2008/09/08
あたしが目指すところの階段が、やっと見えたかもしれない


本日開かれた稽古場、俳優のための日常訓練を目指してやっている。今日は参加者10名、見学2名。いきなり途中から飛び込んできた参加者もありで、あたしの目指す稽古場になった感触。
イメージの訓練から。舞台奥からそれぞれのイメージに引っ張られて、動く。ミザンスを決めて、最後の位置に戻るまで。想像力を表現すること、そして、決められたきっかけを守ること。俳優はいくつもいくつもやることがある。想像力をもっていたら、さらに膨らませ、それを表現に繋げなければならない。
1回目、見えてくるものに格差がありすぎる。止める。再度。Mもと、さらに広がりがほしい。Kさわくんはイメージを追い続けることができるようになった。そこにあなたらしさがほしい。もっと日常から飛んでもいいのが想像の世界なのだ。S井くん、彼の目の奥の狂気が溢れ出してほしい。心の途中でひっかかっている印象。Sちゃん、想像していけない。諦めずに挑む、あなたにはそれが足りていない。Kたろうくんはイメージが多くあるのがわかる。それを追いながら、時折覚める。集中していくことだってば!Yき、また頭で考えている。表現することは作り物ではないのだよ。ミザンスを経過するリズム感もほしい。カメレオンのような。S田くんはまずこの課題では頭がフル回転している。演劇のようなことは一切いらない。S一郎、いつのまにか想像すること、遊んでいくことを身につけた。しかし、それがもっとイメージに突き動かされるようであってほしい。器用な動きは嘘に見える。N山さん、イメージを追うまでのドライブ時間が長い。ある意味暢気な印象を受ける。Hで、中身がない。格好やスタイルへの意識なんてクソクラエなんだよ。
最後に各自のイメージがシャッター前に集まった時に火柱が少ない。俳優の数の火柱を立てろ。これでは消せない。
さらに、イメージを広げる、細部までイメージする訓練。自由にエリアを歩く、動く。息づかいが変化するようなものがあたしの欲しいもの。強いイメージがなかなか見えてこない。これは全体から立ち上りたい。手を打ち、そのイメージをぶつける。他者と演劇的に会話する。今日のこの課題は噛み合ない面白さが欲しかった。ある種の狂気のぶつかりあいである。演劇的とは何か?
さらに演劇的に会話。シーンを切り取る。さらにシーンをドライブさせていく試み。S一郎、Mもと、Kさわくん、Kたろうくんのシーンから。S一郎の導入の怒りが非常によかった。一言めのセリフの重要さ。心地よい。ところが、持続していかない。その場の他者に反応して、シーンを動かしたい。S井くん、入り方のアイディアはいいのだが、共演者、観客席に切り込む強さがない。言葉を効かせていくテクニックがほしい。N山さん、入り込むときに持ち込む感情だけで入ってくるので、あとへ続かない。少しドライブさせるが、つまらなかった。
続いて、感情の訓練。強い怒り。強い怒りを心に持つこと。S田くん、怒りにも無数の感情がある。累計的な表現は取り除きたい。全員に求めることだが、怒りに心が満ちた時、身体はどう動くのか?心を怒りで満たせば、自然と身体も震えてくるし、手、足も表情も動くということ。そこにたどり着くまで、感情を膨らませること。怒りの対象を具体的に持つこと。抽象的な対象でもいい。演劇はメッセージでいいのだから。Hで、どうしても表面的。心を動かさないとダメなのだ。怒っている風はいらない。Mもとの独特の怒りのベクトル。これが面白い。活かしていきたい。S一郎、怒りの感情がさらに強いものとしてみえたい。コワくて触れないような。S井くん、とにかくこの俳優には狂気がある。絶対ある。あたしはそう信じているのに、出てこない。ときどき鋭い、冷たいいい目をするのに、小さくまとまっていく。Yき、最近、声への意識をもっているのだが、出てくる声にピンとこない。
ストップモーション。今の感情を言葉にしてみる。言葉、書き言葉ではない。心の叫びがほしい。
さらに怒りを強くしていく。強くみせるのではない、心の怒りを憤怒に変えるのだ。コワくて、震え上がるようなものを観客席に届けたいのだ。
ストップモーション、その怒りを声にする。声への意識。限られた音域ではない声が聞きたい。まだまだ。呻きとかシャウトとか。
Sちゃん、Hで、N山さん、Kたろうくん、とにかく心に強い感情を持つことだ。S田くん、少しだけ本当の感情が見えた。
続いて、諦め。諦めるという感情。それにはそれぞれに諦める事柄が必要だ。ここでもイメージが必要なのだね。諦めたとき、人は安易に肩を落とさない。
観客席が信じられることじゃなきゃだめだ。諦めの先には何があるのか?感情は課題の感情は始まりであり、それは変化するはず。そこまでが観ていきたい。
