2008/10/27
interesting idea


開かれた稽古場。参加者5名、見学2名。稽古直前に大雨が降る。ものすごい雷雨で、シャーマン気分で稽古場へいく。防音作業の助っ人がきてくれてほっとする。今回の稽古も感情のリアリズムをシーンに活かしていくことを中心に稽古スケジュールを組んだ。日常の再現ではなく、劇的にシーンを創りたい。面白いものがみたい、と渇望する。
歩く。しかし、今回は「不自由に歩く」。表現していくことを追求する。ただし、何かひとつ感情を持つ事を指定する。形骸化とリアリズムのバランスを考える。面白い。だが、次第に「歩く」から離れてしまう。全員床を這いつくばる。それは、歩くということではなくなるので、止める。アドバイスし、再度。
声も指示したので、それぞれから面白い声が聴こえる。U杉くん、表現していくことがだいぶわかってきた。ただ、どうしても言葉を発してしまうので、言葉を声に凝縮していくこと。Kさわくん、Yき、Mもと、皆面白いものを見せてくれた。繰り返し、動きを指定する。「感情の蠢き」
指定した動きが決まらないので、アドバイスし再度。感情がスパークし、渦を巻く。
見えたものは怒り、嘆き。その感情で、シャッター前から歩き、佇む。全員感情を持ち続けることができたので、面白い。Yきの怒りが泣きに変化していく。よかった。
続いて、感情をさらに動かして歩く。強い怒りから。最初の訓練のためかKさわくんに不自然な体の動きが出てしまう。取る。感情を膨らませることだ。
どう見えているか、どう見せていくかも大事、けれど、一番大事なのは心を動かす事だ。全員、よく心が動いていた。壮観である。
全員が同じ方向に向かうことができるとシーンとして成立していくね。
続いて、喜び。歓喜。全身から喜びが溢れてみえたい。ただただ一定のスピードで歩いていた感情の訓練もこうして繰り返してきたことで、身体も伴う変化をみせてきた。U杉くん、まだまだ心に持つ感情が弱い。Mもとももっと感情が溢れてほしい。Yきは何かをしようとしてしまうところが気になる。Kさわくんは感情が途切れると持ち直そうと拍車をかける。それは好ましいが、連続した感情を持てるようになりたい。Kちゃん、もっと確かに感情を掴めたら、尚いい。
シャッター前に移動し、嬉し泣き。喜びを泣きに繋げてみる。はじめての試み。皆苦戦。Kちゃんの泣きが質がちがって見えた。哀しそう。嬉しい時の涙、経験してほしい。喜びを感じる事、大事だよね。
さらに深い悲しみ。歩きながら、涙をながせるところまで感情をあげてほしいのだが・・・なかなか叶わない。感情があがっていくのは見えるが、まだまだ弱いのだろうと想う。なので、そのまま泣きに。
ドアを開けて、大事なひとの死に目に会う。全員で。
Yきがいい。Kちゃん、途中までとてもよかったのだが、集中が途切れる。U杉くん、イメージが足りない。Mもと、いいのだが、どこかストッパーがかかっている。溢れたい。Kさわくん、やろうとするのではなく、感情が溢れるまでいきたいのだ。全員が泣き崩れるのだけれど、その動きがどうしても不自然なので、思い切ってアドバイスしてみる。どこかで刷り込まれた動きなのではないか?と話す。
再度。ドアの位置、そのひとの位置も再度確認、開始。それぞれが自然に泣いた。5人のその姿はとてもよく、泣けた。
次は「部屋」のエチュード。5人同時に部屋に帰る。ドアの開け方があまりに稚拙で止める。再度。空間を動くこと、ただそこに自然にいること。U杉くん、もうひとりの部屋の住人が見えない。Mもと、まだイメージが弱い。動き切れていない。Kさわくん、Yき、なかなかいい。Kちゃん、???
