2013/08/19

白髪を染めなかったら、たぶん髪の毛全部がきれいなシルバーになるだろう。しかし、仕事の兼ね合いもあるので、染めている。しかし、あたしはどんな白髪染めにも冠れてしまう。市販の白髪染めも美容院もダメ、何年か前に頭の鉢まわり、つまりまゆげのあたりまで鍋を冠ったように腫れてしまって以来、ヘナやくちなしに変えていた。そして、最近韓国コスメに嵌っていて、BBクリームやカタツムリは愛用しているのだが、うっかり白髪染めを手に入れ、使ってしまってさあ大変。顔がまた腫れているのだ。家族曰く「スタートレックだあ」「胎児だ」レベル。そんな顔で開かれた稽古場へ。今日は人間のつくウソを数えてみるような、己のウソに追い込まれていくという感情のうねる芝居を書いた。台詞の量も今までの稽古用ではかなり多くした。自然に発する声が言葉にのるような台詞術。松本も台詞がよい方向になってきた。今回は2名の男優の参加だったので、女役はあたしが台詞を飛ばし、無対象の「女」を置いて創ることにした。ところが、身体が反応してしまい、何カ所かの乱入。これなら、ちゃんと参加してみたいが、見ること、指示ができなくなる。でも、今回のように参加していくことで感じることも多く、機会を得てよかった。
たかちゃんも松本もよく感情が動いた。観客席への煽りは、もっと圧が欲しいと思った。自己顕示ではない、感情が暴かれて晒されていく芝居は観ていて哀しいけれど。男と女、もっと言えば個で感情は違ってくる点も生きる演劇としてあたしは心地よい。松本もたかちゃんもよかった。
身体表現がまだまだ。言葉とのセッションのせいか、終結してしまう傾向があるので、エンドレスな身体表現ということを話す。言葉を使い切ると身体表現も終わることがどうにもひっかかるので、今後の課題だな。
台詞の多い台本なので、今度は是非女優を交えてやってみたい作品。
作品公開、使用曲公開する。
曲の出し引きが緩いので、軽くDubちゃんにダメだし。言葉を途中で切る引きは心地よくない。今回はすべてカットアウトをお願いしたため、引っかかった。
★ 動画は幕開けの観客席煽り〜身体表現「世界は破壊されていくのか」部分。
別の台詞〜身体表現「うそとまことはどうしてわかる?」部分を。

『見える世界が汚くて、目隠し鬼さん手のなる方へ、綺麗は汚い、汚いは綺麗と手を叩く』
作・演出・選曲 森島、音操作 DubMasterX、出演 松本渉、榎本貴也
撮影 花

