2013/10/28
開かれた稽古場。今回は呼吸と言葉と身体表現の本を書いた。参加はメキシコ帰りの宮川がお礼参り参戦もありで、4名。音と映像が仕事で欠席だったので、音操作をし乍ら、身体表現と言葉によるリズムと呼吸を探る。想像力で言葉と戯れることができるか否か。そこに表出する際限ない孤独。その孤独が最後に氷解する。文字にすれば、単純明快なこと。幕開けから15分はまったくの暗闇。気配と言葉という音だけのシーンが続く。音というのは、発する言葉たち。明かりが入るまでの気配は暗闇から観客席に届くはず。言葉はリズミカルな言葉遊び。思い切って。宮川にはとにかくどん欲さがあり、武器。他の面々も異業種格闘技の如く、ぶつかり合った。前回の参加まで躊躇が目立った貴ちゃんが吹っ切れた表現を数々見せた。オキヌがもっと弾けることを願う。桶も集中力があり、活き活きとしていた。孤独を積み上げ、最後に出逢う。なかなかできない至福が、今回は自然と溢れた。愛なんて甘ったるい言葉が優しく響いて、いい幕切れだった。
参加して、それぞれの中で反応して捉まえて、皆、いい顔で休憩。今回は稽古によって何かを持ち帰ることよ、なんてことを話す。正解なんて求めていない。それぞれが蠢いてくれれば、空間は躍動するのだと想った。
後半も身体表現。身体による会話。言葉を縛りはしなかったが、5曲を繋いだので(よくやった!あたし)途中で少しエネルギー切れ。頭が働かなくなって、身体だけの会話に。でも、これはこれでいい出来だったんだな。皆が次第にひとつになり、誰からともなく声が上がる。そういうことよ、でおしまい。感覚はわかったかな。少し参戦した。空気を動かすということより、動く空気からさらに身体を動かすための自己訓練。
残りの時間で相関図と「ある日」のシーン創り。短いシーンを構成していったのだが、心の機微が微妙に絡んで面白かった。
相関図も仕掛けを考えていったので、仕掛けていく。仕掛けると丁寧なシーンになっていくのだけれど、これをそれぞれが発想できると尚、善し。
台本と使用曲公開する。今回は動画までは手が回らなかったので、写真のみ。
ごめんなさい。
『産まれイズルこの大地、踏みしめるのに、ぬかるみグニョン』
作・演出・音操作 森島 音製作 DubMasterX 出演 桶谷健司、オキヌ、榎本貴也、宮川竜一

客電落ちる。
暗転。高い空から堕ちてくる。「この感覚はなんなんだ。どんどんどこんと堕ちている。夢から醒めても堕ちている。どこに向かっていくのだろう。ヒエー、こ わいよ、堕ちている。助けてこわいよ、堕ちている。空に向かって飛んでいく。空から真っ逆さまに堕ちている。これは夢の世界のお話と、そうは問屋がおろさ ない。恐怖の極みの物語、暗闇抜けてのお立ち会い。さあさあ、ドどんとドどんとドカン」
暗闇がさらに深くなる。
雄叫びをあげて、暴れる。「てめえ、誰だよ。あたいの身体をくすぐるな。やめてよ、やめろよ。うひょひょひょひょ。得体のしれない暗黒の、暗黒世界の落下傘。どこまでいってもブランブラン。ブランコぶらぶら、ブランブラン。」
暗闇の静寂。
「僕の産み落とした赤ん坊。苦痛と歓喜の赤ん坊。ほらほら、坊や、ねんねしな。」
「誰だ?おまえは誰だ?暗黒の僕の人生にどこかの誰かが忍び込む。気配と輪廻のその向こう。彷徨う世界の暗闇で、、、、こわい、、、
とてつもなくコワい。僕はどこに向かっているのだろう。助けて。」
暗闇の箱に閉じ込められていく。
気配と耳をつんざく音。
明かりが入ると蠢く人々。否、肉の塊。
言葉を発しようとするのだが、言葉にならない。身体のひとつひとつを触るのだが、感覚がない。
ただただ蠢く。
静止する。
呻き声にも似た言葉を発する。それは意味をなさない声であってほしい。それは苦痛の声であってほしい。
「混沌の闇、僕の内面宇宙からの囁きさえも、無縁仏の声となる」
身体表現。「僕は何を語りたいのか」使用曲 Dubs2
言葉。それは意味をなさない声の連打である。数多の感情だけが声になる。
「言葉を無くす。言葉が奪われる。僕は話すことができなくなった。僕は話すことをやめてみる。君の名は?」
「言葉が出ない。」
誰かに触れたくて、誰かに会いたくて、彷徨い歩く。次第に地面が歪みはじめて、ぐにゃりと揺れる。ぐにゃりと歪んで、ひっくり返る。
「僕の産み落とした赤ん坊。言葉の言えない赤ん坊。僕の心の赤ん坊。愛しくて切なくて僕はあいつを切り刻み、氷の壺に閉じ込めた。」
「言葉」
「苦しい、コワい、助けてくれよ。」
蠢く。
地面を踏みならすおもちゃの兵隊。おもちゃの兵隊が何百。「僕の宇宙におもちゃの兵隊が歩き回る。ねえ、君、君の名は?」
「おもちゃに向かって話しかける。ねえ、ねえ、ねえ、ねえ」
おもちゃの兵隊たちを踏みつぶす。
「僕の産み落とした赤ん坊。言葉を無くした赤ん坊」
次第におもちゃの兵隊たちが攻めて来る。「こわいよ、こわいよ」「裏切りキリキリ、切り離せ」
耳をつんざく音。
「僕は暗黒の世界に堕ちた。誰もいない。誰か助けて。僕を叱って。僕を守って。僕を裏切って。僕を愛して。僕を抱きしめて、僕をみて。僕を壊して。僕を赦して。僕を虐めて。」
狂ったように叫ぶ。
身体表現。「虚ろ」 使用曲 Dubs
心をすっからかんにするための。
「言葉を無くしたら」「見えたもの」「暗黒めくらの」「最果ての」「僕の心の奥底に」「僕の産み落とした赤ん坊」
暗転。
「暗闇暗黒まっくらくらの、僕の貴方に会いたくて」
明かり入ると誰もいない。
遠くからジンタ。
ゆっくりゆっくりサーカス一座。
「ちょうだい、僕に。言葉の銃撃」
「暗闇暗黒、空の果て。」
「あ」
お互いに気づく。
ぬかるむ地面。ぐるぐると回る。
至福の表情。
「会いたかったよ」
暗転。
ねえ。愛していると言葉で言って。
客電。

これからも空気を動かし、弾け飛び、惹き付け合い、発酵させて、作品を創っていこう。5年ぶりくらいに参加した宮川は、当時は作品創りはしていなかったこともあり、作品創りが終わったあとに「誰か僕を助けてよ〜」と言った。
きついんだよね、最近のここ。笑。
いつでも開いているので、我こそはの参戦求む。(ガラ劇団座長さんとか?)
以上。