2008/09/15
心を動かしていくしかないんだ


本日開かれた稽古場。参加者9名。うち初参加、復活各1名。繰り返し、積み重ねることの必要性に気づくまで、削ぎ落とし、繰り返し、続けるしかない。それが日常訓練だと想う。身に付いたことが連綿と繋がったとき、きっと観客の心を動かす表現が叶うのだから。
本日のイメージトレーニング。腹這いから。イメージに突き動かされることをどうしても実現してほしいのだ。イメージを表現していくことを実現してほしいのだ。表現と指示すると何かをしようとしてしまう。肝は想像力しかない。嘘はいらない。初参加T口くん、なかなか動き出さなかったが、集中しているのはわかった。集中して、駆り立てる。イメージを積極的に持っていく。それが俳優修行。
Mもと、これから先のあなたには細かい作業がほしい。そこから、あなたらしい表現が生まれるはず。イメージが追えるようになったのだから、そこで止まってはいけない。Yき、身体が弛緩している。Kさわくん、今日は非常に積極的だった、全体に。やってやろうという意識、まずはそれだと想う。しかし、ちぐはぐでやりっぱなしではなく、掴んでいこう。Kタロウさん、散漫だったものが、ギュッとまとまってきたと想う。Nみちゃん、暢気すぎ。待っていてもだめ。イメージを見ようと食らいついていけ。N山さん、イメージを見ていくことがどうにも苦手。イメージ、想像力がなければ身振り手振りは嘘にしか見えないということ。Hで、はじめに助言。しきりに迷っている。そう、心をもっともっと埋めなければ、先はない。
シャッター前から、イメージをみていく。表現することを念頭におく。
まずは、イメージに突き動かされて直進する。イメージを見ればいい。だれもかれも「イメージを見ていること」を表現しようとする。いやだ。おりこうさん意識はいらない。観客の求めるものは劇的なもの。全員ダメ。
再度、ただただ前を見て、イメージに近づいていくことを説明して、再度。
何かの情景が見えたり、音が聴こえたり、しないのだろうか?俳優を生業とするのであれば、想像力がなければ無理だよ。
Hで、Nみさん、すぐに動き出すが、何もないままアクティングエリアから消えていく。消化試合ならいらない。Mもと、もっと強く、はっきり。Kたろうさん、よくなってきた。Kさわくん、今日はどれもよかった。そこから表現していかなければならないということ、高見を見るのだ。S一郎、できるのに続かない。おそらく、持続し広げていくことが不足しているのだ。延々とイメージを追い続けられるようになってもいいのではないのかい?動いていた表情が途中で固まる。それじゃ、つまらん。N山さん、イメージをみていくこと、言葉を縛ると見えてくるものがある。T口くん、変化が見えてこない。意識レベルを表現者にしなければ。
続いて、イメージを身体で表現。今日はDちゃんがライブのため、欠席。音による身体表現をやめようと想ったので、ここで身体表現を取り入れる。
身体で各自のイメージを表現してほしい、たとえば、この課題を投げても通じるまで説明がいる。身一つのこの仕事、もう少し身体を意識していかなければ。心が身体と連動しなければならない。とにかく身体が不自由。
何度も繰り返す。Mもとはとてもよかった。
さらに、感情を指定する。悲しみを身体表現。心にイメージをする。具体的な感情をもつ、そして、それを身体表現する。S一郎、いいものが出る。しかし、連続していかない。そこを追求してほしい。Yき、心は動かしていかなければダメ。恵まれた体躯、心が動いて、さらに表現しなければダメ。T口くん、身体が固まってしまう。筋肉を意識し、動かしていく。動かさなければ、どんどん固まるよ。Kさわくん、次第に表現になってきた。表情が非常によかった。Mもと、秀逸。感情が動き、イメージが動き、身体に連動している。こういうもは見ていたいと想うのだね。面白い。N山さん、表現していくのだけれど、連続性がほしい。何かをして、次は何、とあまりにわかりすぎてつまらない。頭で考えている限り、面白い表現はできないの。
Nみさん、固い。感情が動いていかない。そこを克服しようとしなければ。甘んじていてはだめだ。
続いて、感情の訓練。幸福感から。心を満たしていく。負の感情ばかりではない。満足する気持ち、認める気持ち、感謝する気持ち、愛する気持ち、感情の振れ幅を広げてほしい。俳優として、感情の振れ幅豊かな人であってほしい。
熱いもの、温かいものがなかなか溢れてこない。笑い声、笑顔、心が追いついていない。表面的だった。
さらにさらに。心を動かす。それしかないんだ。他のものでおぎなえないのだ。心してほしい。心がぐるんぐるん動く俳優たちになってほしい。
身体から発熱するような、そんな感情の渦が見たい。見えない。押し付けてきても観客の心は動かない。ふりもいらない。各自、如何でしたか?
