2008/06/23
芝居は魔物

緊縛されたマトリューショカを参加のM子から貰って、ごきげんで帰ってきた。最後には羊が緊縛されている。セーラー服。開かれた稽古場だった。
参加者6名、見学1名。突然Sかがやってきた。芝居はやめられないよね。
やめないでほしい。
まず、イメージをもって歩く。イメージの中身まで伝われば最高だけど、まだまだ道は険しい。とにかく何でもいい。強いオーラを感じるところまで想像力の翼を羽ばたかせてほしいものだ。これという強いものがなかなか届いてこない。何故だろう?イメージを観るということを漠然と捉えすぎているように感じる。
イメージを積極的にみる。細部まで想像していく。理屈ではなく、もっとイメージしやすいものを選んではどうだろうか?しかし、Sかが急に走る。そう、あたしはこういうものをじっと待っていた。イメージに身体が向かっていくような動きの変化。よかった。とめて、アドバイス。Kちゃんはいつも何かが伝わってくる。もっとはっきりしたものが伝わるのではないかと期待して、探っているのだが。Eなはことごとく表面的だ。何故か?それは彼女のイマジネーションの不足だと想う。芝居は理屈では絶対にできない。N山さんはスパークまでがのんびりだが、確実に伝わってくるなにかはある。それが混沌としていて、彼女が何を観ているのかはわからないが、興味深い。M子、みようとしている。それはわかる。が、頭がかちゃかちゃと動いている印象。たとえば活字の羅列のような。Kさわくん、今、彼にとってこれが一番迷い、悩んでいるところかもしれない。もっともっと心を柔らかく。イメージを自らで開いていってほしい。広がりが感じられない。イメージを音、声、言葉にする。
なかなか想うようなものが出てこない。頭で翻訳せずに、そのまま。うまくいかない。感情の訓練。まずは満たされた感情。こころを満たすこと。俳優という生業、どこまでも幸せになってもいいのだ。心を満たしてほしい。
M子、とてもいい笑顔、柔らかい身体。少しずつ自由になってきたね。Kさわくんもいい。Kちゃん、これはお得意。が、今日は少し弱かったように感じた。N山さん、もっともっと満たされてほしい。Eな、満たされるということ、笑顔が心と繋がっていない。創り笑顔ではない。心の充実なのだ。さりげなかったが、Sかも柔らかくてよかった。
怒りの感情。強い怒り。声との連動。Kさわくんがよかったので、切り取る。
常に動きながらしか表現できないので、動きを決めてみる。正面から見られることの怖さ。これが芝居にはあり、そこを越えていかなかればならない。
何回か止め、繰り返す。強い感情が出る。表情が変化し、とてもいい。他の俳優がこれに加わり、シーンドライブ。N山さん、アイディアが先行する。少しずつ、身体に感情にリアリズムを身につけたい。身体の癖をアドバイス。他者と向かい合うこと、これはとても大事な基本だとあたしは想っている。Sかが面白い入り方をする。芝居が好きなんだろうな?こういう演劇的なものに出会った瞬間があたしは嬉しい。日常を壊すもの、それが演劇だと言っても過言ではない。けれど、シュールなものにもリアリズムは必要だね。と感じた。発想だけでは物足りない。M子、このエチュードは思い切りがあった。しかし、持続出来ない。そこを教えていきたい。Eなは何をやっても早わかりの表面的。せっかくの共同作業を壊していく。空気を読めよと想う。気がついたら、怒鳴っていた。けれど、そこに、それをわからなければいけないんだよ。頑張って素直になってほしい。最近シーンがとてもよくなってきたので、それぞれがもっと温かく、本当の感情を追っていけたらいい。だからこそ、表面的なもの、嘘はいやなのだ。Kちゃん、いいのだが、ちょっと自分の居やすいところを選びすぎている感じもした。切り口を決めてしまわないでほしいかな。
再度。最後にKさわくんが最初の感情に戻りかける。よかったのだが、中途半端だったので、演劇的ということを踏まえてアドバイス。次回に期待だ。
さらに、感情の訓練。深い悲しみ。号泣まで辿り着いてほしいと想いながら。
繰り返してきた号泣と感情を繋げるために。Sかは号泣の訓練もしていなかったので、やはり弱かったが、ほぼ全員涙が出はじめるくらいまでは到達したかな。手を打ち、そこから号泣。まあまあ繋がっているが、さらに極めたい。
とても好きだった人との再会。その瞬間がみたい。エチュード。ひとりずつ。
今日はミザンセーヌをつけてみる。歩き、振り返り、立つ。そこでの表現。
M子ではじめてみて、この単純な動きが難しいことがわかる。そうだよね。
アドバイス。しかし、再会の瞬発的な感情が見えない。N山さん、いまひとつ。Kちゃん、よかった。Eな、イマジネーションと心、芝居はそれしかない。早く掴んでほしい。Sか、いまひとつ。
発声。まず腹式確認。うむ、甘い、甘い。こればかりは繰り返すしかない。繰り返さなければ。ブリッジによる声の受け渡し。Sか、声を鍛えたいね。ボチボチね。皆、声は強くはなったが、そこから。爆発するような強い声を絶対獲得していきたい。腹筋強化のよる声の受け渡し。だから、弱いんだってば!!
もっともっと。全然物足りない。発声のための「黒の舟唄」シコを直しながら。とにかく声が弱い。鍛える。それしかない。先は長いが、叶えたいのだ。
それぞれ、日々の努力をしてくれ。
Eな、こもった声は直った。が、頭に抜けている。声は難しい。
N山さんの腹式と胸式の連動を考えて活かしたい。考えよう。
エチュード。5人の女優にKさわくん、愛情表現。それぞれは反応の訓練。
Kさわくんはいい。いいけれど、まだまだ瞬発力と熱さが物足りない。Eな、この反応はよかった。が、持続しない。たったこれだけの短いシーンで感情がぶつ切れでどうする?集中するしかないね。Kちゃん、とまどい、うん、器用になったのか?秀逸。Sか、大人っぽい反応だった。好感。M子、笑顔が零れるようになってきて、好感。N山さん、N山イズムを大事にしたいと想う。でも、かわいさも引き出したい。悩みどころ。(笑)
さて、このまま恒例相関図。今日はぬるいぬるいシーンで、全然だめ。どうしてこうクールなのか?どうしてこんなにテレビドラマみたいなのか?つまらん。ガッカリ。
続いて、身体表現。まずはウォーキングから。スタイリッシュに。さらに女優は妖艶に、セクシーに。Sか,N山さんがよかった。Kちゃんの眼技が最高ね。
Eなの目線がよくなった。がんばれ。
続いて身体表現、身体に音を取り組む訓練。他者との関わり、声をアドバイスして開始。これはなかなかよかった。Kさわくんは身体を自由にすることが空間を歩くことになってしまっていて、それは課程としてはありだろうが、あたしの求めることとは違う。全員、自由にはなってきたし、音も身体に入り込んできたが、身体で表現することをもう少し考えてほしいとアドバイスする。
M子は踊りを排斥してはならないし、他の俳優も楽なところで動いていては表現にならない。Kちゃんはとてもいいので、さらに身体で表現する域をきっちり目指してほしい。
以上。あっという間の2時間。充実した稽古だった。今日は全員で呑み、食事。稽古のあとはなぜかあまり呑めない。稽古でエネルギーを使い果たす。気持ちいい。
しかし、帰り道、なんとなく不完全燃焼。さらにさらに。もっと、もっとだ。
本物の俳優になるために。