客電消える。
暗転。「目を開けろ」静寂。「暗闇は、心を見透かしてくる。あなたの心がよく 見える。」 静寂。の後、
いきなり明かりが入る。舞台のつらにしゃがみ込み、観客席を見つ める人々。 一人を捉えて、見つめ続ける。
「心が止まっているね。あんた」「目を開け」 「しっかり見るんだ、現実を」
挑むごとく、煽る。
太鼓の連打。振り返ると舞台の空間が歪んでいる。驚愕。
「振り返るとそこは、真っ白な歪んだ世界と化していた。」
飛び込んでいく。 それは身体を溶かし、熱い。と想うと全身を氷で抱きしめられるように冷たく、 痛い。そらは極彩色の鳥の群れ。ビッシリと埋め乍ら 飛んでいるのか、とまっているのか、蠢いている。 身体表現。「世界は破壊されていくのか」使用曲 Amazing Street drummer - One of the best i've seen.   http://www.youtube.com/watch?v=7xr82RHyCj8
言葉。「少しずつ世界が歪み始めたことに」「気づいていた」「動揺」「破壊」 「破滅」「世界の終焉」「人類の最期」「希望」 「絶望」「絶望」「絶滅」「世界はひっくり返された」「グチャグチャ」「ドロ ドロ」「絶望」
地獄絵図になっている。 ゆっくりと無機物のようになる人々。
「あの空はわたしたちへの暗示」
女「どこに行っていたの?」
男「仕事だよ」 女「あら、そう?」
男「何だよ、その目」
女「目?あたしにはもうとっくに目はないわ」
男「どういう意味だよ、疲れているんだ、くだらないことをぐだぐだ言うな。お まえの禅問答はうんざりだ」
女「あら、あなたの目、空洞!」
男「いつからか、僕はウソを重ねるようになっていた。公園のベンチに座ってタ バコを7本も喫って、家に帰る。何も、誰とも、言葉も交わさず、身体 も交わ さず、家に帰るだけ。あいつは決まって訊く、というより問いただす。僕のすべ てを疑っているように濁った目をして。 僕はウソをつく。隠す必要もないことをウソで塗りたくる。そうするうちにウソ しか話さない僕になり、僕の毎日はウソだけで塗り替えられてしまって いた。」
女「いつからか、あたしはウソを暴くことだけがいきがいになった。誰でもよ かった。誰かのウソを見抜いているとゾクゾクして、気持ちよかった。い い わ、いいわ、もっともっと、ねえ、お願い、あたしにウソをついて。ウソで塗り 固めて。恐ろしいフェチシズム。誰かがあたしにウソをついてくれた ら、あた しは誰かをとことん愛してあげた。」
男「ほんとのこと?全部ほんとだよ。」
女「ウソつき、ウソ、ウソ、ウソだらけ」
男「何を見たんだ」
女「もう何も見たくない」 男、女「僕の(あたしの)目は空洞。空洞の目。空洞の目はウソで色を変えるこ ともなく、空洞の目はウソもほんとにしてしまう。あたしの(僕の)空 洞の向 こうには、荒れ果てた原野と極彩色の鳥と風。見えないけれど、そんなものだ け。目を開け。目を開け。空洞の目を抉れ」 身体表現「うそとまことはどうしてわかる?」使用曲 オフコース 君が、嘘を、ついたhttp://www.youtube.com/watch?v=ifalDdvsMj0
言葉、「ウソ」「ほんと」「ウソは物語」「ほんとも物語」「ウソ」「ほんと」 「物語」「盲目のウソ」「愛」「ウソの愛」
目を交わす。しかし、その目はぐらんと空をみる。 「極彩色の鳥だ」 「あなたの目は空洞」
目を交わす。しかし、その目はぐらんと空をみる。 「極彩色の鳥だ」 「あなたの目は空洞」
目を交わす。
「空洞になってしまったあなたの目。空洞になってしまったあたし の目。見つめ合うことはできない。見えているのは、極彩色の鳥の群 れ。」 「汚い鳥の群れ。汚い極彩色の鳥の群れ。汚いあなた。」 泣いている。
「空洞から水がこぼれる。空洞から水が流れる。汚い水。濁ったウ ソの排泄物だ」
「目は見えているめくら。めくらではない。汚い世界が極彩色に見えているのだ から。あなたの目がみたい。あなたの目を反らさず見たい。でも、僕 (あた し)の目は空洞、あなたの目も空洞。ツツ抜ける。僕の(あたしの)心を突き抜 けてしまう。」
無言で彷徨う。ときおりしゃがみこみ、観客席の誰かをみる。 「空洞の目だ」 彷徨う。 突然叫び、泣く。
「空洞の目、ウソで塗り固められた僕(あたしの)毎日を取り 戻したい。ウソの日々でもいいから、僕の(あたしの)空洞の目を開い てくれ」
立ち止まる。目を交わす。「空洞の目の向こうにあるのは、極彩色の汚さ。」 再び、目を交わす。
「空洞の目」
「極彩色の汚い鳥が飛ぶ。それだけが僕に(あたしに)見える世界」
身体じゅうが苦しくなる。
「ウソ、己の吐いて来た数々のウソ、ウソが己を叩 く、叩く、叩く。」 「目が見えない。何も見えない。ウソしか見えない。ウソも見えない。ホントが 見たい。目は空洞。」
次第に身体を締め付けられていく。 転がったまま、目を交わす。 目は空をみる。
「極彩色の鳥が消えた」
目を交わす。「あなたの目にあたし(僕が)みたい。」 「おまえの目は空洞」 身体表現。「僕の鬼ごっこ」使用曲バッハ 二つのヴァイオリンのための協奏曲 第三楽章http://www.youtube.com/watch?v=Dz3H6WB-pxY
言葉。「汚い」「汚い」「おまえ」「汚い」「あなた」「汚い」「汚い」「空洞 の目」「汚い」「綺麗は汚い」 「空洞の目」
力なく歩く。「空洞の目」
「ウソが抉ったあたしの(僕の)目」
「極彩色の鳥が何万羽。極彩色の鳥が蠢くだけの空洞の世界」
悄然と佇む。目を閉じる。
男「どこへいっていたの?」
女「何時に帰るの?」
男、女「空洞の目に極彩色の鳥。見える?」
目を開ける。 観客席にゆっくりと近づき、しゃがみこむ。
「目を開けて」
「僕(あたしが)が見える?」
振り返る。「見えない。」
真っ白な歪んだ世界に入って行く。お互いにすがるように、見つめ合い乍ら。 触れることはない。はたと停まる。 空をみる。
暗転。 「鬼さんこちら、手のなる方へ」
客電。

休憩後、それぞれに今後の着目点を話す。
続いて、シーン創り、役作りのシーン。
「男と女」肯定と否定。
「告白」殺人者二人の10楽章。今回の稽古はそれぞれに手応えが多かったようだ。重ねるしかないね。
以上