2008/07/21
言うときはきっぱり言う。それがあたしの方針だ。

このところずっと某掲示板でのいやらしいバッシングを眺めてきた。あまりに低俗で、愚劣な内容に一気に書き込みをした。こういうエネルギー消耗は腹立たしいよ。劇団主宰としての筋は通していきたい。前々から演劇の世界の人のうわさ話や閉鎖感がきらいだ。もっと開いていかなくちゃ、観客だって寄りつくわけがないんだ。友人から貰った「俳優術」の刺激を頭の片隅に置き、開かれた稽古場に向かった。目指す先に辿り着くために我々に必要なことはきりがなく続く。それを実際に実現していくための方法論が、少しずつあたしの中で形を成していく。あたしの道も険しいってわけだ。
しかし、あたしは実行していくのだ。続けるのだ。
参加者5名。見学1名。イメージを見ることを根本から見直す訓練。空間にも慣れが見えてしまい、次第にその動きは規則的になってしまった。そういうときは他の方法に切り替えていく。常に新鮮であり、つねに能動的でなければならない。イメージを見るところから始め、見え始めたらそのイメージに引っぱられてみる。つまり、イメージに主体を置く。これはよかった。イメージに俳優が引っぱられることがはっきり見えた。Mもとは作り出すイメージが非常にはっきりしている。身体も自由になり、表現の域に入りかけている。ただ、乱雑で大ざっぱな印象。温度だったり、感触だったり、視覚的なイメージではないものをもっと動員すべし。Kさわくん、素直な心は彼の武器だ。無理がなく、素直に零れてくるものが確実。しかし、それは劇的とは言い難い。想像力の飛躍が欲しい。彼自身の波動が弱い。Eな、集中力がついてきた。演劇に真摯に向き合い始めた印象。いかんせん、テクニックがない。イメージに引っぱられるときの見えているものと身体がまったく連動していない。これは訓練するしかない。N山さん、いいものが溢れてきていたのに、今日は非常に弱い。だめだよ。俳優はこれでよしとなぞり始めたとき、それは化石になるという怖さだ。
もう来ないかなと想っていたK太郎が来た。最初から食い付きが変わった。とてもいいことだ。いつ、今まで抱えてきたものをゼロにしようと想えるかで俳優の進歩の速度は変わるのだね。さらに、「自由」を掴みにいくことをアドバイスし、再度。空間の空気がめまぐるしく動いていく。さらに声、言葉も意識したい。次は、ある「人物」として、動く。いずれは「きっとその人物はそういう人だ」と観客が思うような、点を埋めていきたいが、まず今日はイメージを表現してみることのスタート。Mもとはこの課題でも非常にわかりやすい。が、もっともっと納得のいく「その人物」になることだ。N山さん、とにかく弱い。どうした?イメージを表現してみる。大胆に。しくじってもいいのだよ。Eな、面白かった。形骸化しようとする彼女の表現はありだと想った。表現していくことをもっともっと。漫画のキャラクターのようではあったけれど、この俳優らしいものが見えた。そういうものはいいね。微笑ましい。Kさわくん、これは少し大胆になれた。もっともっと真似てみる。K太郎、人物が見えてこなかった。とまどっていると停滞してしまうよ。やってみればいい。
さらに「ある人物」で出会い、演劇的に会話する。さて、演劇的とはなにか?
自分でないものへの変身は俳優をその気にする。それが自己陶酔でもいいのかもしれないと想ってみた。強い自己陶酔の果てにはいい結果が見えないか?
自己陶酔が全然足りない。役作りなどというつもりはない。その人物に成り切ってほしかった。Mもとが近いが、まだまだ。シーンを自己陶酔で成立させてみたい。
次は身体が不自由な人。シーンドライブ。3連発。Mもとの果敢な意欲が好感。Kさわくん、今のうちにさらに極めておくべし。N山さん、もっと大胆に。K太郎、躊躇が見える。頭で考えていないで、やってみること。
Eな、この俳優の優しさが時に作り物に見えるときがある。優しい俳優だと想うが、綺麗事に演じすぎる。昔、白血病の役を演じたとき言われた。「あなたは役を愛しすぎている」と。今は、わかる。今日のシーンはなんだかむず痒かった。徹底的に揶揄したとしても、みえる優しさや辛さや歪みが見えたいよ。暴言かな?
