2008/10/20
俳優の骨が軋む音が聴こえるように伸びる瞬間がみたい


開かれた稽古場。どんなに忙しい日々が続いていても、この稽古の時間のために稽古の進行を考え、集中して音を聴く時間だけは作る。皆の覇気を上げるためには、あたしの覇気を落とすわけにはいかないからね。そして、稽古はとにかく集中していく。どんな瞬間も逃がさないためには、集中。ここに参加する俳優たちに責任を持ちたいからね。参加者6名、見学1名。
今回の稽古は、まず声の確認から。声はコワい。すべて結果になってしまう。ここ数回で声が落ちた。外郎売りからスタート。発声と滑舌と役作り。ただの早口言葉ではない外郎売りとして。まず、未だに覚えていないのは論外。バカじゃなかろか。喝!しかし、それぞれに個性豊かになってきた。今日はあたしも参加してみる。自身の滑舌も確認するが、衰え知らず。おほほ!最後まで言い切るが、皆全然終わらない。全員スピードが遅い。セリフを聴かせるスピード感と表現と。続いて、発声。四股発声。声の受け渡し。人数が少ないので、2巡。N山さん、Hで声が落ちている。K太郎くん、基本的な発声から見直してほしい。いい声なのだが、作り声を何とかしたい。Kさわくん、まだまだ出ると想う。今のうちに鍛えるべし。Yき、Mもと、もっと強い声がほしい。四股がたったこれだけでふらつくのはダメ。普段から腹筋強化してほしい。
続いて、腹筋発声。2巡。まだまだ弱い。
シャッター前から声の増殖。ある程度までは出るが、そこから横ばい。さらにあげていこう。
そこに居ること、登場し、佇むこと。Mもと、Kさわくんよくなった。どこか小さく見えていたKさわくんが大きく見えた。K太郎くん、自由に。Hで、彼らしい存在感があるのに、そこに余計なことをしてしまう。それはいらない。
続いて、感情の訓練。強い怒り。強い怒りをもち、指示した位置まで。その感情のまま、立ち尽くす。感情が溢れ出ること。Kさわくん、自分を煽るような動きが消えて、内面が埋まってきた。Mもと、怒りから泣きへの移行がまだまだある。Yき、怒りがはっきり伝わってこない。スタートが遅い。U杉くん、彼の中で何かが発火した。いい。N山さん、K太郎くん、外に見えることに意識がいく。そうではない。中身。Hで、まだまだ何かをしようとする。
そのままの感情、強い怒りで登場する。怒りを表現する。U杉くん、素晴らしい。表情は変化し、メッセージも続く。他の人たちが埋もれるほどだったので、切り取る。U杉くんの怒りからシーンを創る試み。
2度繰り返しても、U杉くんの怒りは落ちない。素晴らしい。正面から皆に観て貰う。心が動いていることを感じることができたはず。
3度目、Mもとが加わる。U杉くんの反応、素晴らしい。N山さんが加わる。
あまりに表面的で許せん。止める。
課題を変える。全員でU杉くんの怒りを核として、怒りのシーン作り。このシーンは全員非常に触発しあい、いいものを観た。
深い悲しみを持って歩く。その感情のまま、指示した位置へ。背中に悲しみがにじみ出るようになりたい。Yき、感情が高ぶる。そのまま、振り返り、歩く、佇む。Hで、目線が落ちる。Kさわくん、もっと。Mもと、もっと。Yき、いい。N山さん、もっと。K太郎くん、まずは涙がこぼれるようになりたい。
感情があがっているところで、泣き乍ら歩く。もっともっと。静かに流れる涙まで確実にしたい。
次は感情、声を活かしていくためのシーン作り。今後はシーン創りの即興を強化したい旨、話す。
日常の再現にとどまらない演劇的、劇的であるシーン作りにしたい。
稽古場エチュード。1回目。全員言葉が先行している。Mもと、そこでHでを連れ出してほしくない。止める。
アドバイスをして、再度。それぞれに中身が埋まり始めた。細かく、反応して、中身を埋めて進行することだと想う。嘘をつくなら、確実な嘘をつく。そうすれば劇的な瞬間が創れるのだ。探り乍ら、中途半端なことはしないでほしい。Hで、もう少し強いものがほしかった。強い理由が伝わってこない。
いやだという感情、迷い、批判、狡さ、このエチュードにはたくさんの感情が持てたはず。丁寧に。芝居は瞬間、瞬間の連続である。
U杉くん、Hでのシーンと他の俳優のシーンを同時に進行させてみる。
どうしても奇麗ごと、表面的だったな。Yき、怒りのベクトルはよかったのに、中途半端。惜しい。k太郎くん、しゃべり過ぎ。辻褄があわなくなったら、黙って周りに反応すること、必要だよ。N山さんもしかり。Kさわくん、関わり方を探している。決めてかかれ。関係性や相手に対する日頃の感情や、埋めていくことはたくさん。そこが芝居の楽しさよ。
破壊。それぞれにどこまで壊れる事ができたか。自己確認。Kさわくん、Yき、Mもと、good。U杉くん、体も壊していこう。見えているもんが固くて、惜しい。Hで、いい瞬間と醒めている瞬間。集中し、内面に向かってみて。N山さん、壊れてきていると想う。さらにもっと。K太郎くん、周りを気にし過ぎか?皆が確実に同じ方向を向き、各自が確実にやるしかないんだ。そうしないとシーンとして成立していかない。破壊から立ち上がり、アジる。
自由になったときに溢れ出るもの。立ち上がりがぬるいので、繰り返す。再度。いいシーンができた。埋もれている俳優もいるが。
自由を手に入れよう。
ウォーキング。身体表現。Kさわくんの成長は著しい。ここで油断せずにさらに上を目指そう。身体表現、Mもと、Yき、Kさわくん素晴らしい。U杉くん、音との融合が表現につながれば、きっといい。面白い。Hで、信じた方向へ無心に進む。やってごらん。迷わない。
N山さん、K太郎君、陶酔が足りないのね。
最後は愛情表現。N山さんに同時に愛情表現をする。受けるN山さんに感じてほしい課題。続いて、憎悪。
弱い。さらに強い憎悪。殺したい感情。皆、あがる。
このまま相関図。今日はN山さんがよかった。まだ言葉で繋ぐところがあり、それは余計。感情をその場で感じる、持つ。その結果としての言葉でありたい。Mもとの戻り、よかった。Kさわくんの入り、やっとひるまずにいけた。いい。U杉くん、言葉のない表現、存在が最高だった。
いいシーンができた。