2008/04/14
基本を想い出すために

開かれた稽古場。公演中止を決めて、もしかしたらあたしひとりかもしれない、と覚悟していた。参加表明のコメントやメールがポツポツと入って、参加者6名。見学1名。日常訓練のコツコツを心に留めてもらう稽古にしよう。ひとつひとつの点検の日。イメージの訓練をまず1から。今までやってきた歩行とイメージを連動させた訓練、またそこへいきたいと思うが、今日はあれもこれもをできるだけ簡略化してみる。イメージを持ちながら、まっすぐ指定したラインまで進む。6人、一斉に。Kさわくん、前回より心が動いて、風景が見えている。ただ、持続ができないので、あっという間に到達。M子はもっと心を柔らかくしなければならない。ダンサーだけに動けるのだが、イメージが届いてこない。Nちゃん、今日、こちらに届いたイメージはとても強い、強靱な、こわいイメージだった。さて、彼が観ていたイメージは何だろう?時間を見つけると参加してきたNちゃんは随分と身体に表情がついてきた。N山さん、彼女もイメージに向かっていくことを掴んだ。ただ、イメージがいつも同じ色合いなのがつまらない。Yき、イメージを理屈で考えようとする。それがはっきり見える。だから、見えるものは散漫で、弱い。到達までの時間を決める。2分。辿り着けない。再度。2分を意識において。Kさわくんのイメージがさっきよりも伝わってくる。彼がどんなイメージを、どんな絵を、どんな音を聴いていたのか。Yき、弱い。リラックスした状態から、イメージ。「鬼」「熱」「風」3題。今日はそれぞれにイメージが鮮明だったように、強いものを感じた。最後は全員で「恐怖」他者を意識におき、シーンをまとめる。恐怖がふれあい、弾ける、逃げる、声が出る。とてもいいシーンになった。皆の表情にも変化、連動した変化が見えた。空間を使った歩行。今日はそれぞれに「ある感情」を持って歩くことのみの指定。それは、怒りでも悲しみでも歓びでも嫉妬でも甘えでも強がりでも絶望でも、幾通りでも幾万通りでもある感情。その中から何か、感情を持つこと。感情は加勢していってほしいと思って観ている。なかなかあがっていかない。ある感情を持ち続けることは、体操のようで、実は常に感情を動かすこと。Mちゃん、心が固い。さて、どうして破るかな。Eなは、持つ感情は強い。けれど、感情の袋がむき出しでぶらさがった感じ。身体が連動していかない、これもまだ訓練不足だと想った。しかし、この豊富な感情は守りたい。手を打つ。出逢い、感情をぶつける。怒りと歓びが、相違する感情がぶつかったときにどう変化するか。これも反応が大事だ。
繰り返し、3回。EなとNちゃんにいいシーンができたので、切り取る。このシーンに他の俳優が加わり、シーンのドライブ。Eなは恐怖、Nちゃんは歓び。
Yき、このひとは感情がストップする、体も感情も止まる。これはよろしくない。反応ができていない。もっと相手役に委ねてみたらと想う。再度。回り始める。N山さんがNちゃんに「下着泥棒」の濡れ衣、回りも興味と疑いで加わる。Nちゃんの否定が困惑に変わった。止める。実は「下着泥棒である」ともうひとつの要素、を加える。再度。どんどんドライブし、面白かった。開き直ったり、怯んだり。誰もが心が動いていた。この感じ、とてもいい。大成功。どんな感情を動かしても、楽しいこと、リラックスできていることが大事だ。それが芝居の醍醐味だろう。
