2008/06/30
心が通っていく。声が響いてくる。

局の編成会議、けちょんけちょん。負けるものか。今年は公演をやめたので、少しのんびりした夏を過ごそうかと想ったが、どうやらだめそう。
あ〜あ。とため息ひとつ、幸せ逃げるから、や〜めた。明日からも撮影。バテずに頑張ろう。契約も更改かなあ。
そして、一番の楽しみ、開かれた稽古場へ。今日はやっと娘のクロッキーがないというので、見学にきた。娘の友人の絵描きちゃんも同行。参加者4名、見学3名でまずは開始。イメージを持って歩く。人数が少ない日はそれぞれから立ちのぼるものがはっきりわかる。弱い。イメージをしているように歩くのではない。イメージを広げながら歩くのだ。百万遍繰り返す。Nちゃんは久々の復活、公演を2本終えてきたためか、脳が演劇脳になっている感じ。羨ましい。身体とイメージの連動が見えてくる。N山さん、何を目指してここにきているのか、と想った時期を越えて、急に何もかもがよくなった。空間に自然に存在出来ている。今日もなんだかつらそうなイメージの炎が立ちのぼる。Hで、まだ何も見えてこないのだろう。何かをしようとしてしまう。イメージを見ること。Kたろうくん、いつも違う次元にいる。醒めている。イメージを追うことを始めなければ、何も始まらないよ。強く、はっきりと檄を飛ばす。Nちゃんにはっきりしたスピード感のある動きが出る。イメージを声、音、言葉にする。ぬるい。瞬間の切り替えがぬるい。その1秒が死に間となる。N山さん、Hで、Kたろうくん、アクティングエリアで迷うなとアドバイス。心のママの言葉、音、声。なかなか出てこない。これはNちゃんもいまひとつ。もっと出してみてほしい。Hで、言葉が出はじめると止まらない。これはいいのか、悪いのか、もう少し見てみることにする。探り中。手を打つ。各自違うイメージの中で他者と会話する。ふたつのシーンができる。切り取る。
シーンドライブ。NちゃんとKたろうくんのシーンから。閉じこめられた恐怖をNちゃんがはじめるが、Kたろうくんがかわして落ちる。しばらく見たが、手を打つ。閉じこめられた恐怖、指定する。つまり、実感だ。想像力からくる実感を掴んでいけば、どんな嘘でもホントになるんだ。何度か繰り返すが動き出さない。苛つく。N山さんがいい。加わってきて、シーンが動く。Hでがあたしには理解不能の冷静さで入ってくる。共同作業で作り出す実感が足りないのだ。再度。Nちゃんは常に動く。変わることができる。心が柔らかい。繰り返すことで、N山さんがなぞる。即座に止めて、繰り返す。そう、つねに実感していくこと。100万回そのシーンを生きようとも。Hでの冷静さを諦めと指定してみた。まだ実感まではいかないがさっきよりよくなる。Hでは反応が早い。ダメの出し甲斐があるね。
さらに、感情の訓練。満たされた想い。ハッピネス。幸福感。満足感。溢れるような温かいものがあたしの求めるもの。届かない。これはNちゃん不満。もっともっとよ。Kたろうくんは醒めているんだな。どうしたものか。Hで、笑顔が零れるが、どこか表面的。心を実感で埋めること。もっと。N山さん、溢れるものが優しくなってきた。こわばりがとれてきた。いいことだね。
他者と演劇的に会話。再度、シーンを切り取り、ドライブ。HでとKたろうくんで。Kたろうくんが受けることができない。常に別の次元にいる。共演者への信頼が足りない。相手役に身を委ねること、相手役を信じること、これが反応の第一歩だよ。リアリズム。リアリズムとは信じられることだ、早い話。どうしてもうまく動かないので組み合わせを変える。Nちゃん、Hで。お互いにいい反応。初心者のHで、プロのNちゃん。経験値の違いを感じないいいシーンだった。Nちゃんの邪悪ぶりに笑う。もっと毒蜘蛛になあれ。
感情の訓練。強い怒り。憤怒。もっと怒れ、もっと憤れ。もっともっとだ。Hでが身体中を使いよかった。しかし、言葉が邪魔。やはり口先の言葉は演劇を邪魔する。N山さん、怒りは中に向かうものかもしれない、しかし、それが外に溢れるまで。もっともっと。Nちゃんはマグマのように怒りを持つ。これはこれでいい。そのマグマが溢れ出したら、もっといい。Kたろうくん、心に入り込むことが怖いのか。行きかけては失速してしまう。夢中になれないのかな。手を打ち、他者と演劇的な会話。Nちゃん、Kたろうくん、触発しあうが空回りしている。N山さん、Hではよかった。お互いにひるんだり、押したり。このまま、エチュード連発、と想うが、休憩。煙草を吸いに、そして、防音の打ち合わせで稽古場外。Eな。風邪で欠席のメールに了解とだけ返信。あたしはこういうとき、冷たい。稽古が一番だから。来ない人は追いもしないし、了解でしかない。現れたEなを見学に加える。開始。まず、エチュード連発。
