2014/7/21
海の日、祝日だそうな。あたしは変わらぬ月曜日。昨夜の打ち上げの切り上げを電車にしたところで呑みを節制したけれど、謙三の店へ流れたと梅田から報告メールがきて、あ、いけばよかったな、と悔やむ。
それでも稽古へ集中。台本を携えて稽古場へ。発声レッスン。マンツーマンレッスンなので、筋肉の訓練を実行してみた。少しずつ筋力をつけて、声を鍛えていきたい。油断すると喉声になるので、矯正。最後にやっと納得の声が出た。この手の訓練はやれば身になるレッスンなので、続けていれば成果あり。
少し休んだら、開かれた稽古場開始時間。今回は参加3名。ちょうどやりたかった「歩く」の感情混成が感じ乍らできる人数だったので、やることにした。
怒り、哀しみ、喜びの3つの感情を動かして歩くこと、串間くんのみ「Enemy」にして開始した。気付いたらあたしも加わっていて、今回は空間がよく動いていた。最後抜けて客観する。音を聴くことと歩くという行動だけは守ってほしいと想った。串間くんの感情に微妙で繊細な動きが見えるようになってきた。収穫。
次は修羅になる。感情のピークを身体表現に変える課題。3名の参加者で1対1を2本、1対2を1本。感情の爆発をしっかり掴んでからの身体表現にしたい。そうしないと身体表現が心とは別のものに見えてしまう。感情のピークは「怒り」だけではないはず。何度か挑んできたが、3本目の串間くんが違う感情のピークに辿り着くことができた。たとえば麗奈の3本目は「怒り」だけではなく「哀しさ」や「悔やみ」「情けなさ」にも化学反応できたはず。なおみは感情がもう一段はっきりしてほしい。大袈裟にではない。動いている感情が弱い。
続いてダンスバトル。Dubちゃんが大きな機材ケースを抱えてきた。最近お願いしているDJ的な曲繋ぎのためのものだった。ソロから人数を増減させてみた。観客席への意識を求めてみた。選曲が世代の違う役者たちにどうだったのか。創られ過ぎたショーのようにもなりたくない。そこには熱量が欲しいのだ。
DJさんへのセッションも求めてみたが、あんまりうまくいかなかったな。これこそ一体になった熱量が欲しかった。次の曲でDubちゃんがフロアに戻す選曲をしたのも1曲早かった気がする。ある程度粘らないと観客席まで届かないとあたしは想っている。
休憩をして、作品創り。愛をテーマに書いてみた。今回は小人数だったので、演出をして進めて、今後の探り点、修正点、向かう方向、観客席に落としていきたい方向をしっかり伝えた。終演後にもさらに話す。このような積み重ねる稽古と即興のひらめきを両立させながら稽古を続けていきたいと考える最近である。食事の席でのなおみの発言も串間くんの発言もとても有効だったと想った。細かいことはそれぞれに伝えたので、割愛。
作品と使用曲を公開する。
★動画はオープニング。人形たち部分。
『聴こえますか?愛の歌。たまにはこうしてとろけてみたい。好きさ、好きよ、アイラブユー。』
作・演出・選曲 森島、音 DubMasterX、出演 串間保、村上麗奈、やすいなおみ、撮影 花
客電消える。
明かりが入ると何もない空間に佇む人形たち。
※「ふたりでクリームソーダを飲む」
「二本のストローを両側からさして、クリームソーダを飲む」
「メリーゴーランドで追いかけっこする」
「君の馬が僕を追いかけてくる。」
「心地よい距離」
「君と手を繋ぐ」
「あなたの手があたたかい」
「あなたしかみえない」
「君だけがいてくれたらそれでいい」
「海岸線を走る」
「息を切らして君がついてくる」
「あなたがあたしの手を掴む。」
※「しあわせで泣けてきた」
★※部分リフレイン。男、女としての言葉として。
男、女。踊り出す。http://www.youtube.com/watch?v=cF_Bq0rdkyE (使用曲 BlackCats)
「ねえ、結婚しようよ」
「何?」
「僕のお嫁さんになってよ」
「何?」
「僕と結婚してくれよ」
「え?いいよ」
「やったー。」「うれしー」
男佇む。晴れやかな幸福に充ちた顔が曇る。
女歩き出す。幸福そうに歩いているが、立ち止まり、顔を曇らせる。
男「あの日、電話が鳴った。僕は一瞬身体が硬直するのを感じた。予感というこ とがあるとすれば、まさに それ。僕は何もしらなかったが、僕はすべて知っていたのだ。血の記憶、へその 緒の記憶、 奇妙な予感に僕は寒気がした。僕は電話に出た。もしもし」
女「あの日、電話が鳴ったの。あたしはシャワーを浴びようとしていて、めんど くさいなと想った。めんどくさい、めんどくさい。 後で掛け直せばいいわ、とシャワーを浴びて髪の毛を洗った。このシャンプーの かおり、 へんなにおい。シャンプーの浮気はいつも外れると想った。」 男走り出す。「僕は真空になってキンキンとした不快な音を脳内で聴きながら、 走った。酒に酔わずに家に帰るのは 何年ぶりだろう。乗りたかった特急電車に残り三段の階段を油断して乗れなかった。 あれ?僕の妻、僕のかみさん、僕の女房、僕のワイフ、どんな顔?どんな髪型? どんな人だっけ?」
女、ランジェリーをつけ、髪をタオルで拭く。今日は洗濯をして、買い物に出掛 けようと想い乍ら、 小さな葉っぱの散った模様のワンピースを着る。
「あたしは何の予感もしていなかった衝撃を受けた。」
男、女走り出す。ドアを開けて、佇む。
「警察、オビタダしい血が飛んだ玄関の白いドア、ヒトガタに見えた僕の妻。横 たわった妻。 凶器はナイフ、メッタ刺し。」
「低い悲鳴、のたうつ夫。あたしの夫。オビタダしい血液がどくどくと音を立て て夫の身体 を溶かすように見えた。凶器はピストル。狙い撃ち。」
「そう、あの日、僕の(あたしの)妻は(夫は)死んだ。殺された。僕を(あた しを)裏切った末に 殺された」
男、女。 「そう、裏切ったから、殺された。」
「いつまでも煮え切らない関係にうんざりが重なって、僕らを(あたしたちを) 邪魔するモノを消滅させた」
身体表現。「消えてくれ、僕の目の前から消えてくれ。僕は君を閉じ込めたいから」
使用曲 海物語演出音http://www.youtube.com/watch?v=oO66Tea3u0I
言葉。「君が好きだ」「貴方が好きよ」「もっと早く」 「もっとずっと」「一緒にいたい」 「君を僕のモノにしたい」「貴方をあたしのモノにしたい」 「好きよ」「好きだ」「アイラブユー」 男、ピストルを構える。 女、ナイフを向ける。
殺す。
暗転。
明かり。我に返り、お互いをみる。
「くるくるまわるよ、メリーゴーランド」
「乗ろうか」
「海岸線」
「走ろうか」 ニッコリと笑う。
「愛しているわ」「愛してるよ」
狂う。
両手を前に出す。 手錠。
「はい、僕が(あたしが)」
暗転。
聴こえますか?愛の歌。 聴こえますか?愛の歌。
明かり
。男、泣き崩れる。
女、泣き崩れる。
暗転
客電。
以上。それぞれにできることを増やし、表現の幅を広げてほしい。