2008/07/06
手に入れろ、昇っていけ。どこまでも、果てしなく。

暑い日々が続く。熱い想いが集まってくる。開かれた稽古場だった。参加者9名、見学1名。簡単防音のセットをするだけでも、芝居創りを熟知した俳優たちの参加でスムーズにいく。もはや熟年の域の俳優が黙って丈長のパネルを運ぶ後ろ姿はコツコツと芝居を創ってきたものだけの年輪を感じる。稽古場という神聖な場所への入り方、靴の揃え方、稽古場の掃除。稽古場への敬意をまず覚えてほしい。久しぶりに緊張感のある稽古場だった。常に新鮮であるということ、慣れないということ、簡単なようだが、なかなか難しいことだと想う。
初参加のAみを含め、さらに空間に慣れてはほしいが。まず、イメージを持って歩く。空間に慣れること、自由に各自のイメージを持つこと。イメージを持つことが少しずつわかってきたように、空気が動き始める。空間に俳優たちが作る空気が大事だ。何度も何度も繰り返しても、この空気がなかなか動いていかなかった。息がつまってくる。昨日は各自のイメージがはっきりしていたことがこの空気の動きでわかった。なにより初参加のAみを含め、素直であること。余計な理屈はいらない。やっているふりもいらない、ただそれだけのことだが、真摯にそこを目指していけることだ。想像力の訓練は想像することしかない。こればかりは俳優各自の想像をもっともっとと広げていくことしかない。ここに留まらない想像は世界をどこまでも広げるはずだ。
イメージを声、音、言葉にしてみる。心から発する言葉だったり、音だったり。手を打つ。ぬるい。このぬるさが気持ち悪い。心からの声が言葉が音が響くように錯綜するようになりたい。俳優は言葉をたくさん持つことが必要。音を声を自在に持つことが必要。Hで、Kさわくんから飛び出る言葉が増えてきた。Yき、Nちゃんは内に向かうイメージはいいが、言葉というこの外への発露が弱い。N山さん、色が同じなのが気になる。やはりもっと自由に想像力の翼を広げることだね。Eなはやはり理屈とやろうとするやる気が想像するところへ追いついていかない。何かをやろうとしないこと。いじけることはない。謙虚に自由になることしかない。Aみ、想像力が弱い。漂うものはあるが、言葉へと繋がっていない。M本はもっともっと自由になってほしい。物足りない。
Sちゃんは久々の参加で、また振り出しに戻っている。何かをしようとしなくていいんだ。自由に想像してほしい。イメージの中で他者と演劇的に会話。
演劇的、つまり劇的とは何か?演劇言語が増えてほしい。劇的なるものへの探求心が増えてほしい。この訓練は共有すること、空気を変えていくことの瞬発力でもある。瞬発力が弱い。Yきは想像の世界に入ることは早いが、なかなか出てこなくなる。外への切り替えができない。得手不得手。これを切り替えていけるようになりたい。シーンを切り取る。シーンをドライブさせてみたが、不発。特に特記せず。さらにもっと演劇的であることに執着していく。そろそろ焦りたい、あたし自身が。感情の訓練。怒りから。課題の声を飛ばすことで煽っている。煽ることで確かにそれぞれの感情は強くなる。強く、はっきりした感情をできるだけ早く持つことを手に入れてほしい。憤怒。対象をはっきりもつ。そして、その対象を身近なところからイメージできる範囲を広げたところへ持てるようになってほしい。あたしの目指す先。Nちゃん、M本、Kさわくんがよかった。Hでは瞬発力はあるが、持続しない。Aみは弱い。たとえばその100倍に感情を膨らませる挑戦がしたいね。Eな、Sちゃん、形から抜けること。N山さん今日は弱い。どうした?常にあるラインを保たなければね。まだまだ稽古が足りない。Yき、久しぶりで彼独特の狂気じみた沸点が下がっている。上げていけ。手を打つ。他者との会話。怒りをぶつけていく。これは4つのシーンがそれぞれによかったので、切り取る。N山さん、Kさわくんコンビ、N山さん、ぶつかれ、もっと。Kさわくん、次第に上がっていく。もっと突っ込んでいけ。Hで、Nちゃん、M本。誰もが引かない、お互いに煽り合う。とてもよかった。さらにHでにアドバイスして再度。さらにあがる。さらにさらにと期待させるシーンになった。Yき、Aみコンビ。Yきの怒りがよかった。Aみも乗る、よかった。Yきの狂気が落ちる。惜しい。Eな、Sチャンコンビ。みたいなもの、のようなものは腹立たしい。芝居をなめてかかるな。檄を飛ばし、再度。ぬるい。難しいと想ったら、己に負けていく。うぬぼれず、向かっていかなければ先へ進めないよ。さらに感情の訓練。幸福感、満たされた想い。全体的に枯渇している。満たされること。日常から考えてほしい。感謝するこころ、思い遣る心、優しさ。プラスの感情を置き忘れていないか。少しずつ満たされてはいくが、お花畑がみえるような、もっとの明るさや温かさがほしいんだよ。手を打つ。声、言葉にする。想いが足りない。さらに。少しずつ表情に変化。N山さんがよかった。手を打つ。この感情を声にしてみる。表現していくことなのだ。M本はよかった。はじめてのいい声が出た。こういう瞬間が欲しい。各自の得意な抽出だけから何かを取り出すのでは限界があると想う。知らない感情の抽出を貪欲に開けていきたいんだ。
