2008/07/28
女優として演出として

本日、開かれた稽古場だった。スラックスの前どセンターに丸い穴が開いていた。稽古場に入って、仲間に指摘される。え?今日一日局で会議に出ていたのに、誰も言ってくれなかった。恥ずかしい。開き直って、参加の男優たちにそれを見せる。誰も視線を外してくれない。とほほ。きっとあたしが素っ裸でも日常会話ができる自信がある。少しめげる。
女優だった頃、稽古に行くのがつらい日もあった。でも、稽古場にいけばまたやる気になった。それを20年以上続けた。これをやめてはいけないと想う。
本日の参加者5名、見学2名。
今日はイメージトレーニングに参加した。まず、イメージを追い、表現に変えていく。言葉、声、身体。今日はあたしも入ったので、個別のダメだしはできない。イメージを持ち続けること、そして、それが拡大していく感覚。あたしはしっかり感じることができた。他者と接点を持ってみる。他者が動いていく、そして、あたしも刺激を受ける。これこそ、芝居の醍醐味だととても満たされた。みんなから来る波動も感じられた。
さらにイメージを強める。次は観る。さらに関わりあうことを指示する。いい空間だった。Mもと、Yき、とてもいい。Kさわくん、途中で折れずに。N山さん、強いものが周りにあるとき、まだまだ弱い。火柱となりたい。
感情の鍛錬。まず、深い悲しみから。参加する。心に深い悲しみを持つこと、それによって身体がどう反応していくか。身体に無理な命令をしないことで、感情はどんどん深くなる。気づいたら、涙がこぼれていた。想像力による感情の喚起、なのか記憶の追憶なのか、わからなくなった。感情が飽和していく。
連発、次は観る。この感情のまま、他者と会話。言葉を発したとき、抱えている感情がなぜウソっぽい声になるのか?自由に、なることは難しいが、挑んでほしい。
満たされた想い。参加する。心が温まる感触。すれ違う俳優たちから伝わるものが弱い。ハングリーも大事、しかし、満たされることも大事だと想うのだが。
強い怒りの訓練。まず感情を持つ。ぶつける。連発。感情を声にする。言葉にする。Mもと、Yきよかった。Kさわくん、溢れてくる感情が落ちなくなってきた。いい。N山さん、感情を持っているときはいい。言葉にすると変質していく。演じようとしすぎではないか?Aり、外に出ていく怒りではなく、内へ向かう怒り。これは成立する。しかし、この音やは感性が強い。ここまででパニックを起こす。これはこれで収穫だとあたしは想う。
4人で再度、怒りの表現。怒りを増幅させてみる。その怒りが極まってきたとき、一言発して倒れ込む。Mもと、Yき、要求を増やすとやや混線してしまう。すべてが連動するところにとっとと行って。N山さん、その言葉を選ぶことが見えなくなるといいのに。Kさわくん、かなりよかった。倒れ込みがへた。彼はため込むことができる。最初の日だけは理屈を言った。その後は何も言わずに蓄積している。いけるかもしれない。まだ、未知数だが。
ミザンスをつけ、怒りを表現する。自己陶酔ではなく、観客に伝わる表現でなければなにもない。そのために。Yきの「死ね」きつい言葉だけに表現の先がほしかった。Mもと、形でない見せ方が随分できるようになった。いつのまにかへんな身体の癖もなくなっている。N山さん、Kさわくん、よく持続できたと想う。怒りがなくなり、歩いて下がる。怒りの消し方があたしはもっと瞬間であってほしい。余計な表現は邪魔だ。この切り替えを身につけたいね、みんな。
今日は変身と陶酔とリアリズムを探りたかった。成り切ることを感じてほしかったので、そのためのエチュードを連発する。
犬、そして人間犬。これは面白かった。Kさわくんが非常にのびのびと犬になって、言葉を発した。
これは身体表現も加えてほしい。ごっこ遊びでは物足りない。
ある人物として、空間を活きる。それぞれの人物がなかなか見えない。連発。会話。自分の中を他の誰かにすること、これが役だと想う。Mもと、表面的だった。Yき、表に見えているものがおそらく彼の思うように見えていない。歩き方や話し方のつきつめが必須だね。N山さん、やろうという意欲は見える。しかし、ピンとこない。ピンとくる。きっとこの人、そういう人だろうな、きっとこういう人、いる、いる。そんな感じね。Kさわくん、これはまた新たな課題なので、今日はまったくわからない。迷っていないで、やってみなくちゃね。
次は泥酔。連発。酔うということ。もっと観察が必要。酔ってみることも必要。Yきが今日は全般的に思い切りがよくて、好感。Mもと、前回よりは面白くなったが、もっとだね。N山さん、酔うと他の人のようになる。これはありだと想った。Kさわくん、真面目すぎてもだめよ、とことん酔ってみたらあ?
次は身体障害者。身体の障害を感じてみること。これは、あたしの求めるものがまだぜんぜん伝わらない。こういう表現こそ、優位意識は除くべきだ。
お利口ぶったって、なんぼにもならないってことよ。
あたしたちは人間の痛みを表現する。あたしたちは死を表現する。だからこそ、痛みがわからなければ、にせものの優しさもどきだってことよ。
発声。稽古場の防音がまだ不完全で思い切って声が出せない。稽古の組み立てをそれで考え直してはいるが、声を鍛えたい。今日は四股移動による声の増殖。息を忘れていた。しかし、苦情。ああ、ストレス。
シーン。泥酔による絡み。日常から切り取ったシーンに飛びたい。乾杯からはじめて、自己紹介になりそうな流れ。止める。再度、酔って、絡む。酒乱としてみる。急にみんな大胆になるが、失速する。不毛。
葬式。祭壇を決めて。ただただ焼香をするだけでも、これは劇的だった。謎。
言葉のないシーンだったが、心がざわっとした感じ。
身体表現。これも参加。今日の音はどんどん入り込めた。途中から観る。Mもと、よかった。もっとオリジナルな世界ができそうだ。Aりもよかった。Yきは理屈がなくなった。よかった。Kさわくん、とても自由に身体が動いていた。N山さん、今日は身体を意識できたのか、よかった。
ただ、全員、声、他者との関わり、これを置き忘れているので、アドバイス。
次回に期待する。
これは身体表現である。
さて、今日は少しN山さんの色気をひっぱりだすためのエチュードをやる。
俳優それぞれを「落とす」
大胆になりきれなかった。大胆になれ。
日常でできていることを舞台に乗せる、これ、案外難問でっせ。
このシーンで気づいたこと。うちの参加者たちには俳優自身の照れがない。これって、とってもいいことだと。
最後は恒例相関図。N山さん、Mもとの愛情表現から。それぞれの感情が動ききらない。だらだらと続けるのではなく、今日は連発してみる。5連発。
感情が動ききらない。
細かく感情が動くシーンにしなければ、これは成立していかないな。
それぞれのダメだしは現場で完了。
稽古の方法、あたしも毎回考えていく。これもあたし自身の訓練になる。
俳優の生理も加味して、早く引き出してあげたいから。
夏、熱く稽古は続く。
それから、稽古のあとに食事をして、稽古の話もできるけれど、
これからは稽古日記も対話の場にしてほしいと想う。
それぞれ、あたしも含めた疑問を稽古後に文字にして語り合うことも
もしかしたら、効果があるかもしれない。
遠慮はいらないし、あたしも考えていくので、どうぞ。
フリートークでいきたい。
疑問を書いてみる。それぞれのそれに対する考えや感じたことを書いてみる、
そんなこと。