2014/7/14
最高の一日だつた。父と母はあたしに「朋美」という名前を付けてくれた。パパは月の2倍美しくと言い、ママは「朋輩」の「朋」と小さな頃から言っていた。お陰様で友達に恵まれている。若い仲間も先輩方も同輩方もあたしを支えてくれている。今は亡き人たちも皆、あたしを支えてくれているのだろう。
見えない力を信じている。
そして、稽古日。開かれた稽古場へいく。まずはマンツーマンで発声レッスン。いつか身体が理解して、声を手に入れることだろう。挫けずに続けてほしい。来週あたりからは筋力強化もメニューに組み込み、声を鍛えていく予定。
5分ほどこぼれて始めたので、開かれた稽古場前10分。昨日まで公演中だった参加者が全員登場。このやる気、お帰りなさいの母心で嬉しかった。
参加7名、見学1名でスタート。今回はあたしの気力が充ちていて、飛ばしっぱなしだった。まずは「歩く」心を動かし、共有し、感応し、歩く課題。今回は構成を考えて、シーンを変えて作ってみた。心が動いている人は舞台の残し、心が動かなくなったら外してみた。新たにインサートしてくると不思議と心が動き始める。積み重なって心身に変化が見えてくるのだ。効果的な稽古になった。串間くん、松本がいい。悠平もよく動いていた。途中から加わったなおみが一気に心を動かすことができて、見直した。
次は修羅になる。こちらも流れを構成して、繋げてみた。ピークの感情へのつきぬけ方、女優陣が日常的過ぎる。ピークを無理に創っていてもつまらない。
桶の心が動き出さず、うーん。身体表現は、心から発するものでありたいの。
歩くからフル回転で動き続けたので、休憩はさみ、ダンスバトル。音はDubさん。今回は人数が多いので、紛れてしまわないよう、それぞれを引立てたかった。ストップを入れ、ソロ、ペア、トリプルのシーンを創り繋ぐ。声を飛ばしても聞こえていないのか、反応が何カウントも遅れるのは勘弁してね。音も聴くこと。それでも皆かっこよくなりつつある。かっこいいことはかっこいいことなんだ。
さらに大破滅。声を飛ばしてやってみた。それぞれにアドバイス。悠平はもっともっと筋力活かそうね。ボーダーラインじゃ、抜きん出ないよ。
後半は作品創り。何十年も先を予感してみる。細かい話とお願いは伝えたので、作品、使用曲公開する。
★今回は趣向を変えてオープニングシーン。別にダンスバトルを上げる。どうぞ。
『キラキラしたあの夏に時間旅行をしてみることさえ白日夢』
作・演出・選曲 森島、音 DubMasterX。出演 松本渉、桶谷健司、村上麗奈、やすいなおみ、谷野まりこ、藤田悠平、串間保 撮影 花
客電消える。
明かり晴れやかに。幼稚園の子供達。黄色い帽子を被っている。
天真爛漫に唄う。
「まいごのまいごの子猫ちゃん、あなたのおうちはどこですか
おうちを訊いてもわからない、名前を訊いてもわからない、にゃんにゃんにゃにゃン、にゃんにゃん
にゃにゃん、泣いてばかりいる子猫ちゃん。犬のおまわりさん、困ってしまってワンワンわんわんワンワンわわん」
怯えた目。
「おとうさんどうしたの?」
「おとうさんどこへ行くの?」
「おまわりさん?」
暗転。晴れやかな明かり。母と手をつなぎ歩く子供達。海。
「みて、みて、おかあさん。綺麗だよ。きらきらしてる。」
「え?おかあさん。泣いてるの?」
「どこか痛いの?と僕は母を覗き込んだ。こうやって、、、母の顔が涙で溶けていた。おかあさん、おかあさん
どうしたの?お顔、怪我してるよ。」
手を繋いだ母の手が溶けていく。「おかあさん、どこへいくの。僕の手を離さないで。」
「どうしたの?おかあさん。」
暗転。
街を歩く少年、少女。出逢う。
敬礼する。「こんにちは」
歩く。出逢う。敬礼する。声を潜めてささやく。「小説が手に入ったんだ。(の)」
「ほんと?読みたい。」敬礼する。
「行こう」
行進して歩く男、離れて行進し追う女。
扉を開き、階下に降りていく。
男「ここなら大丈夫だよ。」女 敬礼する。男 敬礼する。
静寂。
身体表現。「欲望のままに君を抱きたい」使用曲 キャロル 「雨のハイウェイ」
http://www.youtube.com/watch?v=VO4xd97ARio
「おいで」「抱きしめて」「敬礼」「やめて」「好きだよ」「好きよ」
「好きって何だっけ」「どうしたの?」「敬礼」「どうしたの?」
「欲しい」「欲しい」「欲しい」「敬礼」
音いきなり切れる。
男「だめだ」
女「だめね」
見つめ合う。敬礼する。笑う。次第に泣く。
激しいノックの音。隠れる。
ノックの音、遠ざかる。「見つかった」怯える。
身体をすり抜け、銃が撃ち込まれる。悲鳴。「敬礼」悲鳴を上げ乍ら
敬礼を繰り返す。「おとうさん、どこに行くの?」
女「小説を読ませて」
男、抽き出しから本を取り出す。
女「読んで」
男「私は、、、、、、、、、、、である。その時、、、、、、、、、、、、、、した。
空は、、、、、、、、、、、、だろうか。そこには、、、、、、、、、、、、だ。」
女笑う。男笑う。「面白い」笑う。顔を見合わせて、笑う。
本を叩き付ける。
暗転。
ぼんやりと明かり。うしろむきの男、手を激しく動かして自慰行為をしている。
女、敬礼をしてみている。
「兵隊さんがほしいなら、せめて快楽を自由にしろ。せめて子孫繁栄させてくれ」
「兵隊さんがほしいなら、せめてひととき自由にして。せめて妊娠させてちょうだい」
男「だめだ」
女「苦しい」
男「オレだって苦しいんだ。追い込んでいるのは、おまえだ。」
女「え?もう一度言って」
男「追い込んでいるのは、国家だ。腐り切ったこの国だ」
女「黙って」
激しいノック。怯える。悲鳴。「おとうさん、どこへ行くの?おとうさんをどこへ連れていくの?」
暗転。
明かりゆっくり。
身体表現。「おかあさんのお骨はたったのひとかけらだった」
使用曲 ショパン「葬送」
http://www.youtube.com/watch?v=C5oRITmyNVo
「おかあさんはどろどろに溶けて死んだ。あの夏の海で母の顔はのっぺらぼうになり、
白いベットで毎日毎日溶けていった。ドクターは母のそばにきて、一瞥して
毎日出ていった。先生、薬とかなんとかないの?と僕は先生にしがみついた。
先生は「触るな」と僕を床に叩き付けた。僕は泣いた。そして、泣くのを我慢した。
僕の、顔、溶けていませんか?」
「お骨を拾った。母のお骨はひとかけらだった」
暗転。
薄暗い明かり。
老人、老婆。ゆっくりと歩いている。
つと立ち止まる。
「どれだけ人が死んだら平和な日がくるの?どれだけ花がとんだら戦いがすむの?」
「え?ここ?とっくのとうに」
「黄泉の国」
「生きていた頃よりずっとずっと幸せ」
「享年 34才」
「享年 27才」
「熱かった」
暗転。
客電。
以上。勢いのある仲間たち。いい稽古場。これからも怠けず参ります。
いつでもどうぞ。