2013/04/21

開かれた稽古場より帰宅。まだ、企画書を仕上げなければならないので、2時間徹底的に稽古をして、すぐ帰ってきた。動画と写真を整理して、稽古日記をまず書こう。今回は3名の参加者、それぞれに丁寧に向き合える稽古だった。まず、今回まで連続して勝負かけてきている桶の進歩、ここから継続が力になるだろうと想った。まず身についた余計なポージングを崩してしまうことかな。笑。帰りにチラリとみたバイクに寄り添う姿が力の抜けた自然体で輝いていた。玉井の鋭利なナイフのような部分を活かしたい。巧くなったが、キレはなくさないでほしい。陽子は今回の作品に取り入れたボードレールの詩がとてもとてもよかった。はじめて言葉が陽子の体内を通った。身体表現にこの場面をみたい。空気が動かない箇所ができると再度、いい稽古だった。演技指導はしないけれど、どうすればその方向に向いてくれるか、それは常に役者脳+で考えている。今回はあたしの稽古で身体表現のみをやっていた頃に創ってもらってきたDubsCollectionより3曲を使ってみた。思いがけずDubさんが稽古にきてくれたので、音だしはお任せ。あたしのコレクションなのだけど、またこういう音創りにも挑んで貰えるといいなと想った。
役者の課題は百人百様だなあ。役者の内部に変化がどんどん起きていきますようにとあたしはコツコツ本を書くのだ。今回は想像の世界と現実世界を混沌とさせてみた。
台本公開。
使用曲は上げられないので、動画にDub音使用部分 ラストの身体表現を。
身体表現 「極楽浄土」至福を求めて部分。

「カオスを歩き、みたものをー輪廻極楽あの花開く」
作・演出 森島 音製作 DubmasterX 出演 玉井英棋・石渡陽子・桶谷健司

客電消える。
暗闇。
ややあって、明かりが入ると赤子の泣き声。胎児の態。
「僕は産まれた。この世という場所にこうして、産まれた。しかして、その記憶は」
沈黙。
人々はゆっくりと立ち上がり、佇む。
身体表現。「産まれ出ずる」それは軽妙なものでありたい。トラック2
歩き出す。出逢う。とてもいい人に。
突然、その人が目の前からいなくなる。探し回る、が、ある瞬間、諦める。
佇む。
「もういいや、と思うことが増えていく。まだ僕は何も知らないこどもなのに。」
歩き出す。出逢う。とてもいやなことに。それはウソというもの。
「ウソ」という言葉による身体表現。トラック5
「僕は暴く。暴いて暴かれて、ウソにまみれて汚くズタボロになりながら、僕は暴き、優越感を得たんだよ」
笑う。いつまでも笑う。とウソをついていたのは己。台の上。皆が己のウソを暴いてくる。
いつの間にか泣いている。
暗転。
「ここはどこだ。ここはどこだ。ここはどこの細道じゃ。地獄めぐりの細道じゃ」
明かり入る。
無表情な人々が佇んでいる。
母の記憶。母が僕を呼ぶ。安堵し、微笑む。
「僕は産まれた。あの世という場所にこうして、産まれた。」
真っ暗闇の世界にいる。ただ、物音だけがきこえる。鋏をカチカチと打ち鳴らす音。
次第に恐怖と絶望に苛まれる。
母が呼ぶ。ひたすらに母の後ろ姿を追いかけて走る。
母が消える。
再びの絶望。
沈黙。
淡々とはじまり、次第に感情表現となりたい。

  ただ一人愛する人よ 余の落ち込んだ
  暗闇の底から 汝の慈悲を乞う
  ここは鉛色の地平線に囲まれた陰鬱な世界
  恐怖と呪詛(じゅそ)とが夜の闇に漂う

  凍てついた太陽が半年昇り
  残りの半年は闇が覆う
  北極よりも寒々とした世界
  獣も 川も 野原も 森もない!

  この凍れる太陽の残酷さに比べれば
  どんな恐怖も数ではない
  始原のカオスのように果てしない闇

  怠惰な眠りをむさぼり続ける
  ちっぽけな生き物たちがうらやましい
  この縺れた(もつれた)時をどう過ごしたらよいのだろう  
佇む。そして、泣く。泣きそぼる。
「時計の音だけがきこえた。僕はあのひとを裏切った。あのひとの秘密を知って、僕はあのひとのウソを暴いてしまったのだ」
「時計の音、時の足音。ただ、それだけのこと」
暗転。
明かりが入ると人々は膝を抱えて座っている。
「ウソがまことでマコトがうそで。」
身体表現。「極楽浄土」至福を求めて。
いきなり音がとぎれる。
ため息をつき、佇む人々。
暗転。
客電。

他に「ファイト」で格闘、ファイトシーンのギリギリを探る。女優の関わり方を探る。緊張感のあるシーンになった。これならギリギリ玉井も活きた。桶の姿の2本目決まった。
最後の相関図。愛でしょ!しつこいけれど、愛が見えない。
以上。