深い悲しみ。深い深い悲しみ。涙がほしい。叫びでもいい。呻きでもいい。本当の表現がほしい。Aみの心がやっと開く。Sちゃん、がんばってつきつめてみてほしい。かならず開くときがくる。悲しみへのイマジネーションはきつい。それはあたし自身もわかる。けれど、やらなければならないのだ。
エチュード強化。まず泥酔。1本目。それ風、みたいなものだけのシーンになる、酔うということ、それを追求してくれ。Nちゃん以外、ぜんぜんだめ。アドバイス、もう1本。酔う、他者と絡む。酔うことによって、感情を開放する試み。Aみ、よくなった。しかし、数度見たAみの酔いはもっとハイだ。あれが舞台上で再現し、さらに拡大できたらと想うのだ。Nちゃんからもっと溢れる言葉がほしかった。うむ、欲深い。笑。身体の酔い、再現したい。Eな、酒場をもっと芝居に活かせ。これからはあなたは俳優を目指すのだから。感情の記憶、身体の記憶。日常生活から変えていくんだ。Kさわくん、欲が足りない。欲を出せ。もっともっと。Hで、やろうとする気概は感じる。丁寧にだ。物足りない。雑すぎる。やる気だけでは表現になっていかないよ。
エチュード。老い。身体の老い、老人というキャラクター作り、声の追求。あたしの求めるものだ。1本目。それぞれの中になる老人のイメージがそのまま出た感じ。しばらくドライブしてみる。シーンとしては成立。あきらかにリアリズムが足りない。再度。もう1本。これは本日はじめて。どんぐりの背比べ。老いる身体、声。追いかけてみてほしい。N山さんが自由を手に入れ始め、発想が自由になってきた。いいことだ。
エチュード。裏切りの瞬間。各自。シーン作りのアドバイス。感情を作る訓練をシーンに活かすためには観客にわかることも必須。シーンが見えること。
Kさわくん、感情は見える。しかし、内容がまったくわからない。それでは不足。Hで、そんなもんか?そう想った。Yき、表現としてデフォルメはありだと想うよ、へた過ぎるよ。再度、こじんまり納まる。それじゃあ、つまらん。
Eな、はじめて出来たと想う。しかし、何につけへた以前、テクニックがない。数こなしていくことでしか手に入らないね。Sちゃん、イメージが足りないのだと想う。続けること、投げ出さないこと、かならず出来るはず。稽古は必要。稽古をしなければ、何者にもなれないんだよ。N山さん、う〜ん、今日は集中力が足りていない。おいっ。Aみ、いやらしさ、もっと極めてみせてほしい。見え方のアドバイス。心。俳優は邪悪にもなれる。Nちゃん、もっと毒を!M本、瞬間がもっとはっきり見えたい。ハイレベルだが、そのあたりでおさまってほしくない。
発声訓練。ブリッジによる発声。特筆すべきはNちゃんの声がさらに強くなってきたこと。声には限りがない。芝居の本番に結びついたら最強ですね。
Aみ、声が弱い。鍛えるべし。Kさわくん、確実に声を手に入れている。これは期待する。N山さん、声の出し惜しみ?こらっ。Eな、体調を崩し、声はもちろんダメ。はい、再スタートね。M本、Yきはまだまだ。ブリッジももっと確実に。Hで、身体能力の高さと発声を繋げたい。個別に教えよう。
腹筋強化のよる声の受け渡し。Aみ、Yき、N山さん、M本、Sちゃん物足りない。腹筋強化による腹筋発声。声の強さと切れ。さらに強化したい。
外郎売り。シコを踏んで。身体に負荷をかければ、頭は酸欠状態になる。ハードな中での台詞のために。シコの修正。各自。Kさわくん、シコを日常訓練で直してきたんだ。素晴らしい。外郎売り、受け渡し。覚えることは当然。覚えてきてよ。そこからはリズム、お互いの共同作業だ。Eな、あと一歩。あなたの必死さは当たり前のこと、その主張が全体のリズムを壊しているのよ。
全員覚えて、先に進みたいので、いいかげん、覚えてよね。
エチュード、愛情表現。全員で。男優陣の男優同士の愛情。これは面白かった。ありだね。ベントだ。女優陣もなぜか女優同士の愛情表現。へんなの。こちらはみたいなもの。
面白かったので、切り取ってみる。男優同士の愛情表現。Mもと、Nちゃんではじめてみる。よかったんだ。M本の中に意外なものを見つける。ドライブさせる予定だったが、さらに切り取る。同じふたりで、別離。Mもと、非常によかった。受けるNちゃんも反応していくことでとてもよかった。
恒例相関図。今日は感情、エチュードを強化してきたので、それぞれの心が動きやすいはず。Yき、Eなの愛情表現からスタート。それぞれに愛情と嫉妬と執着を諦めが綾となる。クリーンヒット。今日もいいシーンができた。
温かく、暴力的で、ずるく、哀しく、切なく、愛しい、そんなシーンを共同作業で作りたい。特筆すべき、Eながやっと素直になり、劇中にいることができたこと。スタートラインに立てたのではないか?あのね、N山さんのへのつっぱりが消えてきて、かわいい。M本の諦め、もっときついものがあったら最高。
さらに面白いシーンが産みたい。綺麗事ではなく、面白いシーン。劇的なるものを探していきたい。
そして、日常を抜けていきたい。
稽古は続けること、それはおわりのないことだと知った俳優だけが羽ばたいていくのだ。
続けること、だ。
立ち止まらないことだ。
演劇をやっている人たち、全員よ。日常訓練に終わりはないですよね。
夏休みはありません。