発声。それぞれの発声が強くはなっているが、発声が実はあいまいである人が多い。今日は想いきって、点検する。集中、緩和、腹式呼吸から。ひとりひとりをみる。思いの外、お腹に入っている息が少ない。これでは、10日も公演したら、かならず声がなくなる。腹式呼吸は無声でできる。自主訓練強化。Eな、立派な体躯、もっともっと息は入る。Yき、あまりに少ない。彼らしいソフトな声は魅力ではあるが、やはり声の訓練が必要だと想う。Mちゃん、Kさわくんはこれから。N山さん、腹筋が弱いのかな。お腹の息と声が繋がっていない。腹筋強化。Nちゃん、腹式もできているし、声もできている。もっと鍛えて、強い声を手に入れたら、もっと素敵。発声。鼻音の確認。鼻音から口角を変化させる発声。全員、「あ」の口、に届かずかな。思い切って開けて。
座位による発声。座って、腹式への意識が弱くなる。腹式、常に、ね。
前屈による声の受け渡し。どんなサーカスをしても声の出る俳優たちになってほしいわ。Mちゃん、Eな柔軟性あり、N山さん、まあまあ。Yき、固い。足が長いせいか?と想うが、やっぱり固い。柔らかくしたいね。Kさわくん、若いので、オッケー。柔軟性あり、もっと柔らかくなるね。続いて、お待ちかね、外郎売り。誰もプリントを離さない。がっかり。覚えること!1行づつ渡していく。セリフとして考えるとNちゃんは流石。覚えてね(笑)、Eな、誉めてあげるのを忘れた。なまりも外人も治ったね。初挑戦のKさわくん、初見なのに、さすが大学生。さて、覚えてね。Yき、面白くなりそう。やや力み気味。覚えてね。Mちゃん、途中までは覚えていたよう。どうせなら、最後までね。
歩くひとの足をとめ、口上で惹きつけ、外郎を売るまで。個性的な口上を完成させたい。スピード遅い。言葉が濁る。まだまだだけど、かならず。
3組のカップルが作れたので、愛情から憎しみまで。シーンを作るエチュード。1分の打ち合わせ時間をはじめてあげてみる。3組。Yき、Eな、これはYきよかったね。Eな、動きすぎ。そこに立っていることを覚えてほしい。みな、憎しみや怒りの感情は随分瞬間で作れるようになった。けれど、愛情が見えない。怖いよ。温かい芝居には愛は不可欠。愛故の感情でないから、ときどききちがいのように見えてしまう。Nちゃん、N山さん。うん、よかった。ここも愛情が弱い。愛して、愛して。Mちゃん、Kさわくん、良かった。ここはKさわくんの感情が良かった。Mちゃんのへんな設定によくついていった。Kさわくんは素直で、柔軟な心。大事にしてね。
Kさわくん、相手を変えて「プロポーズ」つまり、愛情の伝達。受ける俳優は反応。不器用な「愛情表現」に好感。いいと想うな。ほんとを大事に、心がどう変化したかを大事に。
Mちゃん、相手を変えて同様に、愛情表現。俳優は反応。Mちゃんのは愛情表現ではない。愛すること、甘えることをもう一度、自問してみること。
手練手管にしか見えない。熱いものがほしいのよ。
さて、意外なところで本日は教材ありのセリフ。声が出て、感情表現ができても、芝居には「与えられた言葉」があること。そろそろ、セリフの時間も創りたい。女王と従者のセリフ。これはどちらを希望するかを問う。稽古場で「どちらでも」はなしにしよう。女王、従者で4組。一通り。相手の言葉を聞くこと。同時に3組の女王と従者。これはそれぞれが、すべてを丁寧にやれるようになれば、増幅され、しかし、違う6人の俳優、面白いシーンになる。
今日はみなが流してしまう。一組ずつ点検、再度。2組まで。相手のセリフを聞くこと、思い込みでやらずに変化すること。しかし、うちの参加者は頑固でないので、変化が早い。ダメという言葉を使えば、とてもダメが通る。無駄な時間がない。今日はNちゃんの従者がやはりさすが。あたしもやりたかったな。何故かあぶれる。残念。
身体表現、ウォーキング。音が機械の不調かCDの不調かで鳴らず。Dちゃんとあたしで手拍子。はい、みなさん、良かったですよ。
さらにかっこよく、楽しんでいこう。
セリフもやりたいが、時間が足りない。悩むところ。