久しぶりのベッドシーンエチュード。恋人、妻、夫、自分の愛する者が自分以外の人とベッドインしている。その時の反応。ダラダラとした説明は必要ない。その瞬間がこのテーマ。
無対象で。ひとりずつ。N山さん。かなり、リアルに動き、感じることができるようになってきた。しかし、ここでどうして、こうしてがつなぎ目のようにわかってしまうので、アドバイス。動きを一連にすること。それだけで、自然に動きに緩急がつく。発見。凍る表情、驚愕。とてもよかった。手。
Hで。頭で考えている。それがはっきりわかる。止める。瞬間の変化のないまま、言葉だけが続く。饒舌とは違うので、納得がいかない。止める。やっぱり、質問ときた。ひとことふたこと、聴いて遮る。感情にはたくさんの感情があること、無限大であること。決めつけてしまわないこと、アドバイス。再度。雲泥の差のシーン。もっと細かく、繊細に。頭で考えても見えない、繊細な表現がみえてくるものだ。いいシーンになった。Kたろうくん、心の揺れがどうしても見えない。ふれているのはわかるが、弱すぎる。開放して、感じていくことしかないように想う。Nちゃん、いつもほどではなかったが、この人のこういう嫉妬のシーンには強い愛が見える。大好きだ。哀しく、温かい。
いい俳優だなと嫉妬のシーンをみるといつも想うんだ。嫉妬はいやな感情ではないのだから。裏切りへの反応もあって、ね。
発声。ブリッジによる声の強化。人数が少ないので、2巡。Nちゃん、声が強くなった。ヤッホー。本番はツヨシね。Kたろうくん、発声の経験ないのかな?変わった声だから、鍛えたらいいな。N山さんもさらに。Hでは腹筋が強いので、あとは発声の強化だと想う。鍛えよう。
腹筋強化による、腹筋発声。2巡。これも声を強くします。やってね。
シコよる空間移動と声の拡大。声を広げていく、声を増殖させていく。身体と声の連動の訓練。初試み。声の最大は大きさだけではない。予想のつかない強さと広がり、がほしい。予想内じゃ、まだまだだ。シコとの連動、表情の変化。Nちゃんはよかった。あとはバラバラ。ダメ。
感情の訓練。とてつもない悲しみ。つまり、号泣まで。Hでがよかった。Nちゃん、久しぶりで時間がかかったね。もう少し早く。N山さんも、もう少し早く。Kたろうくん、悲しみの実感しかないのよ。
エチュード。死体のある風景。2シーン。全員で。シーンの共同作業と各自の実感だ。死体が軽すぎる。わかるかな。シーンはなんとなく動いたが、の、ようなもののシーンに過ぎなかった。各自、想い出して、考えてみてほしい。そこに死体のある実感。各自でも、他者との関わりでも創ることのできる実感。それがひとつでもあれば、今日のシーンは碇を降ろしたはず。再度挑戦したい。
ウォーキング。それぞれの個性に合わせたアドバイス。スタイリッシュ、セクシャル、ダンディ、クール。あとは企業秘密。
身体表現。音を身体に取り組む訓練。なかなかやりたいことが伝わらない。今日の音はよかったが、表現していくには中途半端に難しかったかな。心象風景のようになってしまった。身体で表現することをさらに取り込んでほしい。
エチュード。愛情の伝達。N山さんに全員。連発。
Hで、よかったよ。Nちゃん、よかったよ。Kたろうくん、よかったよ。
心が動くことは素敵なことだ。N山さんのリアクション、非常にいい。余計な小芝居がなくなった。さて、このまま恒例相関図。
Kたろうくんがすぐに引いてしまって、シーンが止まる。手。
再度。諦めないこと、愛しているのだから。とてもいいシーンになった。最後がN山さんとNちゃんが手を取り合って去って、爆笑。またできた。
さてさて、心が通い始めると、俳優諸氏も楽しいと想う。さらに繊細に心を通わせていきたいものだ。
声、確実に武器にしたい。声の訓練は日々の努力でいくらでも伸びる。
いよいよ、夏到来。休みませんよ、もちろん。稽古には盆も正月も親の死に目もございません。
いざ、覚悟。
公演終わったら、時間ができたら、是非参加して下さい。
ここは自由参加の日常訓練の場である。