2013/09/09

今日、育てたチームがアメリカに飛び立つ。日曜日にはあたしの契約もあり、ちょっとビックリ。劇団主宰であるため、あくまでも劇団活動を優先したものという記述にエージェントの理解が嬉しくなった。ディレクター、アクターとしての契約にサインをした。劇団のNY興行に繋げたいものだわ。兜の緒をキリリと締めて、来年早々の女優業までにも鍛えなければね。
開かれた稽古場にいく、演劇談義をしながらのお好み焼き。相方の〆切をつかのま忘れて、急いで帰宅した。本日の参加は3名、見学1名。絵を描く花はお山の大学から稽古場に通う。動画撮影をお願いしているが、彼女なりに触発される場のようだ。今回の作品は極日常の風景の男女の物語を書いた。身体描写と感情の連動を試みるため、様式を入れこみ、曲のある身体表現と腕を使った様式、腕を使った感情描写を書いてみた。松本と桶がよかった。貴也くんはまだまだ迷い乍らの取り組みだが、少しずつつっかえ棒が外れていく。桶は自由に手が届きそう。ここでさらに足掻いてほしいと想う。松本はとてもよくなった。それでも、それならさらにこうしてほしいと想ってしまう。それは帰りの車でお願いした。感情の吐露であってほしい台詞が台詞となってしまったので、止めて、返す。その言い方がどうこうではなく、心の在処を確かめて再挑戦してもらう。3人ともポンと上がり、言葉も活きた。芝居は生ものの良さ。いい言葉になった。マイケルジャクソンに乗せた身体表現。言葉とのセッション。ここが納得出来なかったので、休憩後に抜く。それぞれに掴んでくれた。身体表現部分は自由に身体と連動させることと音と共存することが必須なので、返し稽古は必要だな。台本と使用曲を公開する。
男が女の裏切りを嘆く。男は女に裏切りを詫びる。お互い様と赦し合うのか?
清濁合わせ持つ男女のラブストーリーなのだ。
★動画は身体表現 ×マイケルジャクソン 中盤からよくなっていく。返しは撮影していなかったが、さらによくなった。腕の感情描写は別にアップする。
身体表現 「酔ってみた世界に狂う」

