開かれた稽古場第二百九十二回

2014/2/3
今週も開かれた稽古場よりスタート。日中は今秋のピンター公演のスタッフ、稽古場について、先生と相談、キャスティングも始まっている。
さて、本日は女優４人＋男優１名の５名の参加、見学１名。今年は身体訓練を強化し、心を動かすことを身体に繋げていく。身体から出る言葉が「台詞」になれば、間違いない。そして、はっきりきっちりズバッといく。そして、それぞれの「個」に対して、綿密に向き合う。ここまではあたしの表明。
それぞれに上の課題を渡して、足掻き続けて貰いたい。
基本の自由参加は変わらないので、それぞれのペースで継続してもらいたい。
まずは「修羅になる」身体表現の課題からスタート。連続した身体表現として。
とスタートしたのだが、気まぐれ参加のTさんがまったく忘れてしまった感覚と身体で、何度も止めてしまった。怒ったふりから始まるので、固まってしまう心は動かない。R奈の心が動き出しても、失速する。何とか4回目で次に渡して、全員まで。感情がピークに突き抜けていけない。つまらない。
怒りを心に持ち、動きを修正して、全体の身体表現を創る。無駄な動きを削いだ。ただし、これが自発的にできるようになりたいね。
続いて、踊り狂う。ダンス曲に合わせて、舞台上にトランス状態を創っていく課題。テクニックを見せる場面よりも音に身体をどこまで載せていけるか、それが肝心。オキヌがよかった。ただ、オキヌを含め、身体表現の手が決まってしまっているので、予想に反した表現が出てこない。自由になりたい。
小休止して、今回の作品創り。絶望的な状況への想像、その状況にどこまで身をおき、心身が反応できるか。台本に書かれたことをこなしているだけでは、つまらない。身体表現のオキヌは秀逸。麗奈がエンジンのかかりが遅いが、掛かると光った。桶はもっと枠をはみ出したものがなかなか出てこない。もっともっと。Tさんはやるなら本気で続けないと何もない。N美ちゃんはとにかく、今、剥ぐ。剥いでまずは裸にしたい。そこから、はじめよう。どうしようと想い乍らも挑んでいる姿勢は好感。
みんな、スタイリッシュになってほしいのだ。
そして、その想像よりももっともっと残酷で、救いようのないところまで、いかないと軽くなる。自失した態ではなく、自失してほしいのだから。観客席の心を動かすためには、苦しいほどの想像が不可欠ではないか。
台本、使用曲公開する。
★ 動画は身体表現。「絶望の先にあるものを僕は強く強く弾き飛ばしたいから。」部分。

『機械人間、破壊する。飛び出す臓器が問いかける。』
作・演出　森島、音　Dub 出演　桶谷健司、藤川千景、オキヌ、村上麗奈、やすいなおみ、撮影　花
客電落ちる。
「待って」「待てよ」
明かり入る。必死の形相で走っている女、男。
立ち竦む。（スクム）
「オレ（あたし）の身体に体当たりするようにおまえは（あなたは）出ていった。ほんの一瞬、ま、いっかと想ったが、閉まる寸前のドアを目のはしに掴まえ乍ら、オレは（あたしは）おまえ（あなた）を追いかけていた。待てよ、待てよと叫んでいた。おまえ（あなた）の乗ったエレベーターに間に合わなかったオレは（あたしは）おまえの走り去った方向を見失った。全力疾走をして、交番の角の信号におまえ（あなた）の遠い影を見つけた。声が、こんな声がおまえに（あなたに）届くのか、おまえ（あなた）は聴いてくれるのかと想い乍ら、叫んだ。おまえの（あなたの）影に叫んだ。待てよ、待てよ、待てよ（待って、待って、待って）、待てよ、待てよ、待てよ（待って、待って、待って）走って、走って、走って、おまえ（あなた）の肩を掴んだ。おまえが（あなたが）振り返った。」
振り返った女の顔（男の顔）、目は空洞、口は針金で縫い閉じられている。
「オレ（あたし）を見ることを拒んだ空洞の目、オレ（あたし）に応えることを封じた閉ざされた口。オレ（あたし）を欲していない冷たい身体（カラダ）」
絶望の身体表現。使用曲　ハイウェイ・スター／ディープ・パープル

http://www.youtube.com/watch?v=aJXzBEmclwY
歩き出す。「壊れていく」我に返る。笑ってみる。歩き出す。
強い衝撃。走り出す。ドアを開ける。
父が倒れている。駆け寄る。抱き上げる。父の口からおびただしい蝶々が舞い上がる。
「父が、死んだ。父が死んだ。口から蝶々が無数に飛び立つ。穏やかだった父の顔が溶けていく。助けて。」
「オレを（あたしを）壊さないでくれ。壊れていく。」
身体表現。「絶望の先にあるものを僕は強く強く弾き飛ばしたいから。」 http://www.youtube.com/watch?v=In4o98NyoSU　×２　カットアウト。
使用曲Blitzkrieg Bop (The Ramones)

言葉。「いやいやいやん」「この道」「だめだめだめ」「この先」「こわいこわい」
佇む。頽れる（クズオレル）。立つ。つかの間の無表情。
「破壊していく僕」「閉じるんだ」佇む。
無言。
地面が激しく揺れる。空が光る。景色が燃える。人々が燃える。逃げる。走る。巨大な鉄の塊が身体を押しつぶす。足が付け根から吹き飛ぶ。
人々が黒こげの身体を引きずって歩き出す。
おびただしい悲鳴と叫び
。無言。
「壊れて、壊れて、壊れて、壊れて、壊れて、壊れて」
「オレの心臓がうるさく鳴り続けているよ。」
「ショートケーキ」「シュークリーム」「エクレア」「チョコレートケーキ」「オレ（あたし）の臓器」
歩き出す。しかし、それは機械じかけの人間たち。
身体表現。「心臓だけが鳴り続けるから、チクタクチクタク」使用曲　スコーピオンズ「荒城の月」http://www.youtube.com/watch?v=fXIr27OdDGE
言葉。「苦しい」「痛い」「哀しい」「愛しい」「せつない」「弱い」「つらい」「助けて」つと止まる。
動かない。
「ワタシノキオクヲモドシテクダサイ。」
暗転。
「待って」「待てよ」走る。停まる。退場する。泣く。
客電。

以上。参加自由、またね。