2012/09/10
新作「箱の中、咲く花ダリア」稽古日記 狂気の体現叶う。

稽古より帰宅。明日の折り込み仕事がダブったので、友達にひとつお願いする。そのために池袋の向こうまでチラシを届け、友達の元気な顔を見てきた。1年が早い。
今回は最近の不出来に対して、先週の稽古のあとにキツイメールであたしのヒステリーをがっつり受け止めてくれた役者松本渉。参加者はM子と松本のたった2 名。新作「箱の中、咲く花ダリア」を創る。狂気の上、狂気の中で、狂気だけで進む狂気の物語を書いた。果たして、松本の極めたりの集中力と表現力で、素晴 らしい出来。あたしは諦めたくないので、書く、創る。ほんとに嬉しい出来だった。
作・演出 森島、音即興 Dub、出演 松本渉、M子。
ほとんどスタートラインに立ったばかりのM子には、何が何だかわからなかった様子で、厳しいダメだしに三すくみ状態に一瞬陥るが、何とかラストまで走ることができた。難しい、わからないは禁句で、とにかく繰り返していこうと話す。
日常風景でポップにはじまる。明るいシーンの明るい音楽がふいに途切れる。四方の壁が人間を閉じこめていく。真っ暗な四角い箱に詰めこまれた人間たち。小 さな箱の中に折れ曲がる身体。客席に面した四方の見えない壁を覗くと、烏の群れ、漆黒の闇、得体の知れない異生物の群れ。この物語はその狂気の環境の中で 進行する。どんどん狂っていく人間たち。男は女を、女は男を貪るように求め、交わる。女は妊娠し、出産する。生まれてきたのは得体の知れない生物だった。 男は狂い、女は狂い、生まれてきたその固まりも男も、女も憎しみ、罵る。ふと、壁の向こうから自分を探す声がきこえる。必死でここにいると叫び狂う。しか し、探す声はみるみる離れて、諦めたように途絶える。気配に振り向くと巨大化した謎の生物が人間どもに襲いかかる。逃げまどい、格闘し、やがて、男は女を 女は男を殺している。と、壁が崩れて人間ども、殺人者を追う群れが迫り来る。逃げる、逃げまどう。そこに誰もいないのに。
四角い箱に閉じこめられていく人間たち。いきなり、闇。客電。

他に奇妙な部屋、相関図。以上。