2008/06/16
純粋な芝居馬鹿たちとの時間

今日は初参加3名、参加者5名、見学1名の最高の稽古だった。稽古場で芝居馬鹿たちとこういう稽古がしたいのだ。いっちゃってる俳優たち、そんな人たちとの稽古は無駄がない。稽古場に入った時から熱い空気が流れる。久しぶりだった。とにかく、あたしだけは勢いを無くすまい、ひとりになってもこの稽古場は続ける。そう誓って走ってきた。開かれた稽古場も27回目になった。
稽古の外で嘘だろうというほどアクシデントが起こり、そんなことにうんざり。だけど、あたしには芝居があるから、何もないひとより幸せだね。
イメージを持って動く。想像力の訓練だと説明する。イメージがここに届くまで、想像してくれ。M子は随分柔軟になり、表情も動く。ダンサーのダンサーたる弊害なのか、何かをしようとしてしまうのはあと一歩。Kさわくん、イメージの中で自由に動く。この俳優に広がる世界が見ていて楽しくなってきた。初参加のKたろうくん、今まで身につけてきたことが邪魔をする。決まった、つまり予想のつく動きの連続だ。止める。アドバイス。Nぶくん、身体の自由度が高い。表情が動かない。Hで、表情を創り、動きを創る。悪い印象はしないが、作り物すぎる。途中で何度か手を打ち、アドバイスを繰り返す。
イメージは想像力だ、想像力だ。それしかない。想像することができない人は俳優には向かないと想う。人の心も想像力から見えるものだから。
イメージを具体的にする。感情の鍛錬。まず「殺意」人を殺したいと想う気持ち。これももちろん想像力だ。各自、どこまで探れるだろうか。そんなに柔いものではないと止める。これは見るあたしも想像力だ。殺人という行為に至る感情。2度目、かなり怖いものが立ちのぼる。再度、手を打つ。誰に対して、なぜ、細かい点を想像することだ。再度。各自の感触を帰宅したら、想い出してほしい。もっと背筋が凍るものがみたい。まだまだ。またトライしてみよう。怒りの感情。各自の怒り。怒りを表現しようとする。違う。気持ちを持つことだ。さらに強い怒りの指示。各自の怒りが上がっていく。他者と演劇的に会話する。今日も何度かやってみた。演劇的とはなにか?追い続けてみたいね。Kさわくんの表情の変化がいい。身体も素直に連動してきた。この俳優はいけると想う。直感。シーンを切り取る。KさわくんとHで。親を殺しただろうと詰め寄るKさわくん、へらへらと応じるHで。すべてが中途半端な感情なので、止める。さらに親を殺されたという想像力のアドバイスとHには「殺している」という設定で再度。他の俳優もそれに加わってシーンをドライブさせてみる。一度アドバイスをするポンとよくなるKさわくん。芝居への執着が見えてきた。そうだ、執着することが一番だ。受けるHでも柔らかい。殺したイメージがまだ弱かったのは、それを隠すことばかり、先の手を考えていたからだと思われた。激しく争う、まではいかないが、そこへKたろうくんが割って入る。鬼気迫るものが足りない。三人とも。そこへNぶが「見たぞ」と飛び込む。この入り方は最高だった。しかし、あとが持続出来ない。持続も大事、ドライブさせること、感情の変化も大事だ。身につけることはたくさんある。M子が入る。この俳優はやる気が表現繋がらない。しかし、やる気は恐るべし。まず言葉にしてみること。他者と共存してみることだ。今日は他の俳優がとてもよかったので、M子が弱い。埋もれてしまう。再度、アドバイスをして、ドライブ。全員の感情がヒートアップ。気持ちのいい仕上がり。もっと上がってみような。
感情の鍛錬。嫉妬。嫉妬。何に、誰に。それぞれいい。言葉にしてみる。言葉が届いてこない。Kたろうくんが良かった。嫉妬の経験値が高いのか?これも俳優にはいいこと。嫉妬するなら、狂うほどに嫉妬できる人は好き。
Hで、Nぶは気持ちを上げよう、上げようとしているのは見える。上げなくちゃね。アクティングエリアでの1秒を大事にしてはどうか?
