2014/1/27

日曜日で公演が終わって、日々お客様からの予想以上の好評に気をよくして迎えた翌日、お客様にお礼の電話やメールをした。冷水を頭からかけられるような批判を受ける。何がやりたいのか、わからない、好きなことをただやっているだけと言われる。好きなことを追って、何が悪いのか?よくわからん。あなたの好きなことにつきあわされて、きっと迷惑な時間だったのだろうな、と想えば申し訳ないけれど。あたしは「説明をしすぎない」ことが好きなので、その美徳は今回のチラシにも反映してもらった。作品についても説明はしなかった。観客席と共存したい。媚びたくはない。確固として今、想うこと。
少しのダメージと少しの開き直りを抱えて、開かれた稽古場へ。身体は疲れてもいるが、神経が尖っている感じで。参加者5名、見学1名。
久しぶりの再開に久しぶりの参加者と初めての参加者。というわけで、まず身体表現から。「あるおんな」の身体表現のためにDubMasterXに創ってもらった曲を使ってみる。いやあ、全然動けませんな。リズムもメロディもない不協和な音はちょっとハードルが高かった。
今回の作品は感じる、動く感情を持ち帰るために、「孤独」を書いた。初参加のN美はほとんど動けず、焦りが涙になり。まずはここからのスタート。続けることだね。Rなは動き始めていたものが、また戻ってしまっていた。作品の後半からやっと心も動き始めた。忘れないペースで確認にきてほしい。桶はアイドリング時間がポーズの時間のように想う。初っぱなからエンジン全開になってほしい。天才オキヌは上々の出来。身体能力を磨きたいものだね。松本は次はもっとオリジナリティとかそんなところを目指してほしい。
後半は「媚びる」「殺意」「相関図」のシーン創り。予想の立つものを超えたシーン創りがしたいけれど、いまひとつ日常シーンの延長で「劇的」とはほど遠かった。
作品と使用曲を公開する。最初の身体表現の曲はアップできないが、「あるおんな」使用曲。
★動画は身体表現。「赦すということは時に残酷な仮面の如く」
使用曲 忌野清志郎「人間のクズ」部分。

『ふつふつと湧く、心に歪な仮面が踊る』
作・演出 森島、音 DubMasterX,、出演 松本渉・オキヌ・桶谷健司・村上麗奈・安井直美 撮影 花

客電落ちる。
暗闇の中、無数の人々の中に佇む。
それぞれに気配を感じる。それは死人たちの列であることに気づく。
身体が動かない。
心で想う恐怖が言葉になる。言葉を発すると体が足の先からヌメリとした地面の中に吸い込まれる。
話してはいけないと想う。が、それが言葉になる。
「話してはだめだ」大音量で、同じ言葉が聴こえる。「え?誰?」
身体がズボンと堕ちる。
悲鳴。
明かり入る。
自分自身しかいない。孤独。
身体表現。「ひとりぼっちに」使用曲YES 「We Have Heaven」http://www.youtube.com/watch?v=PZSxZHMkZWM
言葉。「ひとり」「ひとり」「ポツネン」「ひっそり」「無言の世界」「身体中に鳥肌がたつ」
脱力して、横たわる。
「ここはどこだろう。僕は(あたしは)誰なのだろうかとじっと考える。ヌメリとした地面に吸い込まれて、
オレは(あたしは)、僕は(あたしは)、気を失った。ここには誰もいない。誰もいない世界に僕は(あたしは)横たわっている。
あれ?もしかして、ここは」
強制的な力で立ち上がらせられる。強制的な力で歩かされる。
「見えない力に僕は突き動かされる。僕は今、ここにじっとしていたいのに、僕は動かされている。僕は戦場にいき、僕は銃を連射する。僕は死体の山 を見る。見たくもないのに。僕の目は血まみれでうめく、その声の合唱を聴く。僕は空腹だ。」
「見えない力にあたしは突き動かされる。あたしは今、ここに膝を抱えて座っていたいのに、あたしは動かされている。あたしは戦場にいき、あたしは 銃を連射する。あたしは死体の山を見る。吹き出る血を見る。うめき声を聴く。あたしは快感だ。」
男と女、
顔を見合わせ、罵倒する。
「あ」
お互いに孤独を解かれて、安堵する。
「わかる、わかる」
「しょうがないよね」
沈黙。
自己嫌悪。
「やめろ」
「やめて」
見つめ合う。死体の山を見る。
号泣する。
身体表現。「赦すということは時に残酷な仮面の如く」
使用曲 忌野清志郎「人間のクズ」http://www.youtube.com/watch?v=ufRxSBt0i3E
声。
心情描写の声。
ひとり佇む。
誰も
「見えない」
「誰かに逢いたい」
「とても逢いたい」
「とても」
「とても」
「とても」
「とても」
四方から暗闇。
迫り来る暗闇。
恐怖、孤独。
暗転。
清々しい明かり。
崩れ落ちている人々。それぞれに気づく。
つと立ち上がる。
安堵する。
いきなりの闇。
「またひとりぼっち。仮面がほしい。」
客電。
以上。今年もよろしく。毎週月曜日開かれた稽古場。