2014/2/24
開かれた稽古場より無事帰宅。つい、ど頭に参加してしまったせいか、全体に上がり切らない成果だったせいか、泥のように疲れた。やはり、まだ本調子ではないようだ。稽古場に居ると元気が出る気がして、ナチュラルハイで飛んでるので、いかん。ずっと稽古していればいいのか、否か。
稽古は休まない。これ、我が家では何を言っても馬の耳に念仏を知っているので、家族は何も言わず、今日は稽古だからモードになる。さて、稽古だわと台本を整えていたら、立て続けに欠席の連絡が入る。自由参加だから、欠席連絡は要らないよ。誰がくるのかなあと想い乍ら、稽古場へ。女優4名参加。まず、「歩く」から。今回は「深い哀しみ」の感情を段階を上げて、深めて、歩く。音のDubさんも音で共鳴してくれれば嬉しいとお願い。歩き始めた途端、あたしも歩いていたという。あ、いけないと一瞬想ったが、エリアに入ってしまったので、参加。この課題は、何かを表現していく課題ではなく、心を動かし、想像していく課題なので、想像が途切れてしまえば、繋がらなくなる。課題としては、高度かもしれないが、繰り返すことで想像力を鍛え、感情が蠢くようになる。心が動いた瞬間が少しでもあったなら、それを忘れずに。そして、その時間を長くしていくこと。音の捉え方もアドバイス。ピークに向けて、少し音も反応してくれたけれど、音を巻き込むようなものはなかったのだろう。
最後は哀しみの身体表現。動かない、というところに辿り着くまでには、さらにさらに身体で心情を表現してほしい。その先に「静」の表現があるかもしれない。そう想った。終わってすぐ全員の顔を見た。これは涙、欲しい。
続いて、「ダンスバトル」アドバイスをし乍ら、ダンスバトルのシーン創りをした。DJさんの選曲がベタで、わかりやすいシーンにしてくれたら、これはこれでいけるのだけど。Dubさん、勘がいい。女優たちの「やっている」ことがはっきりしない。2曲挑み、さらに次回に向けてのアドバイス。華やかさと面白さとスピード感が必須だ。また、やろうね。
さらに「修羅になる」感情のピークを身体表現に変える挑発シーン。感情をピークまで爆発させていくことは、4人ともはっきりしてきた。オキヌのシニカルさは、今回の作品創りでも指摘したことだが、鋭い刃になれれば活きるのだが、まだまだ半端。感情の沸点に到達して、その先にシニカルが無ければ、ダメね。なおみはもっと身体で表現してほしい。麗奈は、身体と心を繋げていきたい。繰り返す、繰り返す。いつか動き出す。
感情を充分アイドリングして、作品創り。今回は動画を撮ることができなかったので、作品、使用曲公開のみ。全体的に上がり切らず、不時着な出来だった。
オキヌの身体が全然動かず。荒野に放り出されたようだった。まだ、心身が繋がっていないんだな。よくわかった。本人も感じたはず。精進。
なおみ、まりこにはアドバイスした通り、心がまず動かなければね。背伸びをせず、キャラクター作りに無理をせず、「ありのまま」になれ。
麗奈は、言葉のひとつひとつを腑に落とすことが出来ている。台本が麗奈の心情に近いのかもしれない。
全員声が弱いので、作品創りで鍛えつつもそろそろ発声課題も再開したい。
今回は観客席掛けからはじまる芝居、俳優たち、であり、それは演劇の1シーンであるという居場所がまだまだはっきりしていない。相手役との距離、同様、観客席との距離感の掴み方は肝心なのだ。
ラストシーンの握手は、放心の無意識の行動にしたい。手を差し伸べるが、観客の手は握りしめないでほしかった。
なおみが言った。「不完全燃焼です」そうだね、今回、全体に燃え上がれず。
無対象で相手が見えていないことも反因だな。この作品は、男優参加でいつかまた。
『心に模様をなぐり描く。ゆらゆらユラメク混沌の、吐息渦巻く黒の海。』
                芝居屋・劇団羊のしっぽ
作、演出、選曲 森島、音 DubMasterX 出演 オキヌ、村上麗奈、やすいなおみ、谷野マリ子
