2008/06/09
がむしゃらになれること

開かれた稽古場だった。稽古直前に雷雨。それでも参加者はやってきた。参加者4名、見学1名。こじんまりとした稽古だが、こつこつと。はじめての参加者、ダンサーということで、見学希望だったが、参加を要請する。
イメージを持って歩く。想像力を広げていくことだ。心になにもないことは絶対に伝わらない。何もないものをいくら何かあるように見せても、観客の目は節穴ではない。Kさわくんがいい。素直な心からはどんどん溢れるものがある。初参加のYり、とっかかりから素直で驚く。とにかくやってみること、余計なものを取り除こうとする意識。とても好感がもてる。しかし、やはり何かをしようとしてしまう。取り除いてみて。Eな、とにかく頑固だ。ごまかせると想ってしまっている。何も見えてこない。観ようとしないからだね。Kちゃん、ひとつ公演を終えて、もう少し疲れているかと想ったが、実に活き活きとしていた。こうして、終われば稽古場に通う謙虚さは彼女をもっとあげていくだろう。イメージを表現するという域にいる。さっそく、Kちゃんからイメージを言葉にしてもらう。そこに他の俳優が加わってみる。雪が降っている。
雪の実感。雪が降ると手を出す。これって、嘘っぽい。空から降ってくる雪は、まずどこに当たる?どこで雪を感じる?それはまず目で見るだろう。そして、身体のどこで何を感じるのだろう?誰もが経験し、体験している、誰もが知っているものを確実に表現することのほんとう、をもっと実感していかなければ。Kさわくん、いい。誉めてばかりだが、本当にいいのだ。この子が芝居が好きで好きだたまらなくなってくれたら、嬉しい。魔法が使いたい。Yりちゃん、どうしてもダンスのよう。実感をしてほしい。Eな、そろそろ厳しくいきたい。上面のことがまとわりついている。温かいものが足りない。言葉も、実感もどこか借り物のようで、嘘でしかない。Kちゃんは発想が豊か。その発想をもっと実感に繋げてほしい。広く広げるのではなく、深く掘り下げるということではないだろうか?
雪が尋常ではなく降り始めると設定してみる。綺麗だったはずの雪が怖いものに変わる。恐怖に変わる。それが見たかった。想像力を伴う実感が必要だ。うまくいかない。雪が見えてこない。止める。さらに。目に見えるもの、そして、冷たさ。重さ。他者との関わり。実感、実感。芝居は共同作業だ。おたがいの実感を受け入れ合うことで、それはほんとに変わっていくのだ。
さらに怒りの感情を持って歩く。強い感情。怒りの対象。Kちゃんの怒りが今日は強かった。もっと引き出したいな。Eな、本気で愛したり、本気で泣いたり、本気で怒ったり。必死さが足りない。Kさわくん、もっと、もっと。もっともっとだよ。Yりちゃん。まだ何も見えてこない。
出会って、演劇的に会話する。シーンを切り取る。Eな、Yり。エチュード。
Eなは自分しかない。相手を受けていくことを絶対に。再度。Yりからいい感情が少し見えたので、止める。アドバイスをして、再度。たとえば、相手役から何かが出てきそうなとき、それをドライブさせてあげる思い遣り。共同作業だ。Yり、演劇的であること、それは激することだけではないが、中途半端なものでは成り立たない。そこに、Kちゃんが加わり、シーンをドライブさせる。発想力面白い。Kさわくんの柔軟性はとてもいい。Eな、すこし反応できた。そこからだね。演劇的発想は大事だ。否定せず、乗っていくことかもね。
さらに怒りの感情ドライブ。Kさわくんの身体の癖をアドバイス。まだまだ身体が硬いので。出会う。演劇的会話。漠然としたことではなく、はっきりしたイメージがほしいのだが、なかなか。う〜む。
発声。ブリッジによる声の受け渡し。初参加のYり、発声が出来ている。さらに腹式を強化して、息の長い声を手に入れたいね。Kさわくん、声はまだまだ。日常訓練!Eな、基本的にうわべでごまかそうとしているのだと想う。声も腹式と繋がっていない。作り声がひどい。注意する。何度か繰り返すうちに、すこし繋がる。声は大事。ごまかしがきかない。Kちゃん、よく出ていた。さらにお鍛えくだされ。
少人数なので、2巡。腹筋強化により、声の受け渡し。
外郎売り。受け渡し。はじめてのYり参加。呼吸が合わない。ボロボロ。最低。覚えるのは当たり前。早くやれ。
黒の舟歌。発声のための唄。まず、基本体勢であるシコができない。こんなこと家ですぐ直せるはず。日常努力が足りない。
唄もボロボロ。腹筋を使って唄うのだ。途中加わってみる。不満。
シコをひとりずつ直す。
続いて、身体表現。まずウォーキング。リズムに乗って、スタイリッシュに。
Yりちゃんがよかった。Kさわくん、目線があがり、よくなった。
Eな、目、目線が不安定。何度か繰り返す。すこし安定してきた。
音を身体に取り組む訓練。しつこいが、この身体表現は音と自分の身体で世界を創っていくこと。声も身体の一部であること、再度説明する。
他者とのコミュニケーション。Kちゃん、これがいいんだよね。自由度満点で。Kさわくんも随分自由になってきたね。Yりちゃん、ダンサーだけに動ける。中身が足りない。Eな、自由じゃない。
そして、全員声を、他者との連動を置き去りにしている。次回に期待。
恒例相関図。Yり、Kちゃんの夫婦に加わる。Kさわくん、秀逸。
そして、今回は少々セリフをやってみた。与えられたセリフを言葉にすること。たった一言の難しさを肝に銘じてほしいと想う。不条理な戯曲からの抜粋。しかし、そこに必要なのはリアリズムだ。
さらに訓練は続く。
螺旋階段のように、訓練は繰り返し、身につける。