2008/05/19
稽古の密度、心の密度

開かれた稽古場から帰る。今日は、参加者3名、見学1名という濃い稽古だった。ひとりは初参加でさぞや緊張したことだろう。2時間、6つの目が熱い熱を持ち続けた。
さて、今日は少人数だとわかっていたので、細かく繰り返しの稽古にしようと考えていた。歩く。イメージを持って歩く。今日はまっすぐの動線を活かして開始。Eな、心が動く。身体が自然に動く。歩く速度が変わる。表情が変わる。やっとこれができた。手を打つ。Eなだけを皆で観て、感じる。よいところを誉める。
心のイメージのままに息をし、イメージの変化とともに息使いも変わる。そういう表現は観ていて、疲れない。まずはここからだと想う。Kさわくん、素直で生(き)のままなので、イメージが指先の震えや歩行のスピードに顕れる。心身連動の俳優でいい.
初参加のI川さん、まず皆が通る道、「それふうのこと」を案の定。指摘し、除こうとするが、首が意味もなく触れる。そこには蝶々が舞い飛んでいたのか?
まず、余計なものを捨てることと話す。
さらに、イメージを持っての歩行。つぎに、イメージを温かいものに返る。歓び。歓びの感情を持って歩く。温かい空気ができたので、そのままエチュードへ移行してみる。とても嬉しいことがあった瞬間。3人各自。Kさわくん、その瞬間にうしろを向いてしまう。その瞬間がわからないまま、だらだらと続く。止める。ダメだし。再度。だいたいここかな?という瞬間はわかるが、どうにも不鮮明。声がきこえる、歓び。ダメだし。再度。声がきこえた瞬間はわかった、なんとなく。歓びの瞬間が見えて、照れる。ダメだし。次回に期待。
I川さん、だいたいこんな風という芝居。いやだ。止める。その瞬間、明かりのあたる瞬間、歓び。と細かく指定して、再度。目的のない無駄な行動が多い。もっと気持ちに忠実に、あってほしい。余計な首振りを取り、緊張感を指示し、スポットライトを感じることを指示する。かなり、よくなった。芝居はこういうことだ。ひとつでもずるをすれば、たちまち冷めてしまうのだよ。
Eな、とても優しい人。だけど、とても変わった人。普通なんてことを求めていない。あなたなりの表現でいい。途中で引っ込めるな。そのままでいいのに、素に戻る瞬間が多すぎる。はっきりとダメを出す。そろそろ、できることが増えてきたので、厳しく千本ノックでもするかなと想っている。
感情ドライブ、怒りの感情を持って歩く。強い怒り。Eなはよかった。今までかかっていたストッパーがやっとゆるんできた。ここからだ。神経症的な怒りだけではなく、強い怒りも見えてきた。よし。
Kさわくん、今日は少し壁にぶつかり気味。できていることがわからない状態だからだと想う。ひとつずつ、出来たことを確認するようにね。
怒りの感情、もっと強いものがみたい。おそらく、対象が実感を伴っていない。もっと身近なことでいいのだ。世間の誹謗、中傷に怒るような怒りはまだ難しい。それが、演劇的表現につながるのではあるが。
まず、隣のおじさんへの怒り、そんなところから、実感を、実感が大事だよね。I川さん、怒りのようなものだった。怒りという感情、たとえば日常でないのかな?今まで稽古に来た俳優の中にはどうしても怒りに辿り着けないひとがいた。おそらく、怒りをどこかで諦めたのだろうと想った。だんだん感情を抑えることを覚える。しかし、感情を無くさないように。俳優たるもの、ときにはやんちゃでいいんじゃないの?
怒りのエチュード。3人で、怒りの感情を演劇的に。1本目、それぞれが自分勝手な発散のみ。だめ。2本目。すこし接点が見えた。実感のダメをだして、3本目。言葉を拾って、セリフに決める。いいところもあるが、それぞれが他者に反応していない。ダメ。4本目。ダメを出し、再度。密度が濃くなり、リアルなシーンができた。繰り返すこと。そして、つねに新しい瞬間を生きることだよ。休憩後、もう1本。さらに細かい点が埋まる。よし。
発声。人数が少なかったので、腹式の確認から。まだまだ腹式が甘い。これは日々の訓練だね。ここだけではだめです。鼻音、あ発声。ブリッジによる声の受け渡し。Eな、Kさわくん、綺麗なブリッジ。身体が綺麗なのは、いい。Iかわさん、苦手意識を持たずにトライしようね。
今日は2巡。だいぶ強い声になった。Eな、もう少し安定が欲しい。焦るな。
声がぶれる。I川さん、腹式を覚えよう。喉声です。
外郎売り。発声、調音、意識して、よきところで受け渡し。チームワーク。覚えたてのほやほやなので、各自がマイペース。しっかり覚えて、チームのペースまでいきたいね。Eな、あと一息。I川さんはこれから。
ウォーキング、スタイリッシュに歩く。今日は人数が少なかったので、それぞれに合ったウォーキングをアドバイス。個性重視。それぞれに素敵になった。アドバイス内容は企業秘密だ。(笑
音を使っての身体表現。音を身体に取り組むためにメニュー。音に反応することはできるようになった。Kさわくん、Eなとも。I川さんは今日が初めてなので、手探り。音を止めて、アドバイス。あたしが少し指摘し、表現して見せてみる。各自、理解はしたようだったが、再度やってみるとできない。
気長にいきますが、早くトランスしてほしいのだよ。身体が楽器のように鳴り始めるんだけどなぁ。う〜〜〜む。産みの苦しみ。ダンスではないだけに伝わらない。教えるのが難しい。感覚だよ。
エチュード、相談。思い遣りとか。Kさわくんは温かい。Eなは、本来の優しさがエチュードに繋がらない。相手を変えて2組。
相手の立場になること、相手も思い遣ること。こういう表現ができたいね。
それには人間性を磨くことだってことよ。
雨の中、みんなで会食。芝居の話しをたらふくする。
密度の濃い、いい日だった。