2013/12/23

開かれた稽古場より帰宅。丁寧な欠席連絡がレギュラーメンバーたちから入ったので(笑)誰もこないわ、とスタジオの受付に言い、音もいないからCDを教えてと救いを求め、稽古場へ。さてと、音を出しながら、あたしが演るかとハラを括ったら、健ちゃんが来てくれた。今回はクリスマスプレゼントに暗闇芝居を書いてきたので、やっぱり役者さんにFOR YOUしたかった。よかった。感情遊技と名付けて、観客席の感情を動かす一体型芝居。レギュラーな参加者にもここまでの芝居を提出したことがなかった。今回3回目の健ちゃんと共に創った。まず、この芝居の準備運動として、「歩く」の課題。これは感情の柔軟として。あたしもそろそろ感情を柔らかく、動かす訓練をしておきたいので、最近は参加している。今回は殺意。基本は「歩き」である。健ちゃんはどうしても物語を創っていこうとするので、それは抑えて歩くというシーン創りができるといいね。(使用曲 DAD MAM GODより。とてもよかった。)音に駆りたてられて、いい音だ。
作品は、幕開けは客電消えて25分、暗闇である。台詞が続くので、明かりの中で進めたが、実は真っ暗闇の中で進む芝居である。撮影の花が暗転にして映像を押さえてくれた。明るい明かりが入り、音が入り、初めて俳優の姿が見える。身体表現。そこから、物語が続き、再びの暗闇。ラスト5分もまた暗闇で進み、終わる。45分作品。
1回通して、後半は暗闇部分の返し稽古。闇の中の発信をメリハリのある、リアリズムを基調としたものとしていきたい。健ちゃんは感覚がいいので、返すことで一気に掴んでいく。創っていて、こういう稽古は愉しい。ただ、いかんせん声が弱いので、声は欲しいなあと想った。なんせ、頼りは声と沈黙と気配だけなので。鍛えよう。何より健ちゃんが手応えがあり、愉しそうでよかった。
しばらくわがまま言い、閉めますが、また逢いましょう。
作品、使用曲公開する。音源がCD使用なので、動画中の音のみ公開。
動画は、身体表現。「闇の中で見えたものは」使用曲 SUGIZO INVITATION部分。

『沈黙の向こう側でさざなみのように囁くとき、景色がちょっとゆらめいて縷々。』
作・演出・選曲 森島、音操作 森島 出演 中澤健太郎 撮影 花

客電落ちる。
暗闇の中(この作品は暗闇の中で進行する)
だるまさんがころんだ。あ、動いた。(沈黙)
(ややあって)だるまさん、だるまさん、だるまさん。あ、動けない。(沈黙)
ねえ、君、僕と観光バスに乗ってみませんか?
あのね、僕は一生、君を裏切らないよ。ウソだけど。(沈黙)
(暗闇を引き裂くように)だるまさんがころんだ。だるまさんがころんだ。
劇場の観客席、うしろの正面真っ暗闇の魔の手が伸びる。
(沈黙)暗闇の沈黙。
はら、こうして僕は君に近づいている。だるまさん。だるまさん。君を抱きしめることも君の首すじに手を
声を出すな。(沈黙)
不愉快な闇。ご注文は?暗闇レストランにようこそ。生クリームどっさりのパイを投げる。あ、ごめんなさいね。不愉快でしょう?
つまらないだろ?え?だるまさんがころべ、ころべ。ころべ。
僕、逃げ出したい。暗闇。思い出す。閉じこめられた心。闇の暴力。
人混み。暗闇。人間の心の暗黒の闇。
苛つく。おい。劇場に閉じこめられた君。君だよ、君。(沈黙)
苛つく息づかい。(沈黙)うんざりするよ。イライラするよ。こわいよ。だるまさんがころんだ。
うしろの正面だあれ。(哄笑)
バカ!振り返っても、うしろの正面、闇、闇、闇。どんどんどんどん転べよ、転べ。だるま、君は、僕は、君たちは、僕たちは、だるま、ここから逃げ出せない闇のだるまだ。
あ、ナイフ。ここに切れ味のいい1本のナイフ。(沈黙)動くな、痛い。僕はナイフをポケットから出した。
やになっちゃったんだよ、この年末。何もかも。キンキンキラキラの街にあふれるクリスマスソング。うるさいよ。君はいない。君は僕の目の前で飛び降りた。痛い。暗闇の中で赤い血が流れる。見える?(沈黙)
毎日、どんよりとした空。星が輝く冬の空も僕には見えない。どんよりして、イライラするだけだ。おい。黙れ。
上演中の私語は禁止させていただきます。痛い。
君は、芝居を観に来て、座り心地の悪い椅子に座っている。暗闇のだるまだ。
僕がこの手にナイフを持って、歩く。だるまさんがころんだ。
黙れ、黙れ、これが現実だ。ボロボロの僕は、君たちをボロボロにしたいのよ。僕と道行き、だるまさんがころんだ。
暗闇を。暗黒を。心の闇を。このナイフでジエンドにできるんだ。
いきなり明かり。音。
身体表現。「闇の中で見えたものは」使用曲 SUGIZO INVITATION
言葉。「心のささやき」「チンドンやさんの行列」「無音の曇り空」「からっぽの僕」「トゲトゲの暗黒」「冷たい動脈」「リズミカルな心臓」
「身体と心をつぎはぎにして僕は、ここにいる。」
君が窓から消えた。感情表現。驚愕と後悔からの愛情表現。
「僕が階段を駆け下りようと外に出たら、踊り場の向こうに夕焼けが見えたんだ。僕の人生、こんな女で終わっちゃうのかと思った。
僕は階段を駆け下りる足をみた。僕の足、どこへいくのか。階段を降りて、君に何を言うのか。どうせ、死んでるよな。これは僕のせいではない。君の心が壊れただけだ。僕は壊されたくない。やめてくれよ。僕の人生を暗闇にするな。」
号泣。
「三色スミレの咲いた花壇の横に、君がいた。横たわった君。僕の大切な人形。」
人形をぞんざいに拾い上げる。投げつける。
「汚れた人形の君はもういらない。僕の精神世界に棲む人形は僕を裏切らない君。僕のいない時間に君が何をしていたのか、
僕は知っていた。知っていたけど、僕に抱かれる君を僕は赦した。僕は僕のために目を閉じた。僕の心の暗黒の、僕は君を恨んだ。憎んだ。愛しているとささや きながら、僕は君を呪い殺したかったんだ。嬉しい。君が飛んだ。空に向かって飛んだ。すべては終わった。汚れた人形を僕はやっと、捨てた。」
号泣。
身体表現。「愛なんてものは暗黒の黒。」使用音源、天井桟敷身毒丸より「復讐鬼」
声を出さずに泣く身体としての。
暗転。
だるまさんがころんだ。怒ってみる。叫んでみる。泣いてみる。
だるまさんがころんだ。だるまさんがころんだ。
さあ、ここにナイフ。僕のポケットにナイフ。
真っ暗闇で赤い血を流すんだ。
さようなら、さようなら、僕に暗闇をありがとう。
断末魔の叫び。
沈黙。
長い沈黙。息づかい。
止まる。
サイレン。
静寂。
メリークリスマス。使用曲 「ホワイトクリスマス」
客電。
            
以上。次回で年内最終稽古。精進、精進。公演1ヶ月前なり。ヒィー。