諦めの感情のエチュード。恋人からの決定的な別れ。さまざまなことを一気にイメージする。そして、その瞬間がみたい。動きを決める。定位置までの歩きが不満。観客にあるスパンを感じさせる動きのスピード。誰からも出ない。次回は考えてほしい。普通のスピードで歩いても、俳優自身の見え方、観客の心の引っ張り方として違わないか?これは、演出の域かもしれないが、俳優も身につけたい。勘。一人ずつ、連続する。彼女の声が聞こえていること。そして、諦める、もうだめだと想うこと。Kさわくん、感情が確かに動いている。大げさな表現はいらないが、もっと心を打つものでありたい。Kたろうくん、よかった。S井くん、よかった。が、奇麗すぎる。S一郎、細かい表情の変化。いい。Sちゃん、心の動きが見えない。心を開いて。そして、閉じて。わかるかな?継続して、とにかく繰り返すことだ。Yき、表情が固い。もっと柔軟に自然に。N山さん、到達する地点が不満。そんなもん?の表現が劇的に遠い。
S田くん、頭での作劇はいらない。心を動かす。絶望とか諦めとか死んでしまいたい想いとか。落ちる、落差。見たい。
Iだいも加わり、発声。声の増殖、拡大。息から。もちろん、四股にて。1回目、声はよく出ているが、身体表現にならず。再度。四股で移動する。声の増幅、拡大と動きがさらに連動していきたい。けれど、皆、いい声、いい表情。これが仕上がることを望む。Sちゃん、Hで、声が弱い。同時でもそれぞれの声は聞こえる。さらに声の強化。身体の強化だ。
連続した号泣シーン。一人ずつ号泣していく試み。エリアを号泣と涙で海にしたい。Kさわくん、そのまま行けと想うのに、失速する。Kたろうくん、なかなか泣けない。まず泣いてくれ。Hで、泣いてくれ。Sちゃん、泣いてくれ。もっと拍車をかける。稽古する。Iだい、自分の感情を揺らすことはできる。けれど、形になっている。もっと信じられるものが欲しい。Yき、号泣はどうなるの?言葉が発することができなくなるくらいまでいきたい。S井くん、崩れてしまわずに泣いてほしい。S田くん、感情はよく動いてきた。すぐに泣けるから、積み重ねることだ。S一郎、いいところまでいっているが、涙に繋がらない。さらにはっきり。N山さん、泣ける。しかし、そこで安住するのだね。その先。シーンは続いている。執着心。Mもと、これも不満。もっと。
涙の海ができるくらいにしたい!
さらに強い怒り。動く。そのままエチュード。因縁をつける。
緊張感を生みたい。張りつめた空気を生みたい。S田くん、暴力に繋がる必然性があなたの中に足りない。Kさわくん、向かっていく強さが足りない。
Iだい、やろうとしていることが表現されていない。何度も繰り返すことで、目が変化する。この俳優のタガを外してあげたい。S一郎、かなり強いものが出るが、ぞくっと背筋が凍るコワさが欲しい。Hで、かっこよくやらない。はちゃめちゃになってみろ。S井くん、目がいい。さらに押しの強さ。Yき、どうしても勢いだけになる。相手があっての因縁であり、喧嘩だ。N山さん、声に中身が繋がらない。言えば、肝の据わったものがみたい。男相手の喧嘩、覚悟が足りん。例えば、観客席の身体が凍るような、本物に近づきたい。
Sちゃん、勢いがほしい。
愛情表現。N山さんに愛情を飛ばす。全員で。N山さんに何が届いたか?それはあたしには残念ながら届かない。湯気が見えるまでいきたい。
身体表現。音を身体に取り込む訓練。俳優の身体は自由である。Mもと、Yき、
S井くん、S田くん、いい。陶酔していくこと、音を聴くこと。身体で表現すること。Iだい、今日は表現に走りすぎ。もっと陶酔していけばいい。S一郎、はじめは秀逸だったのに、迷い、迷いになる。それでいいのに。Sちゃん、とにかく向かっていくこと、挑むこと。姿勢、勢い、焦りも必要。Kさわくん、もっと自由に羽ばたけ。N山さん、連続すること。いいところとテクニカルに走るところがぶつぎれ。まず、音にとけ込むことしかない。
はじめての課題。壊れる。俳優自身の開放。内面の破壊。壊れていく。ぐしゃぐしゃになってみる。不満。どうやるかではない、壊れてみるのだ。身体も表情も声を自由に。壊れて。
そのまま泥酔。酔った真似をするなら、徹底的に。見ていられない。
再度、壊れる。壊れ方が足りない。再度、泥酔。Iだい、Mもとがよかったが、まだまだ雑。観察し、体験し、酒のにほいが漂うような表現が見たい。
続いて、身体が不自由な人。徹底してほしい。のようなものなんて、いらない。
さらに精神病院。狂うということ、心を病むということ、何かにとらわれるということ、もっと研究してほしい。シーンをドライブさせる。ひとりひとりが銃殺されていく。とにかく、そこにいるその人がはっきりしていないので、反応も出てこない。音への反応、事象への反応を頭で考えすぎた印象だった。
再度、N山さんへの愛情表現。一人ずつ。女優に届けることはまず大事、次に観客席に伝わる熱さが大事。弱かった。
そのまま恒例相関図。1発目。あまりに押せのシーンになり、乱戦となる。これはこれで面白いが、ここまでと止める。
2発目。さらに。それぞれの気持ちの変化がみたい。おもちゃの取り合いではないんだ。愛情表現であること。ここを全員置き忘れている。
しかし、いい稽古だった。さらにさらに、もっともっと。すごい表現が見たい。劇的であること。ただ、泣けても、それは当たり前。劇的に泣きたい。たとえば。みんな、期待してるよ。
次回はさらに魅せて下さい。