2012/06/04
ショーアップを考える

今回の開かれた稽古場は1000本ノックで細かく作品創りをした。というのは、M本とT井という参加者とわかっていたので、技術と見せることを徹底的に創りたいと想った。
うちは感情を動かすということを軸に稽古をしている。これはもちろん必要だと想うから、しつこく繰り返しているのだが、その瞬間にその感情を的確に導き出 す技術もそろそろ身につけていきたいし、たとえばそれを誇張して「見せる」ための技術も追いたいし、的確な動作や身体が欲しいと考え始めた。感情を動かす ことは大事であるが、その先を追求したいと。というわけで、今回はこの作品を完成させるためのダメだしとお願いを飛ばし続け、何度も繰り返して、完成度を 追求させてもらった。
二人に出したそれらのダメ出しとお願いは細部に渡る細かいそれになった。松本に関して言えば、先日誕生日を迎えた彼を一度解体したかった。感情を常に追え るようになったことはそれを引き出す為ののりしろが綺麗に整理されていくことでもあり、一言で言うなら、「巧くなった」のだ。しかし、あたしはここに疑問 を感じる。確かに安定している。しかし、それだけではつまらないと想う。
一方の玉井は、ともかく感性がよく、それだけでここまできた。それは突出した感性の良さではあるのだが、細かい技術がない。それは声を含めて、指定した動 きの中で指定した位置で見せてほしい場合に困る。というわけで、今後はもっと「巧く」なってほしいわけだ。相反することをふたりに求める。これは技術と ショーアップの両方を、技術と感性の両方をいいバランスで持ち続けることでもある。
作品「疾風DO TO ラブゲーム」作、演出 森島 音 Dub 出演 松本渉・玉井英棋
見学 1名。
1本の作品を毎回の稽古で完成させることは難しい。そうは想うが、できることなら創り上げたい。即興性は保ち続けたいが、そのために荒くなる部分は説明とお願いと求めることを細かく伝えて、見せるためのシーン作りをしなければダメだと想った。
つまり、今回はさらに極めたい役者ふたりであったこともあり、拘ってみたのだ。
拘れば、当然瞬間を見逃せなくなる。手を入れて、修正する。それは何度も繰り返すことになる。いつになく厳しい稽古になっていったので、二人は息を上げな がらの様子だった。でも、繰り返すことで欲しかったシーンができていく。これは役者さんにも創り手のあたしにも忘れてはならない厳しさであり、課題にしな ければと改めて想わされた。
すがすがしい出来だった。
これでもう一度通し稽古ができたらいいよね。自由参加なので、もし今回二人が参加してくればやろうかな。
拘りと切り捨て、きっと両方がこの日常訓練には必要だ。稽古方法も探っていきたい。頑固にならずに常に自由でいたい。
もう1本。「争う」関係性をかえて3本。これも小品創りを求めた。ある感情を喚起するための稽古は、ともするとその感情のための感情の導きだしになってし まう。そこを考えた課題である。ある関係性をまず指定して、争いの原因を創ることに着眼した課題である。Hでの瞬間湯沸かし器のような感情のスイッチがい い。彼のこの瞬発力は大事にしたい。
こうして重ねていくことで、ワンランク上の役者になっていける。そうだ、役者稼業に終わりはない。あたし自身にもそう伝えておく。
以上。

先週は秋のピンターのチラシの校正が進み、いよいよだなと実感していく週だった。今回は出演を切望してくれたある役者さんのスケジュールと稽古意欲のた め、7月から早々に稽古をスタートさせることになった。「誰もいない国」を演出と個性豊かな4名の役者さんがどう料理し、創り上げていくのか、徹底して裏 方に徹して、支えていきたい所存である。今週にはチラシの印刷に入る。こちらも予定通りの進行。現在、最終校正中である。
できるだけ早めに皆さんの目に触れるように、早めにチラシも撒き始めたいな。
わくわくする。