2013/11/11

スワッという瞬間を奇跡的に生還して、開かれた稽古場より帰宅した。想い出しても鳥肌がたつ珍体験をした。コワいなあ。運を使い果たしたかもしれない。
それはさておき、参加すると連絡がきていて来ないとか論外だし。うちは自由参加なので、来る時に来てくれればOKなの。行きにくくならない場所にしているので、自分で自分の首を絞めては損だよ。そんなわけで参加は桶ひとり。ちょうど「孤独」を題材に本を書いていたので、ひとり芝居創りの濃い二時間とできた。徹底的に修正もしようと想って、まず作品を創ってから、台詞の小返しも繰り返した。いい成果が出て、よかった。身体表現の修正も出来た。こういう細かい稽古ができるのは良い時間だね。前々から気になっていた身体表現を動き乍ら教えることができたことで、やっとわかった様子。フィジカルなことはやはり動いて教えないと伝わらないのかもしれないね。以後、気をつけようと想った。無対象のコツも少し。
次回には成果が見えると嬉しいね。細かいことは桶に話し、修正したので、割愛する。ただ、長い台詞を書くと台詞に呑まれてしまう。これは常に課題なのだが、一行ずつ「これはどうでもいい」という消去をしたら、俄然よくなった。苦笑。言葉はきっと書いている時に言霊を宿すので、それをどう言って、どう演ってとか考えなくていい、ってことなのよね。
作品と使用曲を公開する。この作品の上演時間は55分。自分の回りの人々が全員自分自身になってしまう話。他者のいない世界で感じる孤独。
★ 動画は身体表現「雑踏の中、僕ばかり」2546〜 使用曲 ピンクフロイド Us and Them
★ 別に冒頭台詞、修正後を上げる。→著作権の警告と共に削除された。汗。

『見慣れた風景が赤く染まるとき、僕はトンネルを抜けて闇に堕ちて行く』
作・演出・選曲 森島、音製作 DubMasterX 出演 桶谷健司
撮影 花

客電落ちる。 照らされるような明かり。
音「ある晴れた日に」 マリア・カラスhttp://www.youtube.com/watch?v=khPrm3aFxd4
「いつものように仕事に行こうとして歩いていた。空が光り輝いていたので、空 を見上げた。空は明るすぎて、 目をつぶった。全身が一瞬何かに押し込められたような衝撃に包まれた、ような 気がしたが、街の雑音はいつものままで、 感じた衝撃は置き去りにして、いつものようにあの角を曲がったのだ。人々とす れ違う。脇腹にちくりと衝撃を感じて、また空を見た。空はやっぱり明 るすぎ て、反射的に目をつぶった。脳みそが痺れるような、そんな気がしたが、歩行者 用信号のメロディが遠くから耳に押し入ってきたので、また歩き はじめた。そ う、いつものように。いつものようにと言い乍ら、どこかいつものようではない ようで、体内のメトロノームが早鐘のように動いていた。 空腹、そうそう、そ う言えば何もクチにしていないなと想った。人々とすれ違った。ひやりと冷気が 漂った、気がした。ああ、いつの間にか寒くなった と想った。と、身体中を焦 がすような衝撃と熱さと痛みが襲って来た。」
「空を見上げた」
人々は手を伸ばし、やにわに衝撃と身体を焦がしていく痛みにのたうつ。
「何だろう?」
かすかな違和感を感じて、急ぎ足になる。すれ違う人々。脇腹にチクリとした痛 み。さらに急ぐ。互いに見る。
「え?」
足早に歩く。すれ違う。脇腹にチクリとした痛み。立ち止まる。互いに見る。
「え?」
驚愕。
身体表現。「雑踏の中、僕ばかり」2546〜 使用曲 ピンクフロイド Us and Them
http://www.youtube.com/watch?v=Fi1sBwV1-tU
言葉「誰だ」「誰だ」「誰だ」「雑踏の人々」「偽物」「自己崩壊」「誰だ」 「誰だ」「真実」「自己崩壊」 「溢れる」「辺り一面に」「誰だ」「誰だ」「吸い取られる感覚」「誰だ」
首を振り、立ち尽くす。
「すれ違う人々が皆、自分自身。すれ違う自分自身が見透かす。僕の(あたし の)残酷を見透かす。僕をすれ違い様にガラスの破片で刺す。 この感覚は足下を掬うような、嫌悪感でしかない。」
話しかける。しかし、話しかけてくる己自身。 応える。己自身の質問に、己が応える。
逃げ出す。すれ違う。脇腹にチクリとした痛みを感じる。
己の手に握られた ジャックナイフ。
驚愕と戦慄と殺意と恐怖。
叫ぶ。 叫び乍ら、極めて冷静を纏い、歩く。が、足がもつれて転ぶ。
立ち上がり、踵を 返す。
「僕は逃げた。必死に逃げて逃げて、やっと家に辿り着いた。」
鍵穴に鍵を差し込んで、鍵を回す。ぐにゃりとした感触。空を見上げる。まばゆ い光の放射に、目眩がする。 ドアを開ける。立ちすくむ、じっと家の中を覗く。
「おまえは誰だ。」
パソコンの画面に世界地図。振り返る人。
「僕が(あたしが)そこにいたのだ、 いるはずの家族の姿はなく、僕自身(あたし自身)がパソコンの画面に 赤い点 をいくつもつけていた。自分自身が僕を(あたしを)みて、笑った。」 天井から妻と息子の身体がぶら下がっている。 悲鳴。見上げると光り輝く空が見えた。
「やめてくれ。こんなことを望んだこと はない、絶対にない、めんどくさい。うっとおしい、邪魔だ、黙ってい てく れ。近寄るな。うるさい。」
己の手に握られたジャックナイフ。 驚愕と殺意。
身体表現。「望んだことが起こりはじめたとして」使用曲 サンタナJINGO
http://www.youtube.com/ /watch?v=95Jv62q-_9s
言葉「自由とか」「束縛とか」「しがらみとか」「不文律とか」「血縁とか」「遺伝 とか」「自分自身とか」「諍いとか」 「断ち切る」「遮断」「無縁仏の彷徨いの、己の墓場に子守唄」
男が(女が)パソコンの画面を叩き割る。立ち上がり、正対。
「何がしたい?」
「僕自身」
「おまえ」
ドアを開けて逃げ出す。 人々にすれ違う。脇腹にチクリとした痛みを感じる。逃げる。逃げ惑う人々。多 数の自分。錯乱していく。
無言で刺す。
身体中に痛みと混乱が走る。
空を見上げる。空が闇になる。 手を伸ばす。
大量のカラス。鴉の死骸。ドサリと身体を覆う。 己自身の混線。
激しい痛み、後悔、号泣。
立ち上がる。頽れる。立ち上がる。手を伸ばす。ドサリと倒れる。 大量の己自身の死体。
「僕の(あたしの)抜け殻、僕の死体。ああ。生きていた い。」
「叶わない願望に、僕は(あたしは)激しく抵抗する。僕しかいない世界の末 路。僕しかいない世界の空虚。僕しかいないこの世の終焉。」
立ち上がる。 空を見上げる。 目映いばかりの空、手を伸ばす。
己自身を抱きしめる。
「僕自身の抱擁。寒い。」 暗転。使用曲 Dubs
明かりが入る。 人々に気づく。「あ」
安堵の微笑み。
「人間のかたまり。愛しいかたまり。」
互いに手を伸ばし、近づきつつ いきなり、闇。
客電
今回はどっぷり2時間の作品創り。次回に活かしてね。
以上。