これは今日のエチュードの導入のためのエチュード。部屋を実感してみること。
続いて「奇妙な部屋」それぞれがそれぞれの部屋に帰る。と、そこに他の人がいる、というエチュード。不条理なシーン作りの中のリアリズムを追求するために。それぞれが、強くそこは自分の部屋だと想うことが必要。3連発。それぞれが埋まりはじめる。U杉くん、Mもとが面白い。切り取る。
ふたりで再度。途中でU杉くんが迷いはじめて、手。もう少し「ズレ」を見たかった。再度、全員で。
Kちゃんの大奥が面白く活かしたかったが。Kちゃんもアイデア倒れにならず、さらに実感がほしい。それぞれのズレ、思い込みがシーンを面白くしていった。さらに進めていけば、それぞれに疑問が出始めて、もっと面白くなるかな。次回に期待。Kさわくんが途中で折れ始めたのが惜しい。
発声強化。ブリッジによる声の受け渡しから。Kちゃん、オッケー。Yき、今日は声が掠れていた。でも、あたしは好き。Kさわくん、いい声ができた。さらに強く、さらにセリフに繋げていこう。U杉くん、のど声なんだな。腹式を教えなければね。Mもと、声を意識しはじめたかな。なかなかよく出ていた。2巡。強く、長い、各自独自の声を手に入れよう。
続いて、四股による声の拡大、増殖、増幅。息がもうひとつ。息はいいものだから、意識してほしい。舞台上で息を聴かせるという意識。声はまだまだ。もっと、もっと。身体の変化ももっとほしい。
想像力による実感の訓練。手、足、首がもがれていくエチュード。手ではなく音で。この稽古場の柱、効果的ないい音が出る。大好き。阿鼻叫喚、地獄絵図。全員、面白い。最後に首がもげたら、見事な静寂。驚いた。けれど、ごめんなさい。そこに声がほしいと再度指示。
想像力、実感。声。最後の声は想像を絶する声がほしい。違った。
転がる胴体。そこからのシーン作り。面白かった。観客の背筋を凍らせたい。
続いて、「酔っぱらいの吹きだまり」エチュード。酔いの演技はいらない。酔いの実感を持ち、シーンを創りたい。酔いの追求が不足。Kちゃん、ぐにゃぐにゃが形骸的。もう少し追求してね。Kさわくん、正確さはいい。その先に面白さがほしい。U杉くん、存在が面白いんだよね。これは実感しているからかもしれない。Yき、酔いの演技寄り。Mもと、そう、そうというところまでいきたいね。全員に欠けているのは、目的。ただ彷徨っているだけ。家に帰るという目的をしてしてみる。俄然、実感のあるシーンになった。ただ、面白くはない。他者とのやりとりもほしい。さらに楽しんでいこう。
楽しみにしている身体表現。うちのオリジナル表現になる日も夢ではない感じで、楽しみ。何をどうしてではない表現になりつつある。全体像としての最強の表現にしたい。Mもと、他者との関わりを+していきたい。Kさわくん、さらに大胆に陶酔していければいい。Yき、何とも言えないいい表情。U杉くんの集中はいい。Kちゃん、これをやるとこの俳優のへんさがよく見える。いい。
今日はシーンになった。ただ、ダブちゃんの音が難しい。いや、あたしが望む音なのでいいのだけれど、音が途切れるとそこが「ない」部分になってしまう。これは絶対いや。何度も言うけれど、無音こそ音!Mもとは最後の方では動けていたけれど。
奴碑訓。ダリアKちゃん、他下男。2発。2回目は下男のセリフを割る。決めた動きとセリフのリズム。面白くなってきたが、スピードがほしい。
最後は恒例相関図。男だけの会話でシーン作り。面白かったが、感情の見え方が弱い。これは愛情のエチュードであることを置き忘れたね。
最後にKちゃん登場。かわいかった。皆も違和感なし。面白い。Mもとの落胆が面白かった。成立するんだな。
本日、以上。
さらに精進。防音作業も完成。嬉しい。
稽古後に食事。男同士の会話に違和感のないあたしって、何?愉快な時間。
けれど、優先順位芝居一番で、それぞれ日常も面白く謳歌するなら、よし!