2014/7/07
いつになく涼しいなあと思う七夕。来週には梅雨も明けて「夏」が来るのかしら。と考え乍ら、稽古場へ。まずは発声レッスンから。マンツーマンレッスンができているので、筋力を鍛え乍ら、声に繋げるという職人的作業を細かく教えている最近。結局は身体が理解していくまで、繰り返していくしかないし、筋力を鍛えるしかないし、お腹の息、胸の息を繋げて声にするしかない。それでも、少しずつ声が出来て来たかな。見学をしている(必要な時は音出しのために)Dubちゃんからレッスン内容の客観的感想を聞いた。なるほど、と思うことがあるので、その点を次回までに改良してみたい。
さて、一服してから開かれた稽古場へ。今回は女優3名の参加。あてにしていた松本くんが不参加だったので、めずらしく書いた男女の会話はあたしが演ることになっちゃったわ。笑。
今回は構成を考えていった「歩く」の課題。千景の到着をまたずに始めたのでどうかしら?と思ったが、ちょうどよいタイミングで千景が参加できた。「深い哀しみ」の心を抱えた女たち。という構成にしてみた。今回は感情の共有や反発がより感じやすかったはず。なおみがやっと開いて涙を流すところに辿り着き、嬉しかった。麗奈も途切れず心が動き、見応えあり。途中からの千景もスイッチがすぐに入り、開放された。2場は心を共有しあった女たちの共有の身体表現。もう少し蠢く一丸まで上がりたかったかな。子供っぽいあどけなさを大事にしてきたなおみに深みが出て来て、今度は深い女になれと言うあたし。そんなもんよ。笑。麗奈の心はもっと開くと思うんだ。千景は成形の兆しが見えて、アンバランスが好きだったので、ちょっとアドバイスする。
続いて、ダンスバトル。女優三人の華やかな競演といきたかったが、なかなかね〜。千景ちゃんにへんなふんばり癖がついていてビックリ。千景ちゃんは美しいままでいいと修正。美ラインを目指しましょう。笑。高身長は活かすべきだ。なおみはもっと弾けてほしい。麗奈はもっと楽しんでほしい。それぞれに見せ場を創り、前へ前への刷り込みをする。結局は自信を持ってほしいのよね。
Dubさんの選曲がラスト目指しでまとめに入るのは要らないかも?笑。エンドレス感があたしは欲しい。またラストの曲が課題をくれる曲だったので、これはこれでアドバイス叶ってありがたかったけれど。
後半はじっくりと作品創り。愛と支配を問うてみた。自由を求め乍ら、何者かに愛に支配されていく。支配された愛は不幸せなのではないかと、空を飛びタイを願う。そんな作品。それぞれに何を感じたのか。男をあたしが声で参加してので、こうしてほしい方向に少し牽引できた。混沌としていく空間が好きだ。
作品と使用曲を公開する。
最後に相関図。シーンとしてはいつになくうまく進んだ。欲を言えば紆余曲折、機微が見えたい。相手があるということをともすれば忘れてしまう。それから、愛ね、愛。
以上。
★ 今回は女優各位の魅力全開のこのシーンを。身体表現+台詞あり。

『むかしむかしあるところで拾った万華鏡。キラキラ光るは金平糖。綺麗は汚い、汚いはキレイ。』
作・演出・選曲 森島、音 DubMasterX、出演 藤川千景、村上麗奈、やすいなおみ 撮影 花

客電消える。
人々つぶやく。「 空を飛ぼうなんて 悲しい話をいつまで考えているのか。あの人が突然 戻ったらなんて
いつまで考えているのか。暗い土の上に 叩きつけられてもこりもせずに空を見ている。
凍るような声で 別れを言われても、こりもせずに信じてる 信じてる。
ああ人は昔々鳥だったのかもしれないね。こんなにもこんなにも空が恋しい」