続いて、悲しみ。身体表現から続いて、さらにこの感情。哀しい、悲しい。かなしいと想おうとしてもだめ。かなしくなれ。わかるかな?これもとっかかりは想像して、その感情を引っ張りだしていかなければ。今日は、形骸的すぎる。心を動かしたら、この生業の醍醐味ではないか?
あなたたちは演劇を何だと想っているの?どうして、芝居が演りたいの?
変身願望、もちろんオッケー。けれど、どんな変身も心がなければ、形骸でしかない。さらに諦め。
今日は感情の連動を考えてみた。ゼロから感情を動かすのではなく、感情をためて変化させていくことを身につけてほしい。人は感情を動かしている。無限大の感情を動かしている。演劇の中の役も同じだ。感情の切り替え、そして連動。どちらも時間軸の変わるこの生業には必須。
たったひとつの暗転で、感情を変えなければならない。映像でも同様。
今日はどうにもこうにも形骸的だった。心が動いていないものはどんなに身振り手振りがついても、面白くない。
続いて怒り。強い怒り。どの感情もイメージを持たなければできないって!
Kさわくん、Mもとよかった。手を打ち、その感情をぶつける。感情を他者にぶつけていく。感情の火花が見たい。演劇的に会話する。
瞬発力がほしい。探り合いは見ていて気持ちが悪い。さらに感情を上げていく。ここにきて、T口くん、心が動き始める。手をうち、他者と会話。感情をぶつけていく。スパークする瞬間だけでいい。言葉の応酬がみたいわけではないんだなぁ。S一郎、感情が生まれては失速する。覚めているように見えるのはよくないと感じた。他者にぶつかっていくことでドライブしていくものがある。ぶうかりあえばいい。気持ち悪い探り合いは無用。Kさわくん、上げ上げでとてもいい。シーンを切り取ってみる。
シーンをドライブさせる。Kさわくん、T口くんから。切り取るとき生まれていたぶつかりあいがよかった。シーンを新たに作ろうとしすぎ。リアリズムがほしい。アドバイスし、再度。その瞬間瞬間をほんとに感じていくこと。どうしてもピンとこない。犬の骨へのそれぞれの想い、感触。見て、聴いて、感じて、触れて。そこにほんとが見たい。のようなものは、だめなんだね。他の俳優も加わるというシーンドライブなのに、今日は観客目線、批評家目線、演出目線。そんな空気。何やってるの?みんな?そのシーンに早く同化していかなkれば、シーンが動いていかない。呆れた。
再度。怒りの感情のシーンのはずが、まったく抜けていく。つまらん。
ブリッジによる発声。腹筋強化し、声を鍛える。声を受け渡していく。共同作業への意識。Kさわくんの声がとても強くなった。エチュード、セリフに繋げていきたい。N山さん、声がなかなか強くならない。日常でも発声してほしい。T口くん、ブリッジで精一杯で声出ない。これは問題外だよね。Yき、今日は何となく緩慢。疲れは残さないように。まだ若いじゃないか。Nみさん、声は基本だ。舞台に立つ声を鍛えるべき。
四股による声の増殖。息から。息がはっきり聴こえない。次回、息の発声をやる。ここでも身体への連動を指示したが、身体の表現にならなかった。声ももっとほしい。Kたろうさん、途中の咳、へんな癖。即、取ること。Mもと、声を鍛えたい。声が弱い。
どうしてもこれは創り込みたいシーンでもある。半端なものじゃ、見せられない。
エチュード。首つり死体をみる。反応。死体の位置を指定してみた。Kさわくん以外、反応が見えない。連発。そんなもんかあ?Sいちろう、T口くん、何か手を考えているのか?あまりに不自然。N山さん、あがってくる。死体をみた瞬間がまったくわからない。動きを指定してみる。
やりやすいだろうきっかけをあげたのに、ぼやけてみえない。何なんだ!
