。さて、稽古、そして、公演までが愉しみだ。皆様、どうぞよろしくです。
あとひとりのキャスティングを終えたら、情報公開時期をまたお知らせします。

明日は晴れるかな。
寺山修司命日。いつものいつもの墓参り。
今年は少し晴れやかな日になりそうだ。
至福の舞を踊ってこよう。