2012/11/19
第234回開かれた稽古場 稽古日記「DA RUN DA RUN 堕乱 打乱」

開かれた稽古場より帰宅。バス乗り換えの中継駅で玉井英とたいがくんと映画の仲間にバッタリ。稽古場の勢いメーカーの英が俊敏に走ってきたので、ビックリだった。
稽古場、日曜日打ち上げたばかりの松本が早速参加してきて、それが平常心、習慣だよね、と想った。想ったよりやる気の続いたT景と二人で新作に挑んで貰っ た。「DA RUN DA RUN 堕乱 打乱」作・演出 森島 選曲、音 森島 出演 松本W・F川T景、見学1名。今回の作品はどうしようもない、堕ちきった感情や投げやりな感 情や喪失や絶望や諦めと言った種類の「だらんだらん」の感情モチーフの作品を書いてみた。いいことばかりじゃないんだよと悪いことばかりを並べてみたら、 いつしかそこには共依存のような、これまたどうしようもない救いようのない感情のうねりが生まれてくるのだと、そんなメッセージを観客席に放つ。こんな芝 居。そんな芝居、観たら、きっと逆カタルシスを感じて、観客は帰り道に「幸せ」について考えて、酒でも呑みながら、「幸福論」を語ってくれることだろう。
ところが、今回は疲労困憊して、へなへなになるまで堕ちていくことが叶わなかった。T景はすぐにストッパーをかけてくる。芝居の中でズタボロになっても不死鳥のように蘇る輝く女優はまだ遠いね。

客電が消えるとそこは、人間どもの荒野の様相。すべてをあきらめ、すべてを投げ打った役者あ、いが所在なげに歩く。しばしで立ち尽くし、座り込み、寝転が る。アクビとため息と、時折観客席に投げ込まれる「観られることを遮るごとき鋭いまなざし」 使用曲 Here To Love You・・ ・The Doobie Brothers
曲が次第に変わると自信過剰なほどの自惚れた態で、役者たちは練り歩く。
使用曲 Little Tempo & 藤田陽子 茶の味 (DUB)
ふと男は、女に、女は、男に気づく。「憎んでも憎みきれない」「二度と会いたくない」あの人だ。何度も気づくが、練り歩きは続いている。
曲アウトと共に、クロスフェードイン 使用曲 きっと言える 荒井由実
シーン 男が女に 言葉を投げつける。時に激しく投げつける。女、無表情、無言。
音カットアウト 女は言う。「どなた?」(誰?もっと慇懃無礼な言い方でもよい。)男 反応。
女が男に 言葉を投げつける。攻め立てる。男、無表情、無言。
音カットアウト 男は言う。「誰?」女 反応。曲上がる。
暗転。使用曲 ロング・グッドバイ・・ ・山谷初男
女が男を騙す。男が女を騙す。「お金、貸します」しかし、そのお金は入らない。騙されたと気づいた時の男の落胆、女の落胆、焦り、恨み。何もでなかったね。
シーンとして成り立たなかった。とことんの悪が欲しかったシーン。不発。
男と女は恋人同士だ。男が知ってしまう。女が人の妻であることに。シーン。
使用曲 ブラックマジックウーマン・・ ・ちんどん通信社
ちんどんが哀しく響く黄昏時に、男は女のウソに泣く。泣いても泣いても涙も出ない。
だらんだらんの感情が繰り返されて弾けて飛んだ。使用曲 昭和11年新宿2丁目の娼家、桃園楼の欄干に腰かけて歌える 山谷初男
男も女もただ踊る。
使用曲 Slow Down 10cc どこからか、すすり泣きでもきこえてくるよ。
暗転。
客電。誰も、いない。

幸福論を語りながら、お帰り下さい。

蛍の光流れる客席。

以上。
他にも「話してくれ 雨のように」
「ふたつの別れ」から感情という名の身体表現まで。
しつこく、使用曲 昭和11年新宿2丁目の娼家、桃園楼の欄干に腰かけて歌える 山谷初男 これは何度か修正しながら、成果を見た。
時間切れ。
鍛えよう。これからもまた鍛えていこう。