再度。息使い、声が聴こえない。劇的にならない。イメージが不足している。
タナトスか?死が軽くなりすぎている。こちらの心をガツンと動かしてよ。
はあ。
号泣エリア。泣き叫ぶことではない。これも想像力。想像力。止まらない涙を見たい。どうして、そんなに泣けないのだろうと考える。絞り出している感じ。泣こうとしているんだもんな。イメージを持つ。気持ちは動く。そして、涙は出てくるんだけど。アドバイス。Kさわくんどんどん上がってくる。あと一息。S一郎、どうしてもピークがこないね。来て下さい。
泣き叫ぶことではないという、あたしのイメージが皆を縛ってしまったかもしれない。叫んでもいいから、泣いて下さい。Nみさん、泣くのだ。できないところで止まらない。T口くん、拍車をかけて。あまりに変化見えない。Yき、あふれさせてほしい。そんなところで止まってほしくない。Hで、このあたりからやっと心が動き始める。稽古開始からその姿勢でね。N山さん、もっとです!Mもと、苦手だった泣き、少しずつ物になっている。しかし、まだまだ。身体表現の進歩を想うと届いていないぞ。Kたろうさん、心が動くようになったが、持続しない。ぶつ切れでは芝居はできないよ。
魔性のエチュード。女優ふたりで。次から次の男性とのデート。N山さんから。話の持っていき方は面白いけれど、雑すぎる。それじゃ、男性気づきますな。日常はわからないが、これは観せる演劇だということ。ネタだけでは成り立たないし、面白くない。俳優が変わっても、同じような対応ではリズムがない。明かりきっかけを創るが、そのきっかけが活かせていなかったので、アドバイス。これは相手役の俳優たちも同じ。あたしはドロドロとか色気とか香りとか、舞台の上の俳優に欲しいもの。奇麗ごとなんて面白くないもん。これはあたしの趣味か?つまり、人間がみたいんだ。
俳優たちも動物的なところとかギラギラしたものとか、足りない。いやらしくていいのに。慣らし運転のような展開だったなあ。
女優交代。Nみさん。このエチュードで、彼女の面白さをみる。引き出してあげたい。そのためには執着して、丁寧に相手役とシーンを動かしていくこと。
エチュードを繰り返している。シーンの切り替えとか、変化とか、そういうシーンの流れにも神経を使いましょう、全員。
観客を信じさせてあげるためには、エチュードもこんな感じではだめだね。丁寧に。
続いて、自らを壊していく試み。全員で。リラックスの極地。恥ずかしいとか迷いとか見栄とか、俳優から取り除きたいものを壊していく試み。
2連発。壊れきらない。壊れたところに、面白いことが起こる。見たい。
S一郎、これは持続した。よかった。
リラックスを試み、さらに恒例相関図。N山さん、T口くんから。まずは愛情表現。他者との感情のやりとり。連動した動き。ダメだし。再度。俳優は突き動かされていけばいいのだ。
相関図、開始。初参加のT口くん、Mもとが登場で、とまどい、去る。心の動きは見えた。ありかもしれない。Mもと、初っぱなからよかった。S一郎、冷徹な切り方。シーンとしては面白いし、俳優としての欲は見えた。けれど、愛情は見えない。愛情の失墜をみせてほしかった。Kたろうさん、よかったね。さらに揺れる気持ちまでいけたら、尚よかった。そこで、S一郎に同調して笑っていたMもとに変化が見える。これが秀逸。いい。Yきがキャラクターを創り過ぎ。それなら、中身も埋めないと飽きてしまうな。このエチュードも感情のエチュードであることを思い出してくれい。Nみさん、気持ちの動きが見えない。このエチュードでほしいのは、感情の、人間の混戦。Kさわくん、感情の動きはいいのだけれど、埋もれてしまう。外に見えるものをもう少し意識していこう。
今日は、なんとなくぬるい稽古の印象。芝居は、稽古は共同作業だ。ひとりが落ちれば、全体が落ちる。全員、もっとがむしゃらに、執着心を持て。
全体であがっていきたい。優劣なんてないんだよ。
今日は来年の公演のための劇場の連絡がくる。楽しみだ。新しい空間に世界を広げる予定。スタッフにも改めて交渉中。衣裳、音響、美術から快諾の返事。わくわくしてきたな。
Kちゃんも無事楽を終えた。稽古場への復活が楽しみ。骨身についたものが楽しみ。