2012/12/17

開かれた稽古場より帰宅。また雨だ。今回は新作「じっと」台本を渡したら、参加者三人が文字を追い、困惑した表情を見せた。今回の作品はイメージをしっか り見ていくだけの芝居。あたしの書いた内容に戸惑った様子だったので、ザクッと説明をして進めた。イメージをちゃんと見るまでにかかる時間もこの作品を構 成している。そんな風に仕掛けて書いた。じっとはJust in Timeを意味する。三人の参加者だったのだが、とてもいい出来。役者のひとりが「演ってみるもんですね」と手応えを感じたようだった。丁寧にイメージを 追うことができたので、Y子も落ちたり、上がったり、泣いたりととても綺麗だった。Hでも感情に任せて動き回れる芝居ではなかったことで、静かに感情が動 き、よかった。M本は、想った通りにスイッチが入っていき、無駄のない仕上がりだった。三人とも言葉の伝達力が幾分弱いと想った。言葉をはっきり伝えるこ とはとても大事だ。声も鍛えないとだな。
音のDubさんがしばらく不在。先週はそれを考えて静寂の芝居を書いたが、全部音なしの芝居は書けない。先に無音ありき、は意味がないし、拘束されてしま う。いつもの通りに音をイメージしながら今作は書いたので、選曲もあたし。それぞれに大きく今後の課題としてのダメは出したが、今回はいい芝居ができた よ。
台本(役者さんに配る進行台本)公開する。
「じっと」作、選曲 森島 出演 松本渉・玉井英棋・石渡陽子
客電落ち、暗転。
音。使用曲 Detroit Jit
明かり入ると役者の練り歩き。
http://www.youtube.com/watch?v=DP2K5XZxwM4

じっと 見る。空を。空が動く。空が割れる。神話のものどもが舞い降りる。
両性具有。男は女の性器を持ち、女はペニスをそびえ勃たせて、
阿鼻叫喚のエロティシズム地獄。
女は男の裏切りに泣き、男は女の裏切りに傷つく。空が涙を流し、涙の海に飲み込まれる。
割れた空に階段が続く。昇ろうと見上げると
穏やかな心地になっていく。

高らかに)  海にいるのは あれは人魚ではないのです。

海にいるのは あれは 浪ばかり。

曇った北海の空の下 浪はところどころ歯をむいて
空を呪っているのです。 いつはてるとも知れない呪。

海にいるのは あれは人魚ではないのです。
海にいるのは あれは 浪ばかり。



じっと 聴く。
見つめ合う。心の声を聴く。きこえてくる。話す。答える。果てぬ問答。
見つめ合う。心の声を聴く。


じっと 動かない。使用曲 King Crimson -  Epitaph
http://www.youtube.com/watch?v=Hiw1gg76nzQ
息づかい。息づかいによる心象描写。音との共存として。じっと 動かない。
 
じっと 鏡をみる。
右の顔が笑う。哀しそうな左の顔。鏡の向こうに誰かが覗く。
誰かはあなたの過去を暴く。過去を突きつける。ひとつずつはっきりと。追い込まれていく。http://www.youtube.com/watch?v =1OBdfBH5QPo

じっと動けなくなる。

言葉 「究極はだるま。」
声がきこえる。母が自分を呼んでいる声。返事をし、首だけで母の姿を探す。
正面に子供を抱いた母が見える。母は幸せそうに笑っている。
じっと見る。
母が自分をみる。鬼の形相になる。

母が消える。
幼い子供が立っている。じっと見る。
それは自身であることに気づき、話す。あの頃の自分と話をする。
気づくと子供達の軍隊。笑顔をもて、笑顔が消え、近づいてくる。子供たちの軍隊に取り囲まれる。
じっと見られる。追い込まれる。
音。使用曲 戸川純  "蛹化の女"
http://www.youtube.com/watch?v=w8l-FMp6l5g

身体表現。

僕はこうありたい。
私はこうありたい。
口上。

空をみる。じっと空を見上げる。

暗転。
客電。

他に「方言によるディベート」主題を決めて議論する、という課題。3本。果たして議論にはほど遠かったが、自然で非常に面白かった。声を立てて笑いっぱな しだった。1本目は「食事のときに何故ナイフとフォークを使わずに箸をつかうのか」非難に終始してしまってくすぶり、堂々巡り。2本目は「稽古場で靴を履 くか否か」3本目は「Dubさんって何?」屁理屈でもいいから、理屈の勝負をとお願いしたが、アホアホで笑えた。これもありだね。
以上。今回は台本を見た皆のキョトンとした顔で始まり、笑いで終わった。