2013/05/20

雨。開かれた稽古場、食事をしつつ、ちょっと呑む。今回はドストライクで「反戦劇」を創った。時事に対して、あたしは芝居で訴えていく。安易な選択が呼び込む世界を想像してみてくれ、と書いた。役者たちの体内、役者たちの想像力がどこに向かうのか。感じて、闘って、メッセージとして「反戦」「戦争反対」を1本の作品にした。今回は天才オキヌと間天憑さんの参加。千景も陽子も必死で食らいついた。桶は無欠で通い続け、あるタガをすべて外して挑める成果を出した。オキヌの才能を天井抜けて開花させてみたい。愉しみでならない、玉手箱のような女優。誰もが想像していく世界が途切れる時、疾走するまま終演に向かえたら最高だ。あたしも目指し、そんな役者たちとの共存がしていきたい。陽子の中途半端さが少しずつ形になることを願うし、千景の体力不足からの脱却を願う。久しぶりに汗と涙が飛び散る芝居になった。間さんとの今という接点も不思議な縁を感じる。同じ水の違う道筋を泳いできて、同じ水を感じる表現者との出逢いは、必然を予感し、嬉しいものだ。
没頭して芝居を創りたい、それがあたしの求めるものに違いない。
台本公開、使用曲公開。
★動画は身体表現「抗う」部分。
使用曲  Sixto Rodriguez - I Wonder
『そうかもしれないドドンガドンの銅鑼なれば、壊れた内臓叫び出す』
作・演出・選曲 森島、音 DubMasterX 出演 石渡陽子・藤川千景・桶谷健司・間天憑・オキヌ 撮影 花

客電落ちる。
暗転。ノイズ。
明かり。
ゆっくりと。「日本国憲法 第九条が改正された」
足早に歩き出す。歩きはドンドン早くなる。人々の心が粉々に壊れていく態。
使用曲 軍艦行進曲
http://www.youtube.com/watch?v=fUdKEaTLl_c
ひたすらに歩き、取り憑かれたように歩き、次第に無表情になり、身体はくねくねとくねりはじめる。
つぶやく。「ぜんたいとまれ」「ぜんたいとまれ」「ぜんたいとまれ」繰り返すつぶやき。
暗転。直ちに明転。
激怒している。
「いやだ。」
暗転。直ちに明転。
後ずさりしている。「戦争」「戦争」「戦争」「戦争」「戦争」
黒い影から逃げる。追われる。逃げる。ひたすらに逃げまどう。
男、怯えて立ち尽くす。
女 「あの人に召集令状が届いた。昔の記録映画、昔読んだ本の中の出来事。違う、あの人に、戦争にイケという命令が届いたのだ。ウソ、ウソだと 言って、」泣き崩れる。
男「いやだ」精神酩酊状態となる。「戦争」「戦争」「憲法の改正」「狂った選択だ」
身体表現。「抗うことしかできない」使用曲 Lou Reed - Metal Machine Music
http://www.youtube.com/watch?v=6mV2mxjlXv8
言葉、「いやだ」「いかない」「いかないで」「殺戮と平和のアンバランス」「いやだ」「やめろ」「やめてくれ」「やめて」
「繰り返される過去の暴虐」「まちがっている」「きちがいどもめ」
言語により身体、感情爆発として。
暗転。直ちに明転。
佇む人々。「空はどこまでも青い」空を見上げる。つと、ゆっくり歩き出す。
大きな愛を誓い合う
大いなる旅立ちの日に
分かち合うものが
愛しかない時

愛するあなた、あなたとわたしの
一瞬一瞬、毎日毎日が
喜びであふれるために
愛しかない時

いつも愛を信じる以外の
富をほかに持たずに
わたしたちの約束を生きるために
愛しかない時

ごたごた汚れた町はずれを
綺麗に飾って
陽光で覆うために
愛しかない時

たった一つの理由のため
たった一つの歌のため
たった一つの救いとして
愛しかない時

朝、貧しき者たちとならず者たちに
ビロードのコートを
着せかけるために
愛しかない時

詩を詠じながら、転がる死体に気づいていく。血まみれの死体の山。
「ついに僕はここにいる。死体の数を数えてみる。」数え始める。「考えることをやめることなんてできるのか。痛みを忘れることなんてできるのか。 堪らない嫌悪感、堪らない。苦しくて苦しくて苦しくて、かっとぶ。」
発狂。
「日本国憲法第9条改正」
暗転。直ちに明転。
ドアをあける。「ただいま」痴話喧嘩。日常。
「家に帰ったら、見たいテレビがあったのに、めしだ、風呂だと五月蠅く急かす。こんな生活が結婚だったのかともう何度目かのうんざりした気持ちに なった。休ませてよ、と言ったら、ほら、また喧嘩・・・」
無言。微笑む。「合わせ鏡のようだった。あいつも笑った。」愉しげに抱き合う。黙る。
身体表現。「小さな幸せでもみつけてみれば」至福、絶頂の表現として。
使用曲 戦争を知らない子供たち ジローズ
http://www.youtube.com/watch?v=uY43S56vNAc
無音。
押し黙る。
「日常が奪われていった」
「日本国憲法改正」「やめて」「やめろ」
暗転。
「人々が、国々が
奪い合い、憎み合う。やがて、我々は感情を無くしていくのだろうか。」
明かりが入る。
人々が無表情に佇んでいる。
つぶやく。「反対」
荒れ果てた荒野。風のにほい。人間のにほい。
声を殺して泣き続ける。
身体表現。「抗う」使用曲  Sixto Rodriguez - I Wonder
http://www.youtube.com/watch?v=hIsnGmS5jCk

「戦争はいやだ」
「戦争反対」
暗転。
客電。 客電ついてから、使用曲 シャボン玉
http://www.youtube.com/watch?v=bLiZuead7lM

さらに「煽り合い」10連発&「称賛する」10連発。
ぶつかり合いの+感情だと想う。舞台上の劇的を常に念頭におきたい。
最後の相関図。そこにほしいのは愛情である。愛情の混線や葛藤を紡ぐシーンにしたい。会話で空間を無理に埋める傾向がみられたが、それよりも愛。感じる愛でしょ!
以上。