感情の訓練。憤怒。強い怒り。一気に感情をあげる。今日はそれぞれが集中して感情の切り替えが早かった。が、全体的に感情が持続しない。言葉で伝達し、説明することのできないもの、それが感情だと想う。それは違うとは言えないもの。しかし、必要なのは説得力だ。今日は、このままエチュードを繰り返し、憤怒を探ってみた。エチュード連発。
親友の裏切り。まず、動きを決める。同じ動きで組み合わせを変えてみる。まず、親友という関係を作らなければならない。それ故の怒り。まず、感情はかならず動き、変化し、多様であるということ。各組ともまず親友という関係が作り切れていなかったね。KさわくんVSK太郎、ぶつけ合う怒り、暴力。EなVSN山さん、ぶつけ合う怒り、暴力。MもとVSKさわくん、Mもとの冷酷な怒りにKさわくんが怯む、MもとVSEな、Eなの怒りがふつふつといたものに変わる。Mもとの怒り、が攻撃から守りの印象。つまり、相手によって感情の襞はいかようにも変化していくし、強い怒りはただただ叫ぶところが到達点ではない。あたしは本当に怒った時は口もききたくない。手など出したくない。本当に怒った時、あたしは。しかし、これはあたしの中の「納得出来るもの」に過ぎない。それを求めているわけではない。怒りをもっと探ろう。
さらに連発していきたい。たくさんの感情を生み出す術を身につけたい。感情にはきりがない。間の感情表現まで手に入れたい。
全体的に感情を爆発させることに傾倒している気がして、危険。雑にならないように。
次は心を開放していくためのエチュード。告白。俳優各自の一番いやだったことを告白する。これは内容ではない。心にしまい込みたい部分を引きづり出すことの訓練だ。俳優としてではなく、人として生きている時、人は嫌な思い出を封じ込め、記憶から消していこうとするのではないか。しかし、俳優はそれを引きづり出せなければならない。それぞれに心に響いた。内容は伏せる。
ただ、すごくはっとしたことがある。この訓練はあたしも何度も経験してきた。その記憶を引きづり出すとき、それはパニックを起こしたり、どうしても言葉がでなくなったりした。同じ場にいた他の俳優も泣き叫んだりした。
今の俳優達は実に淡々と語る。何故だ?
たとえば、人の告白を聞いた時、各自の心は動いていたか?問いたい。
泥酔。今日は泥酔という設定からシーンを動かす。酔いの記憶、酔いの観察。足りないよ。つまらなかった。あ〜、ぐでんぐでんに酔った、みっともなさが見たい。見せてくれ。2連発。不発。酔った人はどう歩きますか?
日常で身につけて下さい。
身体表現。まずウオーキング。スタイリッシュに。あたしは魅力的な俳優であってほしいと想う。しなやかな身のこなし、身につけたい。N山さん、せっかくセクシーな歩きを獲得していたのに、すっかり忘れている。もったいない。だめよ。Eな、アドバイスしたことは何度も繰り返してきなさい。Kさわくん、同様、2度目は非常に男らしくなった。K太郎、まずどう引き出すかが難しいので、まずアドバイスしてみる。うん、かっこよくなった。Mもと、あなたは日常を越えた素敵さを表現してくればくては不満よ。2度目、かなりかっこよくなった。
かっこ悪いことのかっこよさ、さらにかっこよさ。両方とも獲得してほしいね、みんな。
身体表現。音を身体に取り組む訓練。今日はリズムがはっきりした曲だった。全員がリズムに微妙なのり、これが気持ち悪い。手を打ち、今日はリズムに乗ってしまってかまわないと指示する。再度。Mもと、自在に動き、身体も表現していてよかった。さらに自分の世界を融合させてほしい。
他の俳優は、イメージが身体で表現出来ない。筋肉の意識を高めてほしい。
これは次回、筋肉を動かしていくという動きを指揮してみようと想った。
自在に動く身体を作ろう。
最後は恒例相関図。感情の動きはもちろん、見せ方、言葉のタイミングをさらに考えたシーン作りを要請してみる。N山さん、K太郎の愛情表現から。K太郎がよかった。N山さん、最高にかわいかった。
ここから、シーンをドライブさせる。Mもと、どうしても醒めた印象。熱いものがみたい。Eな、ぶつけることに迷う。ぶつける、ぶつかってみる。やってみること。おりこうさんはいらない。出すなら出す。これ大事。
Kさわくん、瞬間に立ちのぼる嫉妬が好き。しかし、次第に小さくまとまっていくんだな。感情が動き続けたいね。K太郎、途中から失速する。しかし、持ち直した。終わり方がてんでダメ。アドバイス。
N山さん、今日はいまひとつだった。せっかく開いてきた花を咲かせようよ。
今日は残念ながら、なんとな〜くのシーンにしかならなかったな。
あたしも常に方法を探りながら、毎週の稽古を組み立てます。
俳優各自も常に探り、確実に身につけてほしい。