客電。定刻。
そこかしこから俳優達。極めて社交的に観客席を歩く。
「あ、どうも」「いらっしゃいませ」「お久しぶりです」「はじめまして」「握手しませんか?」
観客が答えたら、にこやかに笑顔を返す。イントロのみ。舞台に向かって歩き乍ら、
「まだ始まらないのか、もうはじまっているのか」
「ここはどこなのか?」
「ねえ、ここはどこなの?」「おい、ここはどこだ?」
ある規則性の元の整列。無表情。沈黙。
暗転
祗園精舎の鐘の声、
諸行無常の響きあり。
娑羅双樹の花の色、
盛者必衰の理をあらは(わ)す。
おごれる人も久しからず、
唯春の夜の夢のごとし。
たけき者も遂にはほろびぬ、
偏に風の前の塵に同じ。
明かり入る。
観客を見る。じっと見る。つぶやく。「僕は(あたしは)どこに向かっていくのですか?」
歩き出す。行く手に顔のない女、顔のない大男、顔のないねずみ、頭のない血だらけの男、顔のないあいつ。
後ずさり、逃避、怯え、恐怖。行き先を見失い、佇む。あるいはしゃがみ込む。
つぶやく。「僕は(あたしは)日常に戻れず、足掻く時がある。小さなバーの片隅で笑い乍ら、僕は(あたしは)ここで何をしているのだろうかと 感じる時がある。幼い頃に見た夢は僕を(あたしを)こんな場所へ誘う(いざなう)夢ではなかった。小さな僕を(あたしを)優しく見ていた父と 母を、僕は(あたしは)笑顔とウソで裏切り続けた。なんてね、ま、いっか、いいじゃん、これで。」
自嘲。
「人は皆、心に色を塗りたくる。重ねて重ねて塗りたくる。」
身体表現。「心の模様がうまく描けないならば。」
使用曲 HIROMIGO 「2億4千万の瞳」
http://www.youtube.com/watch?v=wTRfVkZ3MXE
言葉。「ねえ」「ねえ」「ねえ」「僕をみて」(あたしを)「こっちにおいで」(こっちにきて)「早く」「今すぐ」「ここに」
「僕を」(あたしを)「近づかないでそこから先は」
笑顔。
見つめ合う。手を繋ぐ。
「僕は誰かを求める。「あたしは誰かを求める」
「未来を描くために、誰でもいい」
「政治の話はしない。文学の話はしない。戦争の話はしない。映画の話をしよう。流行のドラマの話をしよう。
まったく興味のない話なら、相づちが打てるから。」
お互いに見つめ合い。微笑む。
「いこう」
女、男をじっと見る。冷たく笑う。
「どこへ?」
男、女をじっと見る。優しく笑う。
女、優しく笑う。
歩き出す。繋いだ手が激しく締め付けられていく。お互いの掌が食い込む。腕が?げるほどの衝撃と痛み。
離そうとするが、食い込む。お互いの拒絶の中で絡まっていく。
「お願い(だ。もういや(だ。ひとりにして(くれ。)
「離れようとすると締め付ける痛み。僕は(あたしは)放棄する。心に色を重ねて、君に(あなたに)身体を
重ねる。激しい痛みから逃れるためにだけ。」
身体表現。「何かをわすれるためだけの機械人間として」
使用曲  THE CLASH Koka Kola
http://www.youtube.com/watch?v=4Tp1WUj7QDo 
性愛表現としての。「心の模様」「塗り重ね」「どうでもいい」「ドロドロに」「なれやしない」「いやな色」
「赦されし、沈黙」「機械としての」「ラジオ体操」
向き合う。正対する。
ゆっくり後ずさりしていく。つぶやく。「来るな。」
睨み合う。「愛してるよ。」(愛してるわ)繰り返す。「僕は(あたしは)君を(あなたを)求めてしまう。」
衝撃。佇む。求める。
弾き飛ばされる。銃撃。
弾き飛ばされる。
立ち上がり、歩き出す。求める。
「どこへ向かっているのか。
心の模様が、暗闇に近づく。」
「真っ黒」「色が混ざっていく、黒。」
暗転。
真っ黒の心の模様に、
もう
色は重ならない。
もう、真っ黒。
客電。
俳優達、無表情に観客席を立ち去っていく。
おもむろに握手を求める。イントロのみ。
最後に相関図。相も変わらず、愛が見えないよね、、、
以上。続けること。それのみ。