2014/2/17
また今週も雪が降る予報をきく。当たらないと言われた天気予報が当たる時代になったわね。だんだん雪がコワくなってきた。開かれた稽古場より帰宅。最近友人の劇団からの参加者が元気に参加してくる。若い可能性を引き出せたらいいな、と想う。自由になる愉しさを心身共に感じる稽古場でありたい。
参加者6名。男と女の恋愛芝居を書いていったので、3ペア×2で作品作りが出来た。まずは「歩く」から。今回は「怒り」の感情を段階的にヒートさせていく課題、最後は身体表現と考えてスタート。あたしも入ろうと想って、参加。あたしなりに怒りのポルテージアップとその先に表現を課題にしてみた。指示をしながらもスイッチが入り過ぎてしまい、怒りのぶつけ合い、身体表現まで終わったら、30分続けてしまった。どんどん上がって行く松本に仕掛けていくうちに愉しくなってしまった。初参加のマリ子が泣いている。麗奈が泣いている。怒りの感情が泣きに変わって行く。ありだ。ところが、次の瞬間失速してしまうので、終了後アドバイス。マリ子はとてもへんな子で面白かった。へんな子大将のマイケルには届かないが。笑。へんなものは好き。
続いて「修羅になる」今回は人数が増えることで、感情が加算されて爆発していく課題とした。全員歩くの効果もあったのか、よく動いた。松本VS桶はかなり良かった。なおみは一生懸命と感情の爆発が混在しているため、弱く感じる。純粋に感情が動かせるようになろう。麗奈は身体表現が弱いので、今回から身体表現のアドバイスをはっきりしていくことにする。半年後には動ける身体になるだろう。マイケルは一見表現先行にみえるが、感情も動いているので、実に個性的。好きだね。
休憩を入れて、作品創り。ギリギリラストまで演って、手を叩いたら、タイムオーバー。アドバイスがまったくできず、ごめん。ここに書く。台本を読んで貰えばわかるが、恋愛の極限をテーマにした。愛と憎しみ、表裏一体。様式、身体言語としての要求がてんこ盛りとなると、身体がどこまで心に伴うかがネックとなった。なおみは、心が動いては止まり、動いては止まる。桶は心が動くのだが、振れ幅が小さくて埋もれてしまう。挑戦として、伝えるため、には如何に?ということを次のステップとしよう。松本は確実に次へ紡いでいける。今回の作品には、松本のあの「毒」がもっともっと欲しかったな。マイケルは、今回はのっていた。作品によりムラを感じるが、それもまた一興か。今回のマイケルは優しかった。麗奈は後半グワングワンと動きだし、あ、女優?と想えて嬉しい予感がした。それに伴い、松本も何段も上がった。動き始めた二つの心が絡み合い、もつれ合って、最後のストップモーションで涙が出た。ほんの一部のシーンだけど、この仕上がりは嬉しかった。何よりも書いた本が役者を通って活き活きする瞬間が至福だ。麗奈、身体表現強化!
身悶える、は3人の女優ともにおそまつ君。笑。色気は欲しいね。
以上。台本、使用曲公開。またまた著作権に引っかかった曲があるので、曲名のみあり。
★ 動画は身体表現「心の裏側スケルトン」部分。

『You wept with emotion-心箱、身体言語としての。』
                芝居屋・劇団羊のしっぽ
作・演出・選曲 森島、音 DubMasterX 出演 松本渉、マイケルリュー、桶谷健司、村上麗奈、やすいなおみ、谷野マリコ 撮影 花

客電落ちる。
明かり。ドレスを身に纏った女。上半身裸の男。
女、歩く。使用曲 Wedding March Part2
http://www.youtube.com/watch?v=XmIMkZ1Lyhw
男、追いかける。互いにすれ違う。女は至福の面持ち。男は悲痛な面持ち。
女、愛おしげに男をみる。微笑む。「愛してる」男、優しく女を見つめる。
使用曲 wedding march from "A Midsummer Night's Dream".
http://www.youtube.com/watch?v=z0wmzoHd6yo
女、微笑み乍ら、歩く。男、怯える。男「しょうがなかった。しかたなかった。どうしようもなかった。」
女「いつ?」
男「何が?」
女「結婚式」
男「そのうち」微笑む。女、微笑む。
身体表現。「心の裏側スケルトン」使用曲Nujabes Next View 
http://www.youtube.com/watch?v=7xZY8VJHqU4

