2014/11/10
寝ても覚めてもの芝居モードの日々なのだ。なんせ1月公演のために時間を作らなければならないため、レギュラー仕事でクライアント各方面に我がままをお願いしている。現在進行形で台本固めつつ、音の依頼をしたり、装置考えたり。音のDubさんは今日からツアーに出ていったので、早速喧嘩したりした。同時進行のできない人なので、あたしが煩がられるくらい言っておかないと後が心配だからね。
さて、開かれた稽古場は別。日常訓練はいざという公演体勢になった時に動く心身を鍛えるために。今回はこのところ続いている若手たちと他劇団所属になった女優の参加。今回はあたしなりの心身鍛錬のための連続課題を考えていった。作品も少し入れたが、とことんの身体訓練、感情訓練、想像力訓練というメニュー。
最初の1時間はすべて連続してみた。もちろん、途中に修正はし、アドバイスはしていきながらだが、極力役者さんたちの心身が途切れないようにと考えてみた。心や身体が動き出すと必然として信じられるものが零れてくる。削いで削いで「どうやるか」から抜け出していく。今回の連動した課題はとても有意義な効果を得た。まず「歩く」地獄を歩く。地獄を想像していく。地獄であることを顕すのではない。そこに歩く者どもの心、身体が見えればいいのだ。
音と役者の共存についても探ってみる。音の出所や振動によって、役者たちが反応してくれれば、それは相乗的な効果を目に見せてくれる。
皆がうめき声を上げ始め、床に這いつくばりはじめたら、両足を切り取ってみる。課題は「歩く」。さらに幻覚を見せてみる。自由のきかない心身の反応。しかして、課題は歩く。イザって歩き始める役者たち。そこから、頭を飛ばして、身体表現まで。
そして、佇む。地獄から日常へ。ある芝居のために集まった人々。ストップでシーンを切り替え乍ら、本心を際立たせてみた。感情の揺れや機微がなかなか見にくいゲンダイの若者たち。媚びへつらう。お互いの探り合う。カット、カットで指示をしていくうちに少しだけむき出される本心。誰もが主役になれる、なりたいと想っているので、他者を蹴落とす強さがもっと見たかったのだが。
配役が発表される。そこの誰でもないスターさんが主役になる。絶望感の中、歩き出す。絶望の「歩き」
家の玄関を開ける。そこは火の海。家族も家も何もかもを失う。絶望と憔悴、「歩く」雑踏に立つ。風景を見る。人々を見る。街角の巨大な画面に製作発表の映像が流れる。じっとそれを見る。雑踏の人ごみ、あの、スターが車を降りて歩いていく。「激しい殺意」そして、身体描写。
すべて感じていくための課題。それぞれの心が動いた。各自へのアドバイスはしたので、割愛する。身体表現がどうしてもリアリズムの説明表現を抜けられない。その点は全員共通の課題。感情の動きはダイキがとても良くなった。健太もかっ飛べる瞬間があり愉しみ。というより、そこから開いていけるといいね。なおみさんはどうしても切り込みが浅くて、困ったな。積み重ね、実感していくしかない。悠平は確実な表現は要らないので、とにかく跳べ、飛べ!
そこに「面白い瞬間」が出てくるのだ。わかったかな?
前半もう1本。「パンの角」
後半は身体訓練の稽古。これは秘密のノックなので、割愛する。ある、ダンスまで。
残り時間を使って作品による「台詞」の稽古。お願いをして、2回。観客席に伝えるために、2回目はまあまあ良くなった。
色をつけずに言葉を発する事も時に必要というための、課題として。
感情を露呈して発して欲しい言葉としての、課題として。
よいところは褒めて引っ張り出して、要らないものは削いでいく。皆が本物になりますように。精進精進。あたしも精進。
以上。