『ゆらんゆらんゆらん、もしもしもしもし糸電話が鳴るとき』
作・演出・選曲 森島、音操作 DubMasterX、出演 松本渉、桶谷健司、榎本貴也 撮影 花

客電落ちる。
暗闇。「忘れたいことのために、しこたま呑んだ」
明かり入る。片手を上げた人々、佇む。手を振る。去り行く恋人を見送る。
次第 にそれは欺瞞に充ちた表情に変わって行く。絶望。
踵を返して、足早に 歩く。
「こうして僕はあいつに手を振る。あいつも手を振る。振り返り、あいつは歩き 出す。少し、小走りになる。駅の階段を昇って行くあいつの後ろ姿が隠 れる。 僕の視界から外れていく。あいつはどこにいくのだろうか?あいつは、僕に笑顔 をみせて、それからどこへいくのだろうか?」
足早に歩き、立ち止まる。 「遅くなってごめんね。仕事がなかなか終わらなくて。」 「行こう」
片手を横に伸ばす。手を繋ぐ。ゆっくりと歩き出す。
「どこに行く?おなかすい た?何を食べる?映画でも観ようか?」抑揚のない言葉たち。
立ち止まる。片手を上げる。佇む。手を振る。うしろめたそうな顔をして、それ から踵を返して、走り出す。 走る、走る、ひたすら走る。
「見てしまった、あいつの裏切り。助けてくれ。僕の心を支えてくれ。」
立ち止 まる。 覚悟を決めて、歩き出す。
「これは僕の心の闇。僕は改札を抜けて、あいつの影 に隠れた。」
「あいつは家とは反対側の電車に乗り、静かに空席を探して、座った。しばらく ぼんやりとして、それから鳥のようにキョロキョロとした。僕はさほど 混んで いない電車の中で、隠れるように席に座った。彼女から目を離さずに、僕は彼女 を盗み見た。彼女は無表情で、じっとじっと前を見ていた。あ、 降りる」
彼女の後ろについて歩く。
「だるまさんがころんだ」止まる。歩き出す。「だる まさんがころんだ」止まる。歩き出す。「だるまさんがころんだ」止ま る。 「だるまさんがころんだ」「だるまさんがころんだ」「だるまさんがころんだ」 「だるまさんがころんだ」
身体表現。「君の裏切りは僕の裏切り」ラベル 鏡 道化師の朝の歌 http://www.youtube.com/watch?v=NXcSkWouMqk
言葉、「何を」「僕は」「何故」「見なくてもよいもの」「芥(あくた)」「心 の闇」「何故」「切り裂く」「秘密」「目隠し」「両手」 「裏切り」「結果論」「お互いさま」
「なんのこと?」「仕事だよ」「それはおまえの考え過ぎ、お前の妄想だろ」激 高する。「俺を疑っているということなのか?俺をバカにするな」
振り 返り、 スキップする。立ち止まる。
ゆっくりと笑顔になる。
「忙しくて、全然逢えなくて、ごめんね。逢いたかったよ。元気?」抑揚のない 言葉と作り笑顔。
足早に歩き出す。立ち止まる。笑顔がゆっくりと消えていく。唐突に立ち止ま り、佇む。
突然。 「おい、おまえ、ここで何をしてるんだ!」
両手を伸ばす。手を振り絞る。悲しみ。 怒りと悲しみと愛と憎しみの感情が混沌とする。
「おい、おい、おい、おい、答えてくれよ」 佇む。
片手を上げる。空を切る。
歩き出す。次第に千鳥足になる。
「信号が歪む、まっすぐに歩けなくなる。ネオ ンが光る。脳みそが零れてしまう。あいつの声が耳の奥でなる。極彩色 の宇宙 を彷徨う。吐き気がする。脳内が熱くなる。赤に変わった。明かりが全部真っ赤 に変わった。吐き気がして、あいつのケラケラと笑う声が耳をつ んざく。よ し、もう少し、もう少し、脳みそから記憶を引っぱがして、くちゃくちゃにかき 回すまで、もう少し」
手を横に伸ばす。
「だるまさんがころんだ」耳を塞ぐ。
「だるまさんがころん だ」目を塞ぐ。「だるまさんがころんだ」
身体表現。「酔ってみた世界に狂う」2,06〜 http://www.youtube.com/watch?v=nisE_sXeuRM
言葉。「裏切ったのは僕か、おまえか」「裏切られたのは君か僕か」「裏切りな にか」「問う」「問いかける」「僕自身と」「やめろ」「ちがう」「お まえの 心」「お前の体」「俺の真実」「俺の虚実」「裏切りと裏切り」「どうすればい いのだ」
千鳥足で歩く。転ぶ。見上げる。立ち上がる。千鳥足で歩く。転ぶ。 立ち上がる。
手を前に出す。 手を耳にあてる。「
もしもし」「もしもし」「もしもし」「もしもし」「僕」 「俺」「もしもし」「ごめん」
足早に追いかける。必死に追いかける。 千鳥足になる。
「信号か。歪んだ信号か。あいつはあの店で働いていた。僕は何 も知らなかった。絶望的な悲しみ。いや、絶望的な怒り。いや、いや、 いや、 僕は見なかったことにしたい。僕は僕を、そして、あいつを追い込んだだけだ。」
「ごめん、もうしない。二度としない。」 足早に歩く。立ち止まる。
「おい、ここで何をしているんだ」 足早に歩く、佇む。
「ごめん、もうしない」
「ごめん、もうしないでくれ。」
「ごめん、僕を信じて くれ」
「僕を、疑わないでくれ」
「僕は赦さない、おまえの裏切りを赦 さな い」
「おまえが信じられない」
「俺を信じてくれ」
笑う。嘲笑。
走る。 「だるまさんがころんだ」「だるまさんがころんだ」「だるまさんがころんだ」 「だるまさんがころんだ」「だるまさんがころんだ」 止まる。
ゆっくりとゆっくりと手を上に上げる。 ゆっくりと歩き出す。
立ち止まる。 抱きしめる。 「もしもしもしもしもしもし」
暗転。
「あなたは誰かを裏切っていませんか?あなたの手は温かいぬくもりを忘れてい ませんか?」 「なんてね」
静寂。
明かり入る。 手を振る人々。
暗転。
客電

休憩を挟み、「殺意」のシーン創り。
2本。1本目はいかにも即興の失敗作。ところが、2作目は細部に数々の謎を産んでいき、答えのわからない名シーンになった。こういう化学反応は興味深い。役者たちと食事の席でも話してみたが、仕組まれた反応ではなかったためか謎だけれど、素敵なこと、と想った。
いいね。芝居って。これだから、嵌る底なし沼。芝居が好きだわ。
以上。