言葉。「めんどくさい」「もういい」「うんざり」「またまた」「くりかえす」「はったりとウソ」
「からっぽ」「きらい」「あいというげんめつ」「ひとりになりたい」
女「やめて。毎日毎日あたしを追い込むのはやめて。あたしに触らないで。あたしを放り出して。この日常という牢獄では、言葉を無くしてしまうだ け。やめて。あなたの言葉が突き刺さるから。やめて、あたしに話しかけないで。あっちむいてほい、あっちむいてほい、あっちむいてほい。ゴキブ リ。あなたはゴキブリ。あなたのクチの歪み、あたしはみた。あの日からずっとあなたのクチは歪んでいるのよ。」
男、無言。男が歪んだ笑みを浮かべる。女を見る。女、男の言葉に次第に身悶える。
男「おまえは誰だ。オレの視界を遮る物体。おまえはオレを何も知らない。そのわかったような微笑みと涙は、一体何だ?何のためだ。オレの毎日、オ レの日常は蝕まれる。おい、こっちにこいよ。おい、抱いてやるよ。おまえの心の隙間をこじ開けて、オレはおまえをあいして、やるよ。あいして、や るよ。ほら、こいよ。来るな、近づくな。オレに触るな。」
使用曲 wedding march from "A Midsummer Night's Dream".
http://www.youtube.com/watch?v=z0wmzoHd6yo
女、男抱き合う。交わることのない、冷めた抱擁。
「触るな」(触らないで)
「おまえが邪魔だ」(あたしに触らないで)
次第に激しい憎しみの身体描写となる。http://www.youtube.com/watch?v=z0wmzoHd6yo ×
http://www.youtube.com/watch?v=z0wmzoHd6yo ×
男「ねえ、ひとり?」
女「待ち合わせ」
男「オレと?」
女「そう!」
男「だよね!」
歩き出す。同方向に、しかし、少しずつ少しずつふたりの軌道がずれていく。
男「おまえが世界で一番好きだ」
女「あなたが宇宙で一番好きよ」
男、女立ち止まり、見つめ合う。求め合う。激しい情動。激しい愛。
身体表現。「愛していると確かに想った頃のうたかたの。」
使用曲 齋藤和義 「ウエディングソング」(著作権のため、音源上げられません)
「いつも」「いつも」「逢いたくて」「いつも」「いつも」「声が」「いつも」「いつも」「ラブソング」
「いつも」「いつも」「苦しくて」「いつも」「いつも」「うたかた」
女。泣く。
男。叫ぶ。
女。男を睨む。
男。泣く。
女。叫ぶ。
「時を止めることができないならば、おまえの(あなたの)時を奪ってしまえとオレは(あたしは)
突き動かされた。オレは(あたしは)おまえを(あなたを)愛しているのか、憎んでいるのか、
何だよ、それ。どうしようもない。オレは(あたしは)オレの時を進める。」
「待てよ。」「待って」
使用曲 Wedding March Part2
http://www.youtube.com/watch?v=XmIMkZ1Lyhw
殺意。
恐怖。
懇願。
男、刺す。女、倒れる。
女、立ち上がる。男、腕を差し出す。女、男を突き飛ばす。
女。「痛いよ」激しい嗚咽。
使用曲 Wedding March Part2
http://www.youtube.com/watch?v=XmIMkZ1Lyhw
女、歩き出す。至福の微笑み。
男、発狂す。
歩き出す。互いにすれ違う。ストップモーション。
暗転。
使用曲 Wedding March Part2
http://www.youtube.com/watch?v=XmIMkZ1Lyhw
客電。