明かりIN 人々は両手を真横に広げて佇んでいる。「番号、と黒い男が言う。あたしは(オレは)返事をしない。黒い男は、もう一度言う。
番号。あたし(オレ)には番号はない。あたしはあたし。(オレはオレ)あ、まただ」
四方八方から鳩が叩き付けられる。
空には幾千もの鳩が旋回する。
人々は慣れた風景を眺めるように叩き付けられた鳩を眺める。「痛いなあ。身体中に電流が走る。あたしはあなたを愛していたの。
(オレは君を愛していたよ)痛い、とても痛い。黒い男がまた叫ぶ。番号。あたしの番号、鳩一羽、二羽、三羽。不幸せのシンフォニー。
飛べる筈のない空 みんなわかっていて今日も走ってゆく 走ってく戻る筈のない人 私わかっていて
今日も待っている 待っている
この空を飛べたら冷たいあの人もやさしくなるような気がしてこの空を飛べたら消えた何もかもが
帰ってくるようで 走るよ
ああ 人は 昔々 鳥だったのかもしれないねこんなにも こんなにも 空が恋しい」
突然、大音量の結婚行進曲が鳴り響く。
http://www.youtube.com/watch?v=z0wmzoHd6yo
男「オレと結婚して、オレと一緒に歩いてくれ。暗黒のこの先の、遥かこの先に続く針のむしろ。オレは君を絶対に絶対に、かならず
とても不幸にしてあげるよ。」
女「本当に?本当に?あたしをとことんとことん不幸せにしてくれる?」
男「もちろんだよ。さあ、おいで。」
男、女を羽交い締めにする。女、苦痛に身悶える。
男「気持ちいい?」
女「ええ、とても。ええ、とても不幸せ。最低。」
男「よかった。オレは君をもっともっともっと不幸せにしてあげるよ。」
女、両手を横に伸ばす。女の顔は不幸せに歪んでいく。静止。
男「僕はとても彼女を愛していた。片時も彼女を離したくないほど、愛していた。僕は彼女の指を噛んだ。
赤い血が噴き出した。僕はその血を浴びた。ああ、僕は彼女を征服していく。彼女は僕をみた。僕は
君を愛しているよ。彼女は僕を愛していたのかどうか。」静止。
女「あたしは彼と結婚した。真っ白なウエディングドレスがあたしの身体を締め付けた。キリキリと白い糸が
あたしの身体に巻き付いた。あたしは彼をみた。ああ、黒い男。彼は言った。番号。」
男「1395682」
女「2059381」
身体表現「愛故の鳩が飛ぶ。幸せ探せば不幸せの鳩が死ぬ」
使用曲 Lana Del Rey - Born To Die
http://www.youtube.com/watch?v=Bag1gUxuU0g
男「僕は君を愛していたよ。」女「わかんない」男「僕は君を不幸せにしようと思ったんだ」
女「わかんない」男「君は僕に抱かれた」女「忘れたわ」男「僕は君の指を噛みちぎった」
女「そうだっけ?」
人々は両手を横に広げて佇む。
つとお互いをみる。
嫌悪の感覚。目を反らす。
女「空が飛びたい」
男、バカにしたように笑う。
女、ヒステリックに叫ぶ。
男「ほら、見てごらん。鳩。幾千もの鳩が飛んでいるよ。幸せの鳩だよ。」
女、うつろな目で鳩を見る。
男、あざけり笑う。
女、ヒステリックに叫ぶ。
お互いを見る。憎悪の感覚。
身体描写。「憎悪と愛と無感覚と」
使用曲 「この空を飛べたら」加藤登紀子(詩 中島みゆき)
http://www.youtube.com/watch?v=GmaiWgtaDYI
男、女狂乱乱舞。
「黒い男、万華鏡、叩き付けられる鳩の群れ、君と、あたしと、黒い男、黒い未来、黒い不幸せ、
やめてくれ。助けて。助けて。」
「黒い男が叫ぶ、番号。オレは答えない。あたしは答えない。
答えたくない。」
暗転。
明かりIN
両手を横に広げて佇む男、そして女。
男「幸せにしてあげるよ」
女、答えない。
暗転。
客電。