2013/07/29

雨も止み、開かれた稽古場より帰宅。稽古場にいくとNYスタジオが空いているので、どうしますか?と言われる。空間に負けない、毛穴開いて、開放した作品を創ろうと決めて、NYスタジオを撰ぶ。スタジオの入り口で、一瞬息を呑み、それから背すじを伸ばして、稽古場に入る参加者たちの後ろ姿、気合いを感じて、素敵。空間や人に敏感な参加者5名。今回の作品は愛の芝居。感情を上げて開いて見せたいと書いた。先月光ちゃんに同行してきた貴之くんがひとりで参加してきた。いいね。ゆきは自分でペースを決めてやる気満々で顕われる。桶は本番の稽古中、コンスタントに通ってくる。松本は当たり前のようにそこに居る。今回は前半アイドリング状態のシーン、見つめ合うことによる感情の交換シーンが今ひとつだったが、それぞれに感情を大事に動かして爽快な出来だった。今回、はじめてオキヌが削げた思う。そうなるとこの女優は強い。エロティックで愛に溢れた良い作品になった。
せっかくの素晴らしい卓は選曲、音出しともにDubさんの代わりにあたしだったので、宝の持ち腐れ。二つのフェーダーでがんばったけど、最後の暗転中、矢野顕子「行け、柳田」の音出しが遅れてしまい、ダメ。ごめん。
それぞれに次の課題を話した。作品公開する。今回は音源は表記と動画のみ。
★ 動画は3本の中から撰んだ。情欲の身体表現部分。使用曲はMuteBeat
身体表現「疼く」
『シェイクシェイク握手』
作・演出・選曲 森島、音操作 森島、出演 松本渉・桶谷健司・田山ゆき・オキヌ・榎本貴之、撮影 花

客電落ちる。
「止めてよ」「止めろよ」(憎悪と嫌悪に充ちた、限界点からの言葉として)
明かり突然入る。 鬼の形相の男女。それは殺意も孕む形相である。
笙の笛とでんでん太鼓が響くと鬼の形相の男女がおどけた表情でおかめとひょっ とこになっていく。
再び、鬼の形相に戻る。
「もういやだ。もうだまされない。もう嘘をつかないでくれ。(ほしい)。あん たのその声も、あんたのその顔も、、、、聴きたくない、オレを(あた しを) 見ないでくれよ。うんざりだ。おい、(ねえ)、きいてるのか。(きいてるの)。」
無言で睨む。「触るな」「触らないで」(激しい拒絶の言葉と抵抗)
震えが止まらなくなる。唐突に脱力して「ま、いっか。」
身体表現。「浮かれて浮かれて仮面の向こうで」DubsDiscoMix
言葉。「思考停止」「感情停止」「愛情停止」「憎悪禁止」「嫉妬無効」「なる ように」「仮面のオレ」「仮面のあたし」「陽気なダンス」 「いかれた心」「いかした思想」「抱擁停止」「恋愛遊戯」「シェイク」「シェ イク」「生涯無傷」
ニッコリと笑い、楽しげに歩く。すれ違う。立ち止まり、振り向く。ニッコリと 笑う。そして、また歩き出す。すれ違う。立ち止まり、振り向く。ニッ コリと 笑う。見つめ合う。再び、歩き出す。楽しげに歩く。
互いの手を伸ばし、手を繋 ぐ。ニコニコと楽しげに笑う。
「オレは(あたしは)何度も何度もあいつの嘘にだまされた。嘘に気づく時は、 それはほんのささいなきっかけで、オレは(あたしは)またかと想う。 笑顔で 近づいてくるあいつ。笑顔の嘘って奴が一番残酷で、笑顔の目の奥がチラチラと 揺れる。オレは(あたしは)いつの間にオレが(あたしが)嘘を ついているよ うな後ろめたささえ感じるようになり、確かにオレ自身(あたし自身)も正直に 生きることの面倒臭さにうんざりもした。あいつの嘘の隙 間でする約束、それ はあいつの余った時間で、それはオレの(あたしの)ために用意してくれる時間 ではなくなっていく。何をしても上の空で、オレの (あたしの)話しもあいつ を素通りしていく。その関係をやめてしまうことさえめんどくさくて、オレは (あたしは)何ともくだらないことをして時間 と、心を浪費し続ける。あいつ が笑わなくなる。あいつの心って奴がオレを(あたしを)映さなくなって行く。 オレの(あたしの)ザクザクとした心の ささくれ。もう止めてくれ。(止め て)。オレはあいつに叩き付ける。止めてくれ、止めてくれ、止めてくれ。止め てくれ。(止めて、止めて、止め て)。それからオレは(あたしは)しばらく ぼんやりとして、あ、そうしよう、と思った。あいつにとびきりの笑顔を振りま く。」
「え?」
「それは誰のこと?」
「オレ?」「あたし?」
「そう」
「同じだ」
手を繋ぐ。
「同じ仮面を被る女(男)」
「愛しい」 身体が熱くなり、それを持て余すようにうごめく。 衝撃的な身体の疼き。
身体表現。「疼く」MUTEBEAT
言葉、「ぞくぞくする」「どきどきする」「もやもやする」「君が(あなたが)」「近 づいてくる」「ぞくぞくの」「もやもやの」「身体の疼き」 「ぞくぞく」「うずうず」「ドキドキ」「そわそわ」「欲しい」「君の(あなた の)」「それ」
お互いに触れ合うことのない距離でお互いをみつめる。 見つめ合う。
「また、君(あなた)という二人称」
「嫌な記憶を追い払う時」
「ボクと(あたしと)ダンスを踊りませんか?」
「ダンス?」 見つめ合う。
「ダンス」 見つめ合う。
「ダンス」 見つめ合う。 衝撃的な心の疼き。 と共に近づいていく。ゆっくり抱き合う。
「触らないで」「触るな」 何度も繰り返し乍ら、抱き合う。
身体表現。「心がうごめくから」使用曲 中島みゆき「浅い眠り」
言葉、「愛してる」「君を」「あなたを」「愛してるわ」「気持ちがいいほど」「君 を」「あなたを」「愛しているわ」「愛してる」「愛」 「仮面」「嘘」「ホント」
「ま、いっか」 至福の表情で離れていく。
すれ違う。弾かれるように離れる。歩いていく。すれ違う。弾かれるように離れ る。歩いていく。 すれ違う。踵を返す。歩いていく。手を伸ばし、激しく手を振る。
すれ違う。離れていく。 立ち止まり、手を伸ばす。激しく手を振る。
歩き出す。立ち止まる。見つめ合う。
「ま、いっか」 笑う。 楽しげに笑う。
歩き出す。近づく。手を伸ばす。激しく手を振る。
暗転。 使用曲矢野彰子「行け、柳田」
明かり入る。握手している。
暗転。
明かり入る。 鬼の形相の男女。佇む。
暗転。 静寂。
客電。

さらに開放の即興「溶く」
ゆき、桶と連続して繋げる。皆開放されてよくなった。これからは、シーンとして劇的なものにしていきたい。
最後は「奇妙な部屋」止めて返して、さらにこうしてほしいというお願いをして、終わり。
以上。