芝居はハラを括ることだと想う。この感情を何が何でも今出す。執着心だよ。
発声。初参加が三人いたので、各自腹式の点検。少人数だったので、M子、Kさわくんも。腹式呼吸を手に入れるためには時間が必要。訓練が必要。だったら、毎日やれば早く手に入れられる。日常訓練。Hでの腹筋に思わず「筋肉!」と叫んでしまった。さらに筋力を付けたら、強い声が出そう。素晴らしい腹筋だった。(笑)M子、全然できていない。次回ちゃんと見よう。Kたろうも面白い声だが腹式と繋がっていない。腹式、発声が出来ていない俳優の何と多い事よ。心してほしい。声は俳優の必須条件だ。
Kさわくん、声が出はじめている。さらに強化。ブリッジによる声の受け渡し、腹筋強化による声の受け渡し。
外郎売り。初参加3人はプリント。受け渡しの呼吸をアドバイスしてから始める。良い流れだった。次回はかならず覚えてきて。覚えた先にしか目指すものはありません。Kさわくん、外郎売りの役作りを。次回から。M子、身体表現と外郎売りを連動して表現。身体表現に引っぱられて、セリフが埋もれている。声の弱さも含めて、これを上げたい。非常に面白い試みだったので、アドバイスをもとに次回に期待する。
エチュード。歓びの表現からのシーンを切り取る。2組。Kさわ、Hで、Nぶで。Nぶに彼女が出来たという。中途半端。三人とも固まってしまう。アドバイスをして、再度。Nぶ、かわいかったな。非常に幸せそうだった。回りのふたりの反応も好感。優しいシーンになった。
M子、Kたろうくん。空から米が降ってくる。雨でも雪でも、あられでもない、米だそうだ。発想に想像力が及んでいない。再度、う〜む、その先へいってほしいところで、アイドリング状態。いまいち。これを全員でやる。Kさわ、Hで、Nぶ、表情も変化し、嬉々として非常によかった。M子、Kたろうくん、あらら、さっきと同じ。だめ。
身体表現。まず初参加に俳優にうちの目指すこと、自由な身体を説明する。
Dちゃんの音、今日はよかったね〜。こういうのが好きだ。さて、踊れるNぶに嬉しくなる。M子、その殻を破ったら、いいものが流れ出すの、早く破れ〜。Kさわくん、回を重ねる度に自由を獲得している。その調子。Hで、身体能力高そう。いいよ。Kたろうくん、舞台は異次元だということ、今度ゆっくり話そう。集中力がほしい。
さらに、身体表現のアドバイス。これはダンスではない。音と俳優の共存だということ。
エチュード、女優M子ひとりだったので、他が一人ずつ愛情表現。Hで。シーン創り、シーンの流ればかりを考えている。見たいのは熱い愛情ね。
発見、迷い、決意をアドバイス。再度。いまいち。再度。とても良かった。
Kさわくん、この俳優は弱いが嘘の感情がひとつもない。そこがいい。ただ、もっと熱いものがほしいな。Nぶ、シーンの流れは温かい。「すき」という言葉がさりげなく埋もれる。そこに火柱がみたい。Kたろうくん、このエチュードで不思議ちゃんが見える。面白いかもしれない。ただ、熱い感情もね。
M子の受け、いつもは手練手管に走るM子、だが、今日は二人目からとても素直に反応できた。戸惑いもみえて、はじめてかわいいと想ったよ。
さて、そのまま恒例相関図。これが最高だった。シーンのドライブもそれぞれの感情も。嘘のない俳優たち。いい。こういう俳優たちだけで芝居を創りたい。再確認した。最後のHで、泣けてきた。そこで、滂沱の涙が流せる俳優になってね。
今日は初心に返った。
あたしは己の求める芝居創りのために芝居きちがいとで会い続けていきたい。
帰りに呑み席もごはん。ずっと2時間芝居の話し。う〜ん、至福。
朝から晩まで芝居に埋もれていられるんだもの、あたしはね。
さて、俳優諸氏、自由参加の稽古場がここにあります。
いつでも参加して
あなたの芝居馬鹿ぶりを見せて下さい。
経験値は問いません。芝居を愛する人だけ参加して下さい。
あたしは評判がほしくて芝居をやっていない。
あたしがあたしの創りたい芝居を創り続けるだけ。
当然、評判はついてくる。
では。