2014/10/13
台風注意を呼びかけるテレビ。かっぱを着てバイクに乗って悠平が参加。今回もマンツーマン、濃い1000本ノック稽古。細かい稽古ができるので、役者さんにとってはお得な稽古だね。さすがにごはんもマンツーマンで食べていたら「来週は誰かきますかねえ」と苦笑いしていた。
今回は台風よりも稽古、公演中のみなの衆なので、マンツーマンで稽古を考えて向かった。
まずは「歩く」連続的に続けてきたので、前回からのさらにスキルアップを目指し、さらに想像力という訓練とした。「臨死」生死の境目の世界を歩き、心を動かしてみる。音は台詞(初恋地獄編)にした。
あたしも歩きのみ参加する。後半は臨死の身体表現。これがとてもよかったので、動画を公開する。
体験しなければ実感できないのか、否、想像力によって体験し、実感すること。それが役者には必要なことだ。
今回の新作にどうしても必要な想像力でもあったので。
続いて、「アピールする」観客席にアピールするダンス。ついでにダンスのポイントレッスンもしちゃったわ。やってみたらダンススキルのある悠平のダンスが俄然がっこよくなった。これが身体に身に付けばよくなりそうな予感だ。
次ははじめての課題。次々と並べられた「感情の箱」を開けていく課題。「感情の箱」心を動かすことはできたが、想像する、箱に入れるものが日常的すぎてつまらないと話す。箱の中にさまざまな想像の産物が入っていきますように。
後半は作品創り。生死を彷徨う男のお話。細かく返しながら創る。詩的な言葉はいや、様式と実感をひとつずつ繋げていく。悠平にヒステリックになって。と指示してみる。もっともっとだけれど、綺麗ごとの物語から遠ざかったのは収穫。
今回は間引く身体表現に拘ったのだが、なかなかの仕上がりだった。
最後は生きる。生還するという幕切れ。暗闇の中の最後の言葉を修正して、おしまい。
大けがと闘っている方への祈りを込めて。
作品と使用曲公開する。音源は動画のみ。
★ 動画は身体表現「宇宙の胎児の見る夢は僕の記憶の暗号」部分。
『バン!バン!バン!身体宇宙に壊れて堕ちたシャボン玉から』
作・演出・選曲・音操作 森島、出演 藤田悠平 
客電消える。
暗闇にわずかな光がさしていく。
胎児。聴き取れない声で唄っている。
シャボン玉飛んだ、屋根まで飛んだ、屋根 まで飛んで壊れて落ちた。
「僕の名前はもうない。そう、もうない。僕は消えた。僕は君たちのいる世界か ら消えた。 バランバランになって、空に飛んだ。こうして丸まって、もう一度胎児の夢を見 ている。僕はあれこれ知ってしまったので、 僕の見る胎児の夢は、灰色。色のない世界の彷徨い。さすらい。僕は何もかもに 決別したのだ。」
「僕は宇宙に飛ぶ。宇宙で生命を受け直して、僕は宇宙をこうして歩くんだ。 地球が見える。僕の視界が広がり、狭まり、こめかみに激しい後悔の痛みが走 る。ふわふわとして、ギシギシして、締め付ける 痛みが僕を僕を僕を。血液、僕の中の血液のしつこいくらいの逆流が起こる。赤 くもない腐り切った血液の逆流が 僕の身体中を痛めつけるんだ。静かに静かに静かに、ああ、苦しいよ。」
身体表現。「宇宙の胎児の見る夢は僕の記憶の暗号」神田晋一郎 2 「触覚」
「ああああああ」
「僕は最近壊れてばかりのクラリネット。僕の身体はポンコツのクラリネット。 パパから貰ったクラリネット。 おもちゃのチャチャチャのクラリネット。飛び出す兵隊、飛び出す、飛び出す、 飛び出す。僕は壊れてばかりの僕を 壊れてばかりのバイクに乗せて深夜のランデブーを楽しんでいた。僕の身体、僕 の血液、僕の想い、僕の記憶、 僕の人生のどうしようもなさ、僕の無音。僕の身体から音が消える、記憶が消え る。」
「機械の音、話し声、僕を呼ぶ、僕を呼ぶ声。僕はここにいるのに、僕はここに いない。 僕は声のしっぽを掴むのに、後ろ髪のない天使は逃げる。僕は僕の眠りにつく。 そして、夢を見る。 原色宇宙の夢をみる。」
「僕が君を呼ぶ」
「僕が母を呼ぶ」
「僕が猫の名を呼ぶ」
「僕がありたけの声で叫ぶ」
「そこは宇宙。宇宙のシャボン玉は飛ぶ」
唄う。
シャボン玉飛んだ、屋根まで飛んだ。屋根まで飛んで壊れて消えた。風風 吹くな。
「シャボン玉、シャボン玉、僕の宇宙はシャボン玉だ」
暗転。 いきなり明かり。
胎児。
「僕の毎日、壊れた僕の時刻表。僕の宇宙は時間のない彷徨。もう僕の身 体はバランバランで僕の 時間はグルグル回るだけで、僕は宇宙のど真ん中で片足を上げて立っているんだ。 ここから地球を見る。いつまでもいつまでも地球を眺めている。僕のいた街に道 路が通っていくのを見る。 遥か彼方の宇宙のど真ん中で、だんだんと透明になっていく君の横顔を見る。 ねえ。」 「僕はたち上がって音のない世界の音を聴く。音のない音、音のない音。 僕は操り人形。僕は宇宙のど真ん中。僕を音のない音が包む。気持ちいい。気持 ちいい。」
「僕は僕の宇宙に、僕の宇宙のど真ん中に両手を広げて立つ」
「漂う、この宇宙にわずかな音が聴こえるまで、僕は立つ」
静寂。
唄う。聴き取れないほどの小さな声。使用曲 ADAGIETTO (PIANO VERSION) MAHLER 身体表現「あの音が聴こえてきた」
暗転。
僕は、 ここにいるよ。 聴こえるよ。
客電。
以上。
今回の作品はまたやりたいそうだ。また創りましょう。もっと深くね。