2008/07/14
開かれた稽古場 実験劇場Vo1

今日の稽古のために一本の公演形式を考えた。それは、あたしの中にだけ進行台本のある1時間45分ほどの実験劇場である。
今日の稽古はそれを実現した。観客はいないけれど、観客を想定して構成した。
実験劇場 タイトル『感覚のナイフ』
今日の参加者は再度この進行台本をみて、各自の感覚を覚醒させよ。
*暗転 人の気配 歩き出す。誰でもない人。ゆっくりと明かりIN
*唐突に「外郎売り」それぞれのペース。しかし、確実な声、確実な言葉。
 俳優は個となり、四方八方に動き出し、話し始めてほしい。
*やがて、身体全体の表現に変化する。外郎売り。次第に声は高らかに。
*暗転
*明かりが入ると舞台奥、一列に並ぶ俳優。
*外郎売り 輪唱のごとく。拙者から〜円斉となのりまする。まで。
 低い姿勢での移動は必須。円斉となのりまするまでで、ストップ。静止。
 全員静止。暗転。
*明かりは入ると俳優は動き始める。各自のイメージで。
*イメージによる言葉を話し始める。他者との接触。言葉の接触。
*他者と演劇的会話。
*再び、イメージの世界を歩く。出逢う。演劇的会話。
*歩く俳優達。やがて、それぞれはある人物になる。
*人物は感情を持ち始める。満たされた想い、満たされた想いが満ち始める。
*暗転。満たされた想いはこの暗闇でさらに・・・
*ゆっくりと明るくなると俳優1,2の会話がはじまる。
*他の俳優らも加わっていく。暗転。
*明転。人物は憤怒。やりきれない怒りを抱えてうごめいている。
*他の人物と出逢う。演劇的会話。
*さらにつよくなる怒り。
*他の人物と出逢う。演劇的会話。
*暗転。憤怒の声。暗闇に響く。
*明転、悲しみ、やり場のない悲しみ。それは人物たちを絶望にたたき落とす。全員涙を流している。暗転。
*しだいに明るくなる。笑い声とともに。人物たちは笑いながら、向かってくる。爆笑。笑いの渦。
*いきなり踵を返すと「誰でもない人」のうしろ姿。無色の歩きを見せたい。
*ふりかえる。間。
*号泣。しばし、続く。ゆっくり溶暗。
*明かりが入ると舞台のそこここに俳優が佇んでいる。やがて、それぞれを意識しはじめる。俳優のひとりが苦しみはじめる。
また別の俳優が苦しみはじめる。 また別の俳優が苦しみ始める。阿鼻叫喚。カットアウト。
*カットイン。舞台のそこそこに深く沈んだ空気を漂わせた俳優たち。死へ向かうイメージ。死の決意、死の誘惑。
*しかし、死の恐怖。
*そして、死。最後のふたりの死を待たずに暗転。
*明転。ゆっくりと明かりが入ると規則正しく並んだ蜘蛛。ブリッジをした俳優たち。鍛え上げられた声。連綿と続く声。
蜘蛛の蠢き。声の連鎖。蠢く蜘蛛。暗転。
*明かりIN.ちらばる人物たち。いきなりラブシーンが始まる。ひとつのシーンになる。カットアウト。
*イン。打楽器。ドラム、太鼓の連打のような音。
*スタイリッシュに歩く俳優、あるいは人物。
ゆっくり消えていく。
*カットイン。抱き合う男女。熱い。炎が立ちのぼってほしい。
しばし。
*俳優それぞれがシーンに入ってくる。全員。すさまじい感情の渦。愛、嫉妬、暴力、抱擁、憎しみ、涙・・・渦巻く感情。
静かに明かりが消え始める。
*包丁を研ぐ砥石の音、1台、2台、3台、・・・・やがて膨張した音になる。重なるように
吐息から俳優たちの声はやがてつんざく爆声に壊れていく。
包丁を研ぐ音残り。
*暗転。
出演
武田光太郎、近藤善揮 松本渉 斎藤麻里子 ひで 梅津エリナ 黒沢りょうた
見学2名
★参加者各位、今日の稽古を種明かしすれば、こういう台本のもとに進めました。全体的な流れと